CHESTNUTS's Living

Living・・・意味は「暮らし」
(なるべく)手作り、平穏で安心できる暮らしを目指しています・・・

「脆弱性の窓」コワイ

2009-06-24 16:44:49 | 科学
今まで本の感想という感じで「本」のカテゴリーに分類していましたが、どうも福岡伸一先生の分子生物学に偏ってしまってるので、新しく「科学」のカテゴリーを追加しました。
なんか難しそう?なんて思わずに。
科学って、結構日々の生活に関わってるんですよ。



さて、続き。
前回は本からの引用が多かったため固い内容になってしまったので、
それを私(家庭)の視点から見て、普段の生活の中にも関わってくることを分かりやすくまとめられたら・・・と思います。
が、結構な長文になってしまった・・・
これでも、頑張って短めにまとめたんですよー! よろしければお付き合いくださいませー


       *     *     *


福岡先生の「もう牛を食べても安心か」を読みおわった。

(5月20日の『「種の壁」コワイ』の中で、自分なりに結構いいまとめ方をしてるので、ここでも引用。)
『「病原体は種を超えないという原則」があり、犬や猫の病気は、通常ヒトにはうつらない。
「種の壁」を超えることは、普通はない。(狂牛病や狂犬病は例外。うつり方が違う)』


狂牛病の場合、この「うつり方」が人為であり、「種の壁」を越えさせてしまったしまった原因であるそうなのだ。


『カニバリズム(人肉食)がほとんどの民族でタブーとされてきたのは「種の壁」を無視する行為だからである・・・という考え。
ヒトの病気はヒトにうつる。
ヒトを食べるということは、食べられるヒトの体内にいた病原体をそっくり自分の体内に移動させることである。
だからヒトはヒトを食べてはならない・・・

うえ~~~~っと気持ち悪くなる内容だけど、同種類間で共食いはあってはならないってことだよね。

「狂牛病」がなぜ起きたかっていうと「スクレイピー病で死んだ羊の死体で作った肉骨粉が、牛の餌に混じってた」のが原因なんだけど、それも共食いのせい。

安い飼料の供給源として家畜の死体を思いつき、付近の農場で病気で死んだり、けがで使いものにならなくなったりした牛・豚・羊の死体を集め、パウダーにしたもの(肉骨粉)を作り、これを水で溶いてミルク代わりに子牛に飲ませていたんだそうだ。
で、その中に病原体が混じり込んでいた。
草食動物を無理やり肉食動物に変え、さらに牛に牛、羊に羊を食べさせるという強制的な共食いをさせた結果、本来うつるはずのない羊の病気が牛にうつってしまったのだそうだ』


これはブックレット「生命と食」から特に大事と思ったことをまとめたものだけど、分かりやすく集約されてる。
「もう牛を食べても安心か」は、これを更に深く掘り下げた内容になっていた。


「うつり方が人為」っていうの、よく分かるでしょ?
草食動物なのに、餌に肉骨粉を混ぜて共食いをさせたんだよ。
それにさ、生まれたばかりの赤ちゃん牛に、お母さんのおっぱい飲ませるのが勿体無いからって、肉骨粉を水で溶いて、おっぱいの代わりに飲ませたんだよ。
そんなの飲みたくないのに、でもそれしか食料がないわけよ。

まあそれでも、それなりに成長して大きくなりますわね。
と・こ・ろ・がっ!!
ここでいよいよツケが回ってきたわけよ。

おとなしいはずのホルスタインが急に攻撃的になって他の牛に突きかかっていったり、歩行がおぼつかなくなったり。
医者に診てもらっても悪化する一方なので、結局殺処分されたんだけど、同じ牧場で他の牛も同じようになってしまった。
伝染病かと思われたが、牛の脳を調べたらスポンジ状の空胞が確認され・・・

この症状は羊と同じじゃないか!?
もともとは羊の病気、スクレイピー病だった!ってことが分かったってわけ。

普段からの食べ物がいかに重要か、ってことよね!
安上がりだからって、お腹いっぱいになりさえすれば、っていうのは駄目なのよーー!!

し・か・も!!
特に大事なポイントは「生まれたばかりの子牛のミルク代わりにした」ってとこなのよ!

