CHESTNUTS's Living

Living・・・意味は「暮らし」
(なるべく)手作り、平穏で安心できる暮らしを目指しています・・・

「脆弱性の窓」コワイ

2009-06-24 16:44:49 | 科学
今まで本の感想という感じで「本」のカテゴリーに分類していましたが、どうも福岡伸一先生の分子生物学に偏ってしまってるので、新しく「科学」のカテゴリーを追加しました。
なんか難しそう?なんて思わずに。
科学って、結構日々の生活に関わってるんですよ。



さて、続き。
前回は本からの引用が多かったため固い内容になってしまったので、
それを私(家庭)の視点から見て、普段の生活の中にも関わってくることを分かりやすくまとめられたら・・・と思います。
が、結構な長文になってしまった・・・
これでも、頑張って短めにまとめたんですよー! よろしければお付き合いくださいませー


       *     *     *


福岡先生の「もう牛を食べても安心か」を読みおわった。

(5月20日の『「種の壁」コワイ』の中で、自分なりに結構いいまとめ方をしてるので、ここでも引用。)
『「病原体は種を超えないという原則」があり、犬や猫の病気は、通常ヒトにはうつらない。
「種の壁」を超えることは、普通はない。(狂牛病や狂犬病は例外。うつり方が違う)』


狂牛病の場合、この「うつり方」が人為であり、「種の壁」を越えさせてしまったしまった原因であるそうなのだ。


『カニバリズム(人肉食)がほとんどの民族でタブーとされてきたのは「種の壁」を無視する行為だからである・・・という考え。
ヒトの病気はヒトにうつる。
ヒトを食べるということは、食べられるヒトの体内にいた病原体をそっくり自分の体内に移動させることである。
だからヒトはヒトを食べてはならない・・・

うえ~~~~っと気持ち悪くなる内容だけど、同種類間で共食いはあってはならないってことだよね。

「狂牛病」がなぜ起きたかっていうと「スクレイピー病で死んだ羊の死体で作った肉骨粉が、牛の餌に混じってた」のが原因なんだけど、それも共食いのせい。

安い飼料の供給源として家畜の死体を思いつき、付近の農場で病気で死んだり、けがで使いものにならなくなったりした牛・豚・羊の死体を集め、パウダーにしたもの(肉骨粉)を作り、これを水で溶いてミルク代わりに子牛に飲ませていたんだそうだ。
で、その中に病原体が混じり込んでいた。
草食動物を無理やり肉食動物に変え、さらに牛に牛、羊に羊を食べさせるという強制的な共食いをさせた結果、本来うつるはずのない羊の病気が牛にうつってしまったのだそうだ』


これはブックレット「生命と食」から特に大事と思ったことをまとめたものだけど、分かりやすく集約されてる。
「もう牛を食べても安心か」は、これを更に深く掘り下げた内容になっていた。


「うつり方が人為」っていうの、よく分かるでしょ?
草食動物なのに、餌に肉骨粉を混ぜて共食いをさせたんだよ。
それにさ、生まれたばかりの赤ちゃん牛に、お母さんのおっぱい飲ませるのが勿体無いからって、肉骨粉を水で溶いて、おっぱいの代わりに飲ませたんだよ。
そんなの飲みたくないのに、でもそれしか食料がないわけよ。

まあそれでも、それなりに成長して大きくなりますわね。
と・こ・ろ・がっ!!
ここでいよいよツケが回ってきたわけよ。

おとなしいはずのホルスタインが急に攻撃的になって他の牛に突きかかっていったり、歩行がおぼつかなくなったり。
医者に診てもらっても悪化する一方なので、結局殺処分されたんだけど、同じ牧場で他の牛も同じようになってしまった。
伝染病かと思われたが、牛の脳を調べたらスポンジ状の空胞が確認され・・・

この症状は羊と同じじゃないか!?
もともとは羊の病気、スクレイピー病だった!ってことが分かったってわけ。

普段からの食べ物がいかに重要か、ってことよね!
安上がりだからって、お腹いっぱいになりさえすれば、っていうのは駄目なのよーー!!

し・か・も!!
特に大事なポイントは「生まれたばかりの子牛のミルク代わりにした」ってとこなのよ!

