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ムーブメントを記録する異国人

2015年06月06日 | Weblog
ムーブメントを記録する異国人

交換可能ならば、自分は誰になりたいのか?

即座に否定して、自分がやっぱりいちばんだな、と湯ぶねに浸かりしみじみ考える。今更ね。

気難しい顔。ひねくれた性格。ひりひりとした緊張感を愛好する。窮鼠猫を噛むを実践する主義だとしても。

そんなんでも、自分がいちばん。

しかし、このひとなら充分変わる価値があるというひともいる。

ドイツを離れる。船に乗って。貿易の仕事の傍ら、ニューヨークでレコード会社をつくる。

ジャズは変遷する。良いものと悪いものとの差が分かる。黒人音楽を愛好する。

ロックは68、9年が全盛でジミ・ヘンドリックス、ドアーズ、スライ、ファンク、グッド・ヴァイブレーションズがあって、その後、消える。

ジャズのピークはその10年前辺り。真っ黒な音楽が記録される。

ブルーノート・レーベル。

その当事者のアルフレッド・ライオンになりたい。

生々しい音楽をレコードではなく聴ける。

途中で辞めてしまった演奏もあったかもしれない。

リハーサルにもギャラを出したとも言われている。

友人もやってくる。カメラマンとしての技術があり、自分のデザインを発揮する才能あるひとも加わって、レコード・ジャケットもアートになる。

すると、録音技師がいちばんなのかなとも考えられる。

リバーサイドやプレステッジの演奏も生で余分に聴ける。

だが、どのグループにするかチョイスして、誰をメンバーに選ぶか、その妙も楽しそうだ。

それも上手かったのがブルーノート。

後年、倉庫にある膨大な録音を発掘するマイケル・カスクーナというひとも登場する。ジャズ界のシュリーマン。古代への情熱。

その恩恵を自分も受ける。

販売と未発表にした差がそれほどない。別バージョンも聴ける。

衰える部分も機能もあるが、耳だけはなんとか持ち応えている。

低音を愛好する。オスカー・ピーターソンがブルーノートで録ったら、どうなっていたのだろう。趣味ではないのかもしれない。

自分も本末転倒でレイ・ブラウンのがっちりとした音を聴くために彼の音をかける。

ブルー・ミッチエル、ジーン・アモンズ、グラント・グリーン、トミー・フラナガン、ジョージ・タッカー、几帳面で哲学のないアート・テイラーというメンバーを集めてブルーノートで録音してくれてたらな、とも思う。黒いけど、ひとりピアノだけが可憐にまとめてくれる。

いまは、900円ほどでネットで買える。

月々、1,000円ぐらいで世界の音楽が聴き放題というプランもサイトもある。

しかし、あの時代のあの音楽と熱気をそのままで聴ける術がない。

トランペットのつばきがかかるぐらいの近距離で。

いくらお金を積んでも、できないものはできない。

そして、自分の着ぐるみも脱げないのであった。

湯で、その皮膜を一部、取り去るのみが限度であった。



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