すべての生物には、その発達プロセスにおいて、「脆弱性(ぜいじゃくせい)の窓」があるんだそうですよ。
まだ生まれたばかりで幼いと、臓器や組織の細胞が発達の途上だったり、神経系や免疫系のシステムが構築途上(未完成)であるわけで、そういう時は特に環境からのストレス・干渉を受けやすいのだそうです。
つまり大人にとっては何ともないことが、赤ちゃんや子供の場合だと致命的なダメージを受けてしまう・・・ってワケ。

赤ちゃんの時にお母さんのおっぱいをもらう(免疫ももらえる)ことって、とても大事なんですねー
人間の赤ちゃんだって、なるべく母乳で・・・っていうのと同じことよね。
同じ肉骨粉を与えられるのだって、大きくなってから餌に混じったものを摂取するのと、赤ちゃんのうちから飲まされるとでは、もう全然違うよね!
で、これによって大きな役割を果たすのが「トレーサビリティ」なんですよ。

狂牛病が1匹出ると、必ず他にも数匹見つかるんだそうだけど、それって同じ餌(ミルク)で育ったからでしょ。
つまり、同じ農場で育った牛とか兄弟とか・・・育った環境が分かれば、そこを調査することができるじゃない?

ここもまたポイントだけど、牛を育てるのって、仕事が分業なんですよね。
種付けする業者、育てる業者・・・他にもあると思うんだけど、それが皆違うんです。
自分とこで生まれて育てて出荷して・・・って、一貫して育ててない。
だから病原菌を突き止めるために追跡調査したいのに、出来ない。チェックもしてない。
それでやっと「トレーサビリティ」が始まったわけですよ。
は~そうだったんだぁ~、そこまで考えてなかったよなぁ~!
ね~? 何かさ、ちょっと視点が変わったでしょー?


で、そこで私はまた考えた。

生協(生活クラブは信頼出来るから外す)からお中元カタログが届いたんだけど、牛肉なんかもあるわけよ。
よーく読んでみるとね・・・
「オーストラリアの提携農場で生まれた子牛を、約10カ月齢まで同地で育ててから日本へ移送し、さらに手塩にかけて肥育しています」・・・

あれっ。
安全そうな気がしてたんだけど・・・・?

他にも牛乳のPRチラシが入ってたりもして・・・
すごく一生懸命牛の世話をしてるのは分かる。
抗生物質に頼らず、農薬を散布してないトウモロコシやおから、米ぬかなどの餌にこだわってるのも分かる。
勿論、やった方がいいに決まってる。
でも。
もし・・・・・・・
子牛に与えられていたミルクが肉骨粉入りだったら・・・? 


そんなことまでこだわる必要は、果たしてないのでしょうか?
だって、もし自分が、家族がヤコブ病になったらどうします?
人間が利益のために、牛の餌をケチったせいで、こうなったんですよ。
「仕方ない」「運が悪かった」じゃ済まないでしょ。立派な人災でしょ!それでも、そんなに牛丼食べたいですか?
頑張れば回避できるんですよ!
牛肉の輸入問題なんかも、しっかりしていただきたい!
それに家計を預かる方も、そういうこと知っておくべきと思います。
(狂牛病菌が人間に入ると「ヤコブ病」になります。
 牛の潜伏期間は5年間と長く、ヒトにうつった場合の潜伏期間は10年とされています。)


最後にもう一つ。
狂牛病病原体の正体はまだ分かっていないのだそうですよ。
今のところ有力なのは「プリオンたんぱく質」ってやつだそうでして、異常型プリオンたんぱく質と正常型プリオンたんぱく質が出会うと、異常型に変換されてしまう・・・とか何とか。
でもまだ決定まで行ってないらしいし、福岡先生も異論を唱えている。


ということで、お次はいよいよ福岡先生の「プリオン説はほんとうか?」を読み始めることにしますわ。
1冊目の「生物と無生物のあいだ」を読んだあと、福岡先生の本をもっと読みたくなって本屋へ探しに行き、たまたま「プリオン説はほんとうか?」を見つけたので買っておいたのだ。
この本を見たとき「こんな難しいの、読むのかなー自分?」(他のどの本よりも字も小さく、いかにも難しそうである)って思ったけど、いや~まさか読みたいと思う時が来るとは思ってなったよ。
私自身、それなりに頑張って進化してるかしら~?


