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小説「嵐が丘」

2015-03-10 22:22:28 | 読む
エミリー・ブロンテ「嵐が丘」河島弘美訳 岩波文庫

耕史くんの舞台に備えて読みはじめたのですが、
こういう話だったのか!
むかしむかしに1回は読んでるはずなんだけど、ふる~い映画の印象しかなかった。
なんとなく激しい愛の物語って感じの。

もちろんそうではあるんだけど、
一つの魂・二つの体、的な。
しかし、すごくおもしろい、そして異様なサスペンスだった。
展開はむしろ早くて、ずっとハラハラドキドキでしたよ。

空き屋敷を借りに来た紳士が、屋敷の家政婦に、
オーナーであり、隣家(距離は4マイルある)の主であるヒースクリフについて、
あの人はどんな人なのか?と聞き、
昔からの乳母だった家政婦ネリーが、子ども時代からいままでの話をする、
という構成。

たまたま拾われた孤児ヒースクリフと、ともに育った嵐が丘屋敷の兄妹、
隣家の兄妹、それぞれの間に生まれた子どもたちをめぐる長い時間の物語で、
ヒースクリフと愛し合いながら、隣家のエドガーと結婚したキャサリンは、
前半で死んでしまい、
後半はキャサリンの兄と隣家の兄妹を憎み恨んだヒースクリフが、
そのための復讐を子どもたちの代までしようとする。

読み終わってびっくりするのは、
最後になって、恐ろしい野獣のような印象だったヒースクリフが、
かわいそうになること。
むしろ恐ろしいのは彼を生涯、翻弄し続けたキャサリンのほうではないのか。
死んでしまったあとも、彼はキャサリンの存在を感じ続ける。
「夜は大気いっぱいに、昼はあらゆるものにちらついて、
あいつの面影はおれを取り巻いている!」

それから、語り手であり、物語の中に常にいる家政婦ネリー。
この人がいることで事件が発展していくんじゃないの?
という気さえしてくるのです。

女は怖い。
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