すべての生物には、その発達プロセスにおいて、「脆弱性(ぜいじゃくせい)の窓」があるんだそうですよ。
まだ生まれたばかりで幼いと、臓器や組織の細胞が発達の途上だったり、神経系や免疫系のシステムが構築途上(未完成)であるわけで、そういう時は特に環境からのストレス・干渉を受けやすいのだそうです。
つまり大人にとっては何ともないことが、赤ちゃんや子供の場合だと致命的なダメージを受けてしまう・・・ってワケ。

赤ちゃんの時にお母さんのおっぱいをもらう(免疫ももらえる)ことって、とても大事なんですねー
人間の赤ちゃんだって、なるべく母乳で・・・っていうのと同じことよね。
同じ肉骨粉を与えられるのだって、大きくなってから餌に混じったものを摂取するのと、赤ちゃんのうちから飲まされるとでは、もう全然違うよね!
で、これによって大きな役割を果たすのが「トレーサビリティ」なんですよ。

狂牛病が1匹出ると、必ず他にも数匹見つかるんだそうだけど、それって同じ餌(ミルク)で育ったからでしょ。
つまり、同じ農場で育った牛とか兄弟とか・・・育った環境が分かれば、そこを調査することができるじゃない?

ここもまたポイントだけど、牛を育てるのって、仕事が分業なんですよね。
種付けする業者、育てる業者・・・他にもあると思うんだけど、それが皆違うんです。
自分とこで生まれて育てて出荷して・・・って、一貫して育ててない。
だから病原菌を突き止めるために追跡調査したいのに、出来ない。チェックもしてない。
それでやっと「トレーサビリティ」が始まったわけですよ。
は~そうだったんだぁ~、そこまで考えてなかったよなぁ~!
ね~? 何かさ、ちょっと視点が変わったでしょー?


で、そこで私はまた考えた。

生協(生活クラブは信頼出来るから外す)からお中元カタログが届いたんだけど、牛肉なんかもあるわけよ。
よーく読んでみるとね・・・
「オーストラリアの提携農場で生まれた子牛を、約10カ月齢まで同地で育ててから日本へ移送し、さらに手塩にかけて肥育しています」・・・

あれっ。
安全そうな気がしてたんだけど・・・・?

他にも牛乳のPRチラシが入ってたりもして・・・
すごく一生懸命牛の世話をしてるのは分かる。
抗生物質に頼らず、農薬を散布してないトウモロコシやおから、米ぬかなどの餌にこだわってるのも分かる。
勿論、やった方がいいに決まってる。
でも。
もし・・・・・・・
子牛に与えられていたミルクが肉骨粉入りだったら・・・? 


そんなことまでこだわる必要は、果たしてないのでしょうか?
だって、もし自分が、家族がヤコブ病になったらどうします?
人間が利益のために、牛の餌をケチったせいで、こうなったんですよ。
「仕方ない」「運が悪かった」じゃ済まないでしょ。立派な人災でしょ!それでも、そんなに牛丼食べたいですか?
頑張れば回避できるんですよ!
牛肉の輸入問題なんかも、しっかりしていただきたい!
それに家計を預かる方も、そういうこと知っておくべきと思います。
(狂牛病菌が人間に入ると「ヤコブ病」になります。
 牛の潜伏期間は5年間と長く、ヒトにうつった場合の潜伏期間は10年とされています。)


最後にもう一つ。
狂牛病病原体の正体はまだ分かっていないのだそうですよ。
今のところ有力なのは「プリオンたんぱく質」ってやつだそうでして、異常型プリオンたんぱく質と正常型プリオンたんぱく質が出会うと、異常型に変換されてしまう・・・とか何とか。
でもまだ決定まで行ってないらしいし、福岡先生も異論を唱えている。


ということで、お次はいよいよ福岡先生の「プリオン説はほんとうか?」を読み始めることにしますわ。
1冊目の「生物と無生物のあいだ」を読んだあと、福岡先生の本をもっと読みたくなって本屋へ探しに行き、たまたま「プリオン説はほんとうか?」を見つけたので買っておいたのだ。
この本を見たとき「こんな難しいの、読むのかなー自分?」(他のどの本よりも字も小さく、いかにも難しそうである)って思ったけど、いや~まさか読みたいと思う時が来るとは思ってなったよ。
私自身、それなりに頑張って進化してるかしら~?


最後まで読んでいただき、ありがとうございます
なぜ?どうして?と思い始めると、ついもう1冊と深みにはまってしまっております。
福岡さんの文は科学者目線なのに文学的で、とても読みやすいんですよ。
残すはあと「プリオンたんぱく質は本当か?」と「ロハスの思考」の2冊。
ゆっくりマイペースですが、読み進めていきたいと思います。



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