最後まで読んでいただき、ありがとうございます
なぜ?どうして?と思い始めると、ついもう1冊と深みにはまってしまっております。
福岡さんの文は科学者目線なのに文学的で、とても読みやすいんですよ。
残すはあと「プリオンたんぱく質は本当か?」と「ロハスの思考」の2冊。
ゆっくりマイペースですが、読み進めていきたいと思います。



ウィルスの話

2009-06-23 22:07:51 | 科学
まず昨日の「オーダー・ロープワーク」の記事が カテゴリー「ぽんちゃんワールド」に分類されているため、インフルエンザの文をこちらへ載せておきます。


『・・・そうそう、インフルエンザと言えば(余談)
5月10日読売新聞の「サイエンス・学び」欄で見て気になっていたのですけど。

インフルエンザウィルスの中に遺伝子があって、その遺伝子を調べれば、ウィルスの進化の過程が分かるんだそうですよ。

それで、今回の新型ウィルスには8本の遺伝子(RNA)があり、3本が北米の豚、2本がアジア・ヨーロッパ地域の豚、2本が鳥、1本が人間のウィルス由来なことが分かったそうなんです。

つまりぃ・・・
私たちが毎年ごく普通に感染してるインフルエンザウィルスって、もうすでに動物由来のものだったんですよ!
今更「豚のウィルスだ!大変だぁ!!」とか騒いだって、何てことないわけですよーー!
「今回の新型は弱毒性だから大丈夫」っていうの、信じていいんですよ。
そうか、なるほどー! 

ただ今回、報道が騒ぎ過ぎたことと、それに煽られて 感染者が出た学校の生徒というだけで色々と辛い思いした方たちがいたり、修学旅行が延期・中止になったり・・・情報のあり方・伝え方をもっと考えなくてはいけないんじゃないかと思いましたよ。
意味なく闇雲に隔離するだけでなく、きちんと筋を通し、世間にこういう正しい情報を伝えるのが大事なんじゃないのかなぁ。

また確かに弱毒性であるかもしれないけど、いろんな生物の間を行ったり来たりして進化を続けるウィルスだって、なぜそんなに進化する必要があるのか?
(医学が進歩し、人間がワクチンを開発するから)
なぜ動物から発生したウィルスが人間に取りつくのか?
なぜ何種類もの生物間を行来きするのか?
利益を優先させるために、生態系を歪ませてきた人類へのツケなのかもな、と思います・・・』




福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ」は、大学の生物学の教師の質問から始まる。
「人は瞬時に、生物と無生物を見分けるけれども、それは生物の何を見ているのでしょうか。
そもそも、生命とは何か、皆さんは定義できますか。」
細胞からなる、DNAを持つ、呼吸によってエネルギーを作る、などが挙げられたが、夏休みが来て日程は終わってしまい、明確な答えは得られなかったそうだ。

ここでウィルスの登場である。 果たして「ウィルスは生物か?」

『光化学顕微鏡よりも10倍から100倍もの倍率を実現する電子顕微鏡の開発により、科学者たちは初めてウィルスを捉えた。
ウィルスは彼らが知っていたどの病原体とも異なり、非常に整った風貌、まるでエッシャーの描く造形のように、幾何学的な美しさを持っていた。
そして同じ種類のウィルスは全く同じ形をしていた。
なぜかというと、それはウィルスが生物ではなく、限りなく物質に近い存在だったからである。

ウィルスは栄養を摂取することがない。呼吸もしない。二酸化炭素を出すことも老廃物を排泄することもない。一切の代謝を行っていない。
それなのに、ウィルスは自らを増やせる。自己複製能力を持っている。
この能力は核酸=DNAもしくはRNAが担保している。
(RNAとは、DNAを基にして増殖した遺伝子のこと)
ウィルスは単独では何も出来ないくせに、細胞に寄生することによってのみ複製するのだ。
つまりウィルスは生物と無生物のあいだをたゆたう何者かである。』
しかし、このことは未だに決着していないそうである・・・
(「生物と無生物のあいだ」より抜粋)



新型インフルエンザの中の、8本の遺伝子(RNA)。
細胞に取りつき、自身のDNAを注入し、増殖したウィルスを細胞から切り離し、少しずつ進化を続ける。
毎年違う型のインフルエンザが流行るのは、ウィルスが進化するからで、そのせいで人間にも動物にも取り付けるようになってしまったのである。


「種の壁」の記事のなかで「豚インフルエンザは種の壁を超えてる」って書いたけど、ちょっと違うような気がする。
ウィルスはたんぱく質に取りついて増えるから、人間でも動物でもいいわけだ。
その動物独自の病気ではない。
それなのに独自の病気と思われてきたはずなのに、いつしか人間にも取りついてしまったおそろしい病気がある。

それが「狂牛病」である。

どうやって「狂牛病」が人間にうつったか?



