よむよま

よむ・よまない、それから。

朝倉かすみ「平場の月」光文社

2019-07-26 22:40:32 | 読む
「平場の月」朝倉かすみ 光文社 読みました。
直木賞の候補作「マジカルグランマ」などを買ったうちの一冊。

五十代の、中学・高校と同級生だった男女が主人公。
戻ってきた地元でたまたま出会い、なんとなくつきあうようになるのだが、
女がガンで死ぬことは、冒頭で出てくる。
この最初のところを、私は2回、読み直した。
男の一人称(モノローグ)で始まったのが、三人称になった?という書き方で、
わかりにくかったから。
そして、最後まで読んで、そのまままた最初のところを読み直した。
読み直したくなるのだ。
あー、そうだったのかと改めて思って。

五十代の男と女の恋愛ものなのかな?恋愛ものはめんどくさいな、友情ならいいけどと思いながら読み進めていった。
恋愛もの、ではあった。
それも、最後には「泣ける」「キュンキュンする」「胸アツ」と言えてしまいそうな。
でも、読んでる間はそんなふうじゃないの。
二人がこれまで生きてきた時間がある。
生活のリアル、それぞれの感情や意地、プライドのリアル。
そこがとてもじっくりと、いいの。
読み終わったあと、しみじみした切なさの実感が残る。
いい小説だった。

もし、これがドラマ化されたら、泣ける胸キュンものになっちゃうんだろうな。
そしたら絶対見ないわ。
コメント (1)
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