硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 35

2021-04-27 20:17:28 | 日記
だからといって、諦め、怠惰になるのは不本意だ。これは、三人のレンガ職人のように、捉え方の問題であり、落ち込み続けてては駄目なのだ。
叩けば開かれると信じ、アンテナを広げ、出来る事を見つけ、苦手な勉強にも取り組み、希望と可能性を増やすように努めた。

思春期を迎えた頃には皆と同じように憧れの男子がいた。しかし、結論も同時に理解していた。
だから、勇気をもって告白してみなければわからないよ。と助言してくれても、気を使ってくれているのだと頭では分かってはいたが、拗れていた私には、気休めにも、慰めにもならず、逆に、軽い苛立たしさを感じていた。
辛い思いをするくらいなら、ファンタジーの中で生きてゆこう。愛や恋という幻にも似た無形なものは「花とゆめ」「別冊マーガレット」に任せておけばいい。推しの男子はジャニーズだけでいい。

高校を卒業する頃、ぼんやりとそう思っていた。

大学生の頃、同じサークルの齋藤飛鳥似の友達と、お買い物に出かけた際、彼女と少し離れて行動をとったら、すぐに見知らぬ男が彼女に声を掛けていた。
すぐに戻るのも悪いかもしれないと思い、様子を見ていると、彼女が凄く困っているのが分かり、間に割って入ると、男は舌打ちをして、「ブサイクがっ」と、小さな声で吐き捨て、去っていった事があった。
理不尽さと悔しさに、罵詈雑言を浴びせてやろうかとも思ったが、彼女に迷惑をかけてまでバカを相手にしてはいけないと自分に言い聞かせ平静を装ったが、「ブサイクがっ」と言う音だけは、耳の中に留まり、執拗に私を苦しめた。

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