既に長い分になってしまっているので、次回へ続く。
(読んでる人、いるのかいな・・・




「種の壁」コワイ

2009-05-20 17:16:59 | 科学
福岡伸一さんの「生命と食」「動的平衡」2冊読んだ。

「生命と食」は岩波ブックレット。薄くて読みやすく、小学校の教科書のよう。
しかし内容は、小学校よりもはるかに難しい。
講演会の内容をもとに加筆したものだそうだ。

今まで読んできた「生物と無生物のあいだ」「できそこないの男たち」をもっと分かりやすく噛み砕き、知らない人でもすっと入っていけるような軽い内容になっている。
その上で、その前著の内容である「狂牛病」にも触れられている。
なぜ狂牛病が起こったか。
生きることと食べることの意味。
食の安全をどう考えるか・・・

「狂牛病」は世の中の騒ぎが落ち着き、もう終わったことだと思っていたけど、そうじゃない。
ここをスタート地点とし、新しい「食の視点」が開かれたのだ。
食べられさえすれば、お腹がいっぱいになりさえすれば、という考えは怖い。
食べることに関し、決して無頓着ではいけない。
何を選ぶか。
なんでもありの世の中で、私たちはもっと賢くあらねばならないと思う。



「動的平衡」は福岡さん初のハードカバー。

・・・期待して読んだ割には、ちょっとピンボケな印象。
「生物と無生物のあいだ」「できそこないの男たち」がかなり専門的な内容で、これを読み終った人にとっては物足りない感じがするんじゃないだろうか。

まだ読んでない人になら、お勧めしたい本。
軽く、読みやすい内容だ。

・・・残念ながら、前書のような「ぞくぞく・わくわく感」がないのだ。
もう知ってるー! 新しい何かはないの?って・・・


うーん。

ここは過去に遡って、1冊目の「もう牛を食べても安心か」を読むことにしようかな・・・



考えたこと、その1。

「病原体は種を超えないという原則」があり、犬や猫の病気は、通常ヒトにはうつらないそうだ。
「種の壁」を超えることは、普通はない。
(狂牛病や狂犬病は例外。うつり方が違う)

今話題の「豚インフルエンザ」は思いっきり「種の壁」の原則を超えている。
こわ~~~~~っ!!
「鶏インフル」も然り。
豚も鶏も、私たちの生活に欠かせない蛋白源だけど・・・いづれ「牛インフル」ってのも発生したりするのかしら??
だって、豚の病原菌とヒトの病原菌が行ったり来たりして発病したんでしょう?
家畜として共に生活してれば、あり得ないことはないように思える。



考えたこと、その2。

カニバリズム(人肉食)がほとんどの民族でタブーとされてきたのは「種の壁」を無視する行為だからである・・・という考え。
ヒトの病気はヒトにうつる。
ヒトを食べるということは、食べられるヒトの体内にいた病原体をそっくり自分の体内に移動させることである。
だからヒトはヒトを食べてはならない・・・


うえ~~~~っと気持ち悪くなる内容だけど、同種類間で共食いはあってはならないってことだよね。

「狂牛病」がなぜ起きたかっていうと「スクレイピー病で死んだ羊の死体で作った肉骨粉が、牛の餌に混じってた」のが原因なんだけど、それも共食いのせい。

安い飼料の供給源として家畜の死体を思いつき、付近の農場で病気で死んだり、けがで使いものにならなくなったりした牛・豚・羊の死体を集め、パウダーにしたもの(肉骨粉)を作り、これを水で溶いてミルク代わりに子牛に飲ませていたんだそうだ。
で、その中に病原体が混じり込んでいた。
草食動物を無理やり肉食動物に変え、さらに牛に牛、羊に羊を食べさせるという強制的な共食いをさせた結果、本来うつるはずのない羊の病気が牛にうつってしまったのだそうだ・・・

合理性ばかりを追求してしまった人間の欲のせいだよね・・・

この前新聞で読んだ記事で「コンビニのお弁当の売れ残りを飼料に開発」ってのがあって、無駄がなくなっていいかも? でもそもそも作りすぎないことの方が大事なんじゃね? とか思ってたんだけど、

もしかして、お弁当のおかずの生姜焼きとかトンカツとかも飼料になって、それを豚が食べるとしたら?
ヒトが食べる分には「種の壁」があるから問題ないだろうけど、豚から豚へ何かがうつったら?


