阪神電車西大阪線の東進:阪神電車の終点が難波になる?

2006年05月26日 | 人生はマーケティングもある。
日経BP社の日経ビジネスオンラインに「阪神買収はともかくとして輸送の現場、とりあえず尼崎の工事を止めませんか」という記事が上がっている

阪神電鉄西大阪線を東伸させて、大阪難波で、近鉄に相互乗り入れするに際して、神戸三宮-大阪梅田が本線である阪神を神戸三宮-大阪難波に変えることを提唱している。

そこで、少し考えてみた。

結論を先に書くとJR西日本、阪急電鉄、阪神電鉄の間に、こと「大阪梅田-神戸三宮発着」に限れば、他の2社にはJRに対する勝ち目はない。

路線のつくりが違う。JR東海道線は大阪-神戸はほぼ一直線といっていい路線。阪神は旧市街地を縫うようにカーブの連続した路線であるから、速度アップは望めない。阪急も西宮北口以西は六甲山系の山すそに沿った路線であるから、同じ状況。

宝塚-大阪梅田の阪急とJRの競合状況もまったく同じ。阪急はJRに時間的に太刀打ちは出来ない。昨年のJR尼崎事故で多少JRがスピードダウンしても大勢に影響は無い。(宝塚線の乗降者数は、運転を再開した昨年6月から4月19日までの期間で前年と比べると97%にとどまっているという。私は3%しか落ちていないと読む。)

阪神間に住み、大阪都心で仕事をする者の実感として、関西私鉄各社にとって、すでに JRは競争の視野に入っていないように思う。

阪神東進によって、競合状況が変わってくるのは、大阪市営地下鉄とのそれであろう。現在、阪神沿線から難波方面に向かう通勤客の多くは、阪神野田駅で大阪市営地下鉄千日前線に乗り換える。阪神西大阪線がダイレクトに難波に乗り込めば、千日前線の利用客は減ることが考えられる(タダでさえ利用者は少ないが。)また、この千日前線は、阪神に乗り込んでくる近鉄奈良線と都心部で平行運行されており、モロバッティング。私鉄と大阪市営地下鉄の戦いは、地下鉄御堂筋線の南部延伸時に南海電車となされたものが有名。

たしかに、阪神電車沿線からダイレクトに難波方面に移動が出来るのは、前述の千日前線という「すでにある市場」を奪い取るという意味でも阪神電車にとって、重要な事業だと思う。

しかし、ひがし、難波行きをメインにするか、梅田行きをメインにするかの判断については、その根拠を対JRに求める筆者の意見は「なるほど」、とはいえないのではないか。

できれば、記事についているコメントの文章にあるように数値の裏づけを持って、ひきつづき検証いただくことを期待している。