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4番でエースの羽田君の球は、俺たちにはなかなか打てない球だったけれど、磯部小のチームにはあっさりと打ち返され、逆に、磯部小のピッチャーが投げる球は、全く打ち返すことが出来ず、3回裏には「もう、勝てない」と誰もが諦めていたが、補欠のつねあきだけは、諦めず、俺たちが試合に出ている間、もくもくと、バックネット裏で素振りをして、出番を待っていた。
しかし、チーム全員が、諦めてしまった試合はどうにもならず、コールドゲームが決まり、7回表、2アウトで、監督もようやく諦めて、補欠のつねあきを代打指名した。
つねあきの体育の成績は、ずっと「がんばりましょう」だったけど、算数と理科は得意で、小6の夏休みの自由研究には、当時の俺たちにはわからない方程式を書いてきて先生を驚かせた。
だから、つねあきに、「どこの塾に通っているの? 」と、聞くと、意外にも、「勉強は嫌いやで、学校と家だけやで」と、答えた。
ちょっと驚いた俺たちは、しばらく半信半疑だったけど、放課後の野球に誘うと、喜んでは参加してきて、先生に「はよ帰れ」と言われるまで遊んでいたから、いつの間にか、それが、つねあきの実力なんだと納得した。
バッターボックスにつねあきが入った時、打てないことは分かってたけど、一緒に野球をやってきてくれたから、皆で「がんばれ~! つねあきぃ! 」って、大声を出して応援した。
その時のつねあきは、すごくうれしそうで、何を思ったか、強打者が予告ホームランをするように、バットの先をライトの観客席に向けて伸ばした。俺たちは「おおおっ! ええぞ、つねあき。かっとばせっ~! 」って言うと、磯部小のピッチャーはマウンド上で顔をグローブで隠して笑っていた。
つねあきは、最初、バッターボックスの中央に立って、バットを短めにもった。それを見た磯部小のピッチャーは、にやって笑って、セットポジションから、少しスピードを抑えてキャッチャーが構えたミットへ狂いなく投げ込んだ。つねあきは、ボールをキャッチャーミットに入るまで見たみたいやったけど、俺たちは、「さすがに打てんよなぁ」て思った。
2球目、1球目でつねあきの実力を理解したのか、大きく振りかぶって、一球目よりも球速を上げて、ど真ん中へ投げ込むと、キャッチャーミットが真で球を取る「パーン」という音が響いてきた。つねあきも一生懸命にバットを振ってたけど、かすりもしなかった。
4番でエースの羽田君の球は、俺たちにはなかなか打てない球だったけれど、磯部小のチームにはあっさりと打ち返され、逆に、磯部小のピッチャーが投げる球は、全く打ち返すことが出来ず、3回裏には「もう、勝てない」と誰もが諦めていたが、補欠のつねあきだけは、諦めず、俺たちが試合に出ている間、もくもくと、バックネット裏で素振りをして、出番を待っていた。
しかし、チーム全員が、諦めてしまった試合はどうにもならず、コールドゲームが決まり、7回表、2アウトで、監督もようやく諦めて、補欠のつねあきを代打指名した。
つねあきの体育の成績は、ずっと「がんばりましょう」だったけど、算数と理科は得意で、小6の夏休みの自由研究には、当時の俺たちにはわからない方程式を書いてきて先生を驚かせた。
だから、つねあきに、「どこの塾に通っているの? 」と、聞くと、意外にも、「勉強は嫌いやで、学校と家だけやで」と、答えた。
ちょっと驚いた俺たちは、しばらく半信半疑だったけど、放課後の野球に誘うと、喜んでは参加してきて、先生に「はよ帰れ」と言われるまで遊んでいたから、いつの間にか、それが、つねあきの実力なんだと納得した。
バッターボックスにつねあきが入った時、打てないことは分かってたけど、一緒に野球をやってきてくれたから、皆で「がんばれ~! つねあきぃ! 」って、大声を出して応援した。
その時のつねあきは、すごくうれしそうで、何を思ったか、強打者が予告ホームランをするように、バットの先をライトの観客席に向けて伸ばした。俺たちは「おおおっ! ええぞ、つねあき。かっとばせっ~! 」って言うと、磯部小のピッチャーはマウンド上で顔をグローブで隠して笑っていた。
つねあきは、最初、バッターボックスの中央に立って、バットを短めにもった。それを見た磯部小のピッチャーは、にやって笑って、セットポジションから、少しスピードを抑えてキャッチャーが構えたミットへ狂いなく投げ込んだ。つねあきは、ボールをキャッチャーミットに入るまで見たみたいやったけど、俺たちは、「さすがに打てんよなぁ」て思った。
2球目、1球目でつねあきの実力を理解したのか、大きく振りかぶって、一球目よりも球速を上げて、ど真ん中へ投げ込むと、キャッチャーミットが真で球を取る「パーン」という音が響いてきた。つねあきも一生懸命にバットを振ってたけど、かすりもしなかった。
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