こ・・・これも、こわ~~~~~~っ!!

需要と供給のバランスを考え、必要な分だけのお弁当を作ってくだしゃい~~~。
どうかよろしく願いしましゅ~~~~

分子生物学の世界って

2009-04-28 18:22:30 | 科学
中学で、毎日読書の時間(10分)があるそうだ。
ぽんちゃんは今まで2年間、私が買いだめして棚に並べておいた本や 先生に借りた本などを読んでいたようだが、先日遂に「読む本がなくなった」と言い出した。

「ゲド戦記」は読んでもらいたい本だったので、読んでくれて嬉しかったし、「大草原の小さな家」シリーズ、ジュール・ヴェルヌの冒険小説も好みだったようだ。
これらは私も読んで中身が分かったいたんだけど、いつか読もうと思い並べておいた本もどんどん読んでたみたいで・・・


「読む本がない」
「あれは読んだ?これは?」
「『奇跡のリンゴ』も『生物と無生物のあいだ』も読んだ」

えええーーーーーーっ
『奇跡のリンゴ』読んだの?わたしゃまだ読んでないよ!
中2女子が好むような本じゃないと思うんだけど・・・ やっぱり非凡だわ・・・
しかも『生物と無生物のあいだ』も読んだって!  うそーん

人にもよると思うけど、私はとても読むのが遅い。
考え考え少しずつ読み進めるので、本の中に入り込むのに時間がかる。
そのくせ、考えさせられる本が好きなのだ。

『生物と無生物のあいだ』を読んだきっかけは・・・
http://blog.goo.ne.jp/tashumi-beya/e/c952fcae9ed1310a9f2f6a4f5eadff0b
(「日々」の「ミーサイとDNA」参照)
 内容はかなり緻密で濃く、とぼけた私の脳ではなかなか進まず。

読み出しは身近なシーンから始まり 読みやすいと思いきや、いきなり超ミクロな分子生物学の世界へ突入。
え~~~?
ネズミを解剖?膵臓?遺伝子ノックアウト?・・・
初めのうちは「20世紀少年」でキリコさんがワクチン研究してるところが浮かんだけど、私が知ってることなんかせいぜいその程度だ。

でも、とうとう最後まで読んだ。
この著者の文学的な文章でなければ、きっと最後まで読むことは出来なかっただろう。
「科学者の最前線の本」が私の読書ジャンルに加わったのだーすごいよー!


ところで『生物と無生物のあいだ』を買った時、一緒に『できそこないの男たち』も買っておいたわけで、でもすぐに読まずに積んでおいた。
「読む本がない」っていうんで、『生物と~』を読んだのなら『できそこない~』も読めるだろうと持たせてしまったのだけど・・・
あっという間に「読み終った」と本が返ってきてから最初と最後をチラ見したら、精子やら卵子やら結構どっきりなことが書いてあって、
う・・・
持たせるべきじゃなかったかな・・・内容を知らなかったから・・・(大汗)
しかし読んでしまったものは仕方ないじゃないか!
それにこれは決して怪しい変な本ではなく、一級品の分子生物学の本なんだし!
と思い直し、どこがどうマズカッタ?のか知るためにも読んでおかねば、と読み始めた。


で・・・

すごく面白かったんですよ、これが・・・

禁断の書ってわけじゃないんだけど、ちょっと後ろめたいような内容だからかもしれない。
だからと言って決していやらしい内容ではない。
男と女、精子と卵子。
かつて生命はメスだけだったのに、なぜオスが必要になったか?

