CHESTNUTS's Living

Living・・・意味は「暮らし」
(なるべく)手作り、平穏で安心できる暮らしを目指しています・・・

分子生物学の世界って

2009-04-28 18:22:30 | 科学
中学で、毎日読書の時間(10分)があるそうだ。
ぽんちゃんは今まで2年間、私が買いだめして棚に並べておいた本や 先生に借りた本などを読んでいたようだが、先日遂に「読む本がなくなった」と言い出した。

「ゲド戦記」は読んでもらいたい本だったので、読んでくれて嬉しかったし、「大草原の小さな家」シリーズ、ジュール・ヴェルヌの冒険小説も好みだったようだ。
これらは私も読んで中身が分かったいたんだけど、いつか読もうと思い並べておいた本もどんどん読んでたみたいで・・・


「読む本がない」
「あれは読んだ?これは?」
「『奇跡のリンゴ』も『生物と無生物のあいだ』も読んだ」

えええーーーーーーっ
『奇跡のリンゴ』読んだの?わたしゃまだ読んでないよ!
中2女子が好むような本じゃないと思うんだけど・・・ やっぱり非凡だわ・・・
しかも『生物と無生物のあいだ』も読んだって!  うそーん

人にもよると思うけど、私はとても読むのが遅い。
考え考え少しずつ読み進めるので、本の中に入り込むのに時間がかる。
そのくせ、考えさせられる本が好きなのだ。

『生物と無生物のあいだ』を読んだきっかけは・・・
http://blog.goo.ne.jp/tashumi-beya/e/c952fcae9ed1310a9f2f6a4f5eadff0b
(「日々」の「ミーサイとDNA」参照)
 内容はかなり緻密で濃く、とぼけた私の脳ではなかなか進まず。

読み出しは身近なシーンから始まり 読みやすいと思いきや、いきなり超ミクロな分子生物学の世界へ突入。
え~~~?
ネズミを解剖?膵臓?遺伝子ノックアウト?・・・
初めのうちは「20世紀少年」でキリコさんがワクチン研究してるところが浮かんだけど、私が知ってることなんかせいぜいその程度だ。

でも、とうとう最後まで読んだ。
この著者の文学的な文章でなければ、きっと最後まで読むことは出来なかっただろう。
「科学者の最前線の本」が私の読書ジャンルに加わったのだーすごいよー!


ところで『生物と無生物のあいだ』を買った時、一緒に『できそこないの男たち』も買っておいたわけで、でもすぐに読まずに積んでおいた。
「読む本がない」っていうんで、『生物と~』を読んだのなら『できそこない~』も読めるだろうと持たせてしまったのだけど・・・
あっという間に「読み終った」と本が返ってきてから最初と最後をチラ見したら、精子やら卵子やら結構どっきりなことが書いてあって、
う・・・
持たせるべきじゃなかったかな・・・内容を知らなかったから・・・(大汗)
しかし読んでしまったものは仕方ないじゃないか!
それにこれは決して怪しい変な本ではなく、一級品の分子生物学の本なんだし!
と思い直し、どこがどうマズカッタ?のか知るためにも読んでおかねば、と読み始めた。


で・・・

すごく面白かったんですよ、これが・・・

禁断の書ってわけじゃないんだけど、ちょっと後ろめたいような内容だからかもしれない。
だからと言って決していやらしい内容ではない。
男と女、精子と卵子。
かつて生命はメスだけだったのに、なぜオスが必要になったか?

メスだけならば卵子だけあればいいわけだけど、オスが必要になったから精子が必要になり、そのためには生命の設計図→染色体をXXからXYへ作り変えればよい。
長い長い時間をかけ、設計図を作りかえたことこそが生き物の進化なのだ。
XXだけであれば進化は起こらなかったかもしれない。
だが環境の変化に応じて生き残るには、どうしても進化が必要だった。
(この本の中に「進化」という言葉は出てこないけど、そう言いたかったんじゃないか、と私は思う。)

XX、母から娘へ命を紡ぐだけでは変化も進化も起こらない。
ママの遺伝子を違う娘へ運ぶためにオスが必要にあり、だから少しずつ新しい何かが混じりあう。
そのためにXからYへカスタマイズされたのがオス(男)なのだそうだ。



読み終わったら、何か世の中が違って見えた。

この世を動かしているのは一見男のようである。
でも実はそう仕組んだのは女であり、男は女に利用されているに過ぎない。

「弱きもの、汝の名は男なり」


・・・・・・そうだったのか・・・




ぐずぐずしてる間に、福岡伸一さんの新刊が出た。
「動的平衡」
『生物と~』に出てきたキーワード「動的平衡」がそのままタイトルになった本。
うわぁー 読みたい読みたいーーー!!
今、一番の関心事はクラシックでもなくキルトでもなく福岡さんの本だ。

『生物と~』をじっくり読んでおいたお陰で『できそこない~』はとても理屈が分かりやすかった。引用も何箇所かあったし。
出版順に読むのがベストと思うので、間に出版された『生命と食』も読みたい。


余談
5月4日分の「ラ・フォル・ジュルネ」のチケットを取ってあるのだけど、4日のゲストに脳学者の茂木健一郎氏が来るそうだ。
もっとすごいのは5日にルネ・マルタン氏(ラ・フォル・ジュルネ主催者)と福岡伸一さんの対談があるんだそうで・・・ショック!!
あぁー何で私は4日のチケットを取ってしまたんだろーか

・・・4日にのだめで千秋が演奏した「ピアノ協奏曲第1番」がやるからなんだけど・・・
仕方無いよね・・・


頭がいい人って、クラシック好きが多いのかも。
(かと言って、私もいいとは決して言えない

好きが高じて極める人・スペシャルを求める人は変人が多いというのが私の持論。
科学者も音楽家もジャンルが違うけど同類である、と思う。