オークランド通信

のんびりしたお国柄が気に入りニュージーランド在住27年。仕事、子育て、生活全版にわたって語ります。

その38 Taste of Japan 立礼式お茶会 14-09-07

2007-09-16 04:25:05 | 第31ー40回
その38 Taste of Japan立礼式お茶会 14-09-07

9月8,9日とオークランド博物館で、在オークランド日本国総領事館とNZジャパン・
ソサエティによる共同主催の日本文化祭りが行われました。
書道・茶道、和太鼓の演奏、着物ショー、尺八演奏、合唱、折り紙、切り絵などアトラク
ションも様々でした。
会場は、最近リノベーションの行われた博物館の新館でした。
私達有志9人は立礼式のお茶会を担当しました。
入場無料とはいえ、今年は屋台など食べ物はないし、博物館では敷居が高くて入場者が少
ないでのはないかと案じたのですが、盛況でした。


立礼式の作法は御園棚を使い、お客様は椅子に座って薄茶を頂きます。
この式は椅子点前と言って、明治5年京都の仙洞御所で博覧会が開催された際に、裏千家
11代目玄々齎宗匠が外人客の接待のお茶のために考案された点前作法です。
現今諸流で行われている椅子点前と称する作法は、凡てこの立礼式が規範となっているそ
うです。
最近は東京のホテルあたりで御園棚が常設されていて、希望があれば外国人客にお茶を
たてたりするそうです。


私達は、二ヶ月前7月からこのお茶会のための準備にかかりました。
7月1日に先生宅で、総領事館所有の御園棚をはじめとする茶器の荷解きから始めました。
これらのお道具は、すべて新品で使用するのは今回が初めてとあり、扱いに気を使いまし
た。
なにしろ総領事館のリストにはお値段まで書いてあって、これは3万円の茶杓なのねと言
う調子でした。

私は、御園棚を担当しました。
御園棚は組み立て式で、漆塗りの50センチ四方の板をはめ合わせでいきます。
砂金袋の銘で打ち出の小槌のついた金魚蜂のようなひらひらのふち飾りのついた水差しは、
私が今まで見た中で一番派手でした。
お茶碗も棗もなにももかも派手で、ちょっと悪趣味ではないかと感じたくらいです。
後で聞いたところによると、立礼式のお手前は、絢爛豪華なお道具立てなそうです。
四畳半の茶室の侘寂とは、かけ離れた世界です。外国人には、最初はこの方がわかりやす
いかもしれません。


本番までに2回先生宅でおけいこをしました。
皆んなこのお作法は始めてなので、ああでもないこうでもないと言いながら楽しく、
練習しました。
R子さんが、日本でお茶の先生をやっているお姉さんに問い合わせて、手順を確認してくれ
ました。
外国だから適当にやってもわからないとは思いますが、ひょっとしたらこのお手前の心得
のある人もいるかもしれないので気は抜けません。


Taste of Japanのお茶会当日は、8日3回、9日一回、合計4回のお茶席がありました。
お茶席は17席、見学は25席であらかじめ整理券をだし、幸いにすべて完売でした。
お茶席は一人$5で、私達としてはちょっと高いのではないかと思いました。
先生が亭主、K美さんが英語の解説でした。
英語でうまく解説されたこともあり、厳粛に落ち着いた雰囲気で茶事が進行できてよかったです。
最初に亭主がお茶の頂き方をデモンストレーションして、K美さんが解説しました。

主客、次客にだれを座らせるかは、亭主が決めます。
次客以下のお客は、主客の作法のまねをするので、主客の選定は重要です。
一回目はオープニングにいらしたVIPの方でお茶の心得のある方になって頂きました。

主客、次客まで手前が点て、半東が運び差し上げます。
3客以下は、点て出し(影点て)で水屋で次々と立てて、お運びさんが持って行きます。
この時、歩く距離が長いので、歩き方の練習をしたほどです。
なにしろ、普段は洋装で颯爽と歩くのに慣れているので、その調子だと着物のすそがはだ
けて無様です。
踊りのお師匠さんのM子さんが、膝頭をくっつけて歩けばいいと教えてくれました。
15杯の影立ては、沸かして保温のポットを使い、ピッチャーで分量を量り、お茶を立て
ました。
点て方は裏千家風に泡をたくさんたて、カフェラッテ風にしました。
リハーサルで沸かし置きのお湯を使ったら、ぬるい、少ない、薄いとおいしくなくて、
この方法となりました。
一般の方お茶会をすると、いろんな工夫ないるものだなと思いました。

私が水屋担当の時、お運びさんのM子さんの鼻緒が切れるハプニングがおこり、急遽私が
ピンチヒッターとなりました。
それ以外は練習をつんだかいがあり、私達のお茶会もミスなくスムーズに行きました。


最初は、砂金袋の水差し、大降りの棗を見て、「まあなんと派手な」と思いましたが、最後には、
お道具立ても目になじんできました。
広い会場では、そんなに派手とも感じられず、Auckland Museum の半月型の会場に置くと、
御園棚も思ったより小さく見えました。
総領事館所有の金屏風をたて、足元まで隠れる赤のテーブルクロスをかけたので、緋毛氈みたい
でお茶席らしいセッテングになりました。

お茶会に来てくださった外人さん達も、気分が移ったのか、静かにそろりと退場されていた
のが印象的でした。


私は着物を着るチャンスなので、一日目は色無地、二日目は重陽の節句にちなんで菊の模様の
小紋を着ました。着物も大分なじんできました。
一日目ちょっと寝坊したこともあり気があせって、着物が旨く着れず30分遅刻してしま
いました。
水屋で、皆がよってたかって着せなおしてくれました。
二日目、着れたと思ったら駐車場で車を降りる時にはらりとお太鼓が解けてしまって、ま
た皆に締めなおしてもらいました。
普段のお茶会でも着物を着ているのに、まだまだ経験不足を悟りました。
前日のパーティーでお会いした日本振興会のご婦人方は、ぴしっと決まった隙のない着付
けで、見とれてしまいました。


最近は生花、お茶と日本にいた時より、日本的なことをしてます。
結婚以来、外国を桐のたんすに入れて持ちまわった着物も、着てあげたほうが着物が喜ぶ
だろうと思って、最近はどんどん来てます。
今回は、わたしより上手の人がいて、30年前に買って、一回も袖を通してなくて、仕付
け糸についたまま着てきた人もいました。
私達の世代が着ないと、娘達はますます着物から縁遠くなりますよね。


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1 コメント

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Unknown (スカィ)
2008-03-22 20:37:27
初めまして
明日
桜の花見茶会で
御園棚をすることになったので
検索したところ
ここを見つけ読ませていただきました
今年高校にあがるのですが
中学では茶道部に入り
部長を務めました

歩き方について
膝頭をくっつけて・・
というのはいいですね^^
早速やってみました
参考になりました
ありがとうございます

では
乱文失礼いたしました
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