メスだけならば卵子だけあればいいわけだけど、オスが必要になったから精子が必要になり、そのためには生命の設計図→染色体をXXからXYへ作り変えればよい。
長い長い時間をかけ、設計図を作りかえたことこそが生き物の進化なのだ。
XXだけであれば進化は起こらなかったかもしれない。
だが環境の変化に応じて生き残るには、どうしても進化が必要だった。
(この本の中に「進化」という言葉は出てこないけど、そう言いたかったんじゃないか、と私は思う。)

XX、母から娘へ命を紡ぐだけでは変化も進化も起こらない。
ママの遺伝子を違う娘へ運ぶためにオスが必要にあり、だから少しずつ新しい何かが混じりあう。
そのためにXからYへカスタマイズされたのがオス(男)なのだそうだ。



読み終わったら、何か世の中が違って見えた。

この世を動かしているのは一見男のようである。
でも実はそう仕組んだのは女であり、男は女に利用されているに過ぎない。

「弱きもの、汝の名は男なり」


・・・・・・そうだったのか・・・




ぐずぐずしてる間に、福岡伸一さんの新刊が出た。
「動的平衡」
『生物と~』に出てきたキーワード「動的平衡」がそのままタイトルになった本。
うわぁー 読みたい読みたいーーー!!
今、一番の関心事はクラシックでもなくキルトでもなく福岡さんの本だ。

『生物と~』をじっくり読んでおいたお陰で『できそこない~』はとても理屈が分かりやすかった。引用も何箇所かあったし。
出版順に読むのがベストと思うので、間に出版された『生命と食』も読みたい。


余談
5月4日分の「ラ・フォル・ジュルネ」のチケットを取ってあるのだけど、4日のゲストに脳学者の茂木健一郎氏が来るそうだ。
もっとすごいのは5日にルネ・マルタン氏(ラ・フォル・ジュルネ主催者)と福岡伸一さんの対談があるんだそうで・・・ショック!!
あぁー何で私は4日のチケットを取ってしまたんだろーか

・・・4日にのだめで千秋が演奏した「ピアノ協奏曲第1番」がやるからなんだけど・・・
仕方無いよね・・・


頭がいい人って、クラシック好きが多いのかも。
(かと言って、私もいいとは決して言えない

好きが高じて極める人・スペシャルを求める人は変人が多いというのが私の持論。
科学者も音楽家もジャンルが違うけど同類である、と思う。

ミーサイとDNA

2009-02-12 23:59:32 | 科学
ぽんちゃんの大大大好きな場所(ポケセン以外で)・・・それは日本未来科学館(通称「ミーサイ」)
私もとても好きなんだけど、りィちゃんはこういうとこ苦手なので、家族皆で・・・となるとどうも足が遠のく。

日曜日、ぽんちゃんと私の二人でポケセン帰りに寄ってみた。
りィちゃんが風邪ひきさんなのでお家でお父さんとお留守番☆
(計画的犯行とも言える・・・



            

入館して吹き抜けを見上げる・・・・・・気が遠くなって吸い込まれそうになる。 日常からかけ離れた異世界のよう。

でも決して他人事ではない、世界レベルの科学の進化が集結している。


ぽんちゃん曰く、ここでじっくり見つくそうととするなら丸一日かかるらしい。
発明クラブでもここまでバス遠足に来たことがある。
不思議好き・工作好き・理数系好きにはたまらない場所だ。 


ぽんちゃんが一人で楽しんでる間、私はジオコスモスを眺めることにする。

             

Geo-Cosmos(ジオコスモス)はミーサイのシンボル展示。
先ほどの階段の吹き抜けは入館してすぐの場所にあるが、ジオコスモスは中の吹き抜けにある。

             

館内地図・3階の赤いエリアからジオコスモスを見る。この色とりどりな様子は温度を表しているらしい。                       

             

この位置から窓際に沿ってぐるりと5階まで歩けるように、通路が作られている。


             

これをじーっと見ていると・・・宇宙にいるような、ぼーっと気が遠くなるような不思議な気持ちになる。
視野が大きくなって、地球をもっと大事にしなきゃなぁって。
自分のことばかりじゃなく、もっと世界や環境や色んなこと考えていかないと・・・

             

             

             
             海表面温度が記されている。





今、福岡伸一さんの「生物と無生物の間」という本を読んでいる。
数ヶ月前、生活クラブのライブリーで「できそこないの男たち」が紹介され、福岡さん自身が文章を書いていたときもあり気にはなっていた。
その後書店で「できそこないの男たち」を見つけてので やはり買っておこうと思ったら、もう一冊縦置きになってた本がこれだった。
本の帯は「極上の科学ミステリー・生物とは何か?」

