硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

ついに到達してしまった。

2022-08-22 17:24:32 | 日記
朝、布団から出ると体が重かった。時々陥る症状であるから、いつもの事かなと思い洗面所で顔を洗う。顔を上げると片頭痛もある事に気づく。憂鬱な気持ちになり食卓に着き、妻に「なんだか体が重いんだよ」と、何気なく言うと、「夕べ、久しぶりにいびきが大きかった。猫も何度も見に行ってた」とあきれていた。
やっぱりなぁと納得し、とりあえず体温計を取り出して、脇の下に挟む。
体温は37.5℃。
これはどうしたものかと考える。微妙な微熱だがコロナ過では初めてである。焦る心を落ち着かせながらとりあえずご飯を食べる。コロナ感染なら、味覚嗅覚がダメになるというのは定説。
しかし、お味噌汁の香りはよい。ご飯の味もしっかり伝わる。目玉焼きの白身と黄味の違いもしっかり判る。嗅覚味覚共に良好である。
一安心し、とりあえず職場に連絡。事情を話し、休むことを伝える。
そして微熱の原因がなんであるのかを確認し、わかり次第連絡する事を伝える。

面倒なことになったなと思った。これくらいの熱なら、風邪薬を飲んで半日寝ていれば回復するところであるが、時節はそれを許してはくれない。

スマホを手に取り、県のホームページからコロナ関連のページへ。
24時間対応している連絡先を見つけ、すかさず電話してみる。
つながりはしたが、混みあっているので時間をおいてかけ直せ留守電が告げている。
その後、何度もリダイアルするが、結果は同じ。考えていても仕方がないから次は市の保健所へ。
しかし、つながらない。まったくつながらない。これはどうすることも出来ない。
次の手を考える。ゴリゴリと検索していると発熱外来というのを見つける。
実施している病院の一覧表を見ながら、診察券を持っているクリニックを見つけた。
即電話。ここもまたつながらない。診療時間内なのにつながらない。同じことを考えている人が予想以上に多いのだと思い、残るは総合病院しかないと判断。

総合病院に電話し事情を話すと、気持ちを汲んでくれて、相談に応じてくれた。電話口からは忙しさが伝わってくる。簡単な問診をしたのち、発熱外来は終了したが何とか見てくれるとのこと。一安心である。一通りの手順の説明を受け、受診は午後からに決まる。
ようやく活路を見出したのは午前10時過ぎ。かなりエネルギーを消耗する。
検温してみると37.5℃。まだ大丈夫だ。口に含んだ麦茶の味もしっかりしている。
12時までアイスノンを頭に敷いて仮眠。

タイマーの音に驚いて目覚める。だるい体を奮い立たせ、身支度を済まして病院へ。

電話で言われたとおりに病院からの指示に従い受付を済ませ車内で待機。
いつもより長く感じる時間を車内で過ごしていると、携帯に連絡が入る。再び指示に従い、車を移動しドライブスルー形式の受診を受ける。前には車が一台のみで、早く済みそうかなぁと思っていると、完全防備の看護師さんがやってきて、簡単な説明をされて、渡された用紙に必要事項を書き込む。前者の人が終わると、車を進めて待っていると次の指示が出た。
用紙を渡して、車から出ると、小さなプレハブの窓の前に立って、テレビでよく見た細長い綿棒で鼻の奥底の粘液を採取され抗原検査を受ける。
看護師さんの指示に従い、再び駐車場で待機。ラジオを聞きながら連絡を待っていると、ようやく携帯が鳴り、受診された場所まで再び車で移動すると、用紙を渡され陽性であることを告げられる。まさかと思い「よっ、ようせいですか? 」と聞き返すも「陽性です」と言い切られる。

仕方なし・・・・・。

上の空の中、職員さんから、支払いは症状が出なくなってから来てください、処方される薬はなく常備薬で対応してください、後から保健所から連絡がありますので指示に従ってくださいと告げられ、なんとなく「わかりました」と生返事を返す。
さて次に何をすればいいか・・・・・・。思いつくことからつぶしてゆくことにした。
まずは妻にメール。次に職場へ連絡。
家に帰ると、部屋は隔離モードになっていて、妻の指示に従い、手を洗いうがいして着替えた後、ゼリーを食べた後にインフルエンザになった時にもらったロキソニンを飲んで、再び寝床へ。
体温はいつの間にか38.5℃まで上昇していた。
目を閉じるといつの間にか眠っていた。

夕方ごろにショートメールが保健所から届き、必要な登録に取り掛かる。発症から10日間の隔離が必要であると記してあり、仕方なしとあきらめ、すぐにその旨を職場に伝える。
よく読んでいればサクサクできるはずなのに、完了させるのに30分ほどかかり、保健所からの連絡は、電話ではつながりにくいのでショートメールでのやり取りへと変更となったことを知った。

登録を完了すると、急に疲れが出て再び寝床にダウン。

妻が夕飯を持ってきてくれたが、いつもの量に加え、おかずが炒め物だったのでちょっと驚きながらも、「負けてたまるかっ」と気合を入れて、時間をかけて完食。
失われるのではないかと思っていた味覚も嗅覚も依然確保できている。症状としては、のどの痛みと、悪寒と、頭痛と、鼻詰まりという、風邪の症状と変わらない。

しかしである。家と職場、いつものスーパーとホームセンターとコンビニと本屋という限定された行動範囲で、手指消毒、マスクも怠らずにしていたと言うのに、いつ、いったいどこで、誰から、もらったというのだろう。記憶を辿ってもさっぱりわからない。

歯を磨き、シャワーを浴び、着替えて再び寝床に着く。電気を消すと知らないうちに眠っていた。

そこから、2日間、朝ごはん、夕ご飯、シャワーの前後、保健所への体調報告のわずかな時間以外はずっと眠った。24時間のうち、21時間が睡眠時間となっていたので、もうこのまま死んでしまうのだろうかとも思ったが、8時間を開けて4錠服用したロキソニンと、その後に変更したパブロンはなんとか解熱へ向かわせ、少しずつ目を開けていられるようになっていった。

そして現在、薬を飲まなくても体温は安定し、ようやくパソコンを開いて、6日前の出来事を思い出しながら記録を残している。
あと4日間はこの部屋から出られないのであるが、もともと出不精であるので不自由を感じない。意外だったのは、症状のせいか、嫌なことも、心配事も頭の中から消えて、むしろ少しすっきりした気持ちでいられている。

テレビをつけると、いつの間にか甲子園の決勝戦は終わっていて、換気の為に窓を開けると少し涼しさを感じる風が吹いていた。