私は本を読むのが超とろい。
茂木健一郎氏の「すべては音楽が生まれる」をやっと読み終わり丁度読書の切れ間だったのと、ただ面白そうだというだけで何も考えずにすぐ読み始めた。
(この本も面白かった!クラシック関連本「拍手のルール/茂木大輔・著)と同時読んだら相乗効果でダブルの面白さ!視点の違いがいい)


内容の精密さ・繊細さに引き込まれた。
生物と無生物の違いとは?・・・自己複製するシステムを持つか持たないか。であると冒頭には記されている。
自己複製とは簡単にいえば傷がなおったり風邪ひいても回復したりということになるが、
それはもっと厳密にいうなら新しい細胞が脈々と作られることにある。
細胞=DNAを作るには栄養素=タンパク質が必要で、だから私たちは食べ続けかなくてはならない。
古い細胞は常に分解され消えてゆく(排出される)。
新しく作りつつ古いものは処理され、それはかえって無駄ではないかとも思えるが、細胞は常に動いていなくてはならない。
海辺の砂の城が波にさらわれて崩れつつも、風に吹かれて飛んできた砂によっていつまでも崩れずに浜辺に残り続けるように。

そして更にDNAの真理にせまる。なぜDNAは自己複製ができるのか?
それを解明するためには何人もの研究者の知識の積み重ねがあった。
一人の人が全てを解き明かして世に公表したわけではない。
何年も研究を続け、その人がどうしても到達できなかった結論に、新しいインスピレーション・また他の研究者の成果の横取りなど(結構ダークな世界である)であっけなく達し、論文を本に掲載して名声を得た人がいる。
そして更にそれを深めた人もいる・・・


ミーサイには「技術革新と未来」「情報科学技術と社会」「生命の科学と人間」「地球環境とフロンティア」の4つのテーマが掲げられており、
「生命の科学と人間」は更に「ゲノム・脳・医療・ラボ」の4つに分かれている。

ゲノムになんか興味なかった。
「もやしもん」で菌(カビ)のゲノムが解明された、ってのくらいしか知らなかった。
でもよく考えてみれば、目にも見えない小さな菌を、よくぞそこまで調べたものだ。
菌の中のDNA、絡まりあった2本の螺旋をほどいてバラバラにし、それを再結合させる・・・気が遠くなる作業。

DNAの模型を見た。
本の中で何日もかけて読んできたことを目の当たりにした。
すごい!
でもこのすごさ、ただ模型の展示を見てるだけではきっと分からない。
もったいない・・・

展示の内容は、私の今読んでる章の先を行っていた。
DNAがどうやってタンパク質を取り入れるのか・・・

で、思った。
生き物の体は食べた物の栄養をとりこんで出来ており、食べたそばから分解されて新しい私(細胞)が作られてゆく。
だとしたら、何を食べるかということは相当重要ではないか。
お腹が空いたからと そこで添加物入りのご飯やお菓子を食べてしまったら、即へんてこな細胞=DNAが出来てしまうのではないか。
実際、実験ではタンパク質がどうやって細胞に取り込まれるのかを ネズミに特別な着色をして餌を食べさせて分解して調べており、その結果まんべんなく細胞に取り込まれてしまうことが分かっている。
異物だからと特別扱いはしないのだ。

なんてこわいことだろう!
だから「極上の科学ミステリー」なんだな・・・
是非とも、その取り込まれた添加物が どう働いて影響が出るのかを知りたいものだ。

まずは「生物と無生物のあいだ」を最後まで読む。
生活クラブ「生活と自治」に掲載されていた、福岡さんの文章を読む。
で「できそこないの男たち」に続きたいところだが、間に「生命と食」という本があるそうなので探しに行きたいと思う。
これに添加物のこと、出てるかな・・・?



ミーサイ→DNA、日々思うことは常に何かとつながっている。




長文&真面目な話で失礼いたしました。
最後まで読んでくださった方がおられましたら、感謝いたします。
お料理・お菓子作りが科学なら、それを食べ生きることも科学なのだと思います。
科学について身近に感じていただければ幸いです・・・