爪の先まで神経細やか

物語の連鎖
日常は「系列作品」から
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笑美人レス-1

2025年01月05日 | 笑美人レス
笑美人レス-1

・お母さん、ぼくの頭のなかにあるクスクス笑いを取り除いて

・真っ白なノートは何かで埋め尽くさなければいけない

・コメディー映画が世の中に足りない(泣くか、タイムトラベル)

朝の喧噪。駅のホーム。
バイきんぐ西村さん風男、電車のドアから突き飛ばされるように押されて同時に女性も飛び出す。
背中から「このひと、チカンです」春菜さん風女性、つかんだ手首を突き上げる。

「こんなブス、触んねえよ」
「いま、ブスって言った、ちょっと駅員さん」

礼二さん風駅員さん登場。一しきりネタをする。
「このひとが? ほな、駅長室まで」
「なんでだよ、弁護士呼べよ」

駅長室。
ウーマン村本さん風弁護士登場
「何でも、解決できないことがあっても、わたしが来れば、もう解決済みといっても過言じゃない」
「わたしが被害者ですからね」
「わたしは、そもそも、どちらの弁護を?」
「ぼくですよ、疑われている、ぼくですよ」

「すみません」岩井ジョニ男風男、ドアを細目に開けて声をかける。
「わたし、後ろにいたんですけど、これが当たっていたみたいで、勢いにのまれて、つい、言いにくかったもんで、こんなことに」とがった荷物を取り出す。

「まぎらわしいもの、満員電車で」と、駅長。「じゃあ、これで解決だね。よかった、よかった。一件落着」

「なんだよ、わたし、ブスって言われただけじゃんか」

弁護士。「トラブルが残っていませんか? なんでもいいんです。小さなものでも、おこぼれでも」
駅長、「ないよ、お引き取り下さい」
駅員のホームアナウンスが流れる。
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あの日を望んだわたし-4

2025年01月04日 | メカニズム
あの日を望んだわたし-4

次の日の夕方。壁の時計をにらむA。

C:「どうかしたの? 時計ばっかり見て。昨日、あんなに残業うれしそうだったのに。終わったら、おごりとか簡単な条件出されただけで」

A:「うん、まあ」

C:「肌、つかれた?」

A:「え?」
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あの日を望んだわたし-3

2025年01月03日 | あの日を望んだわたし
あの日を望んだわたし-3

Aの部屋、夜

B:「疲れた、初出勤日。大学生がやっぱり、いいな」バッグを置いて、テーブル前に座る。Aはキッチンで慌ただしく準備している。「マコトラブと記念日のパス、何回、使ったんだろう」

A:「ありがとう、たまってた家事も片付いたし、図書館で調べ物までしちゃった。有意義、有意義。ついつい後回しにしていた資料に使えそうなものも発見できたよ」

B:「よかったね、そうだ、明日、残業、頼まれた」

A:「え、ダメじゃん。デート入っているから」カレンダーを見る。「断りの電話いれるか、ほら、スマホ返して」

B:バッグからスマホを取り出して渡す。「わたし、行くよ」

A:「えっ?」

B:「デートぐらい、行けるよ」
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あの日を望んだわたし-2

2024年12月29日 | あの日を望んだわたし
あの日を望んだわたし-2

A:「なんかよかった。平日の思いがけない休みになって。二重生活ばんざい」天をあおぐ。「そうそう、鍋でも作ってやるか。仕事、一日、任せちゃったし。あれ、わたし、妹みたいなの欲しかったのかな。世話やきたいのかな」

豆腐屋の前を通りかかる。

「湯豆腐でいいか。あのころのわたしも、好きだったし」

店主:「こんにちは、あれ、今日、休み? 珍しいね」

A:「まあ」

奥から店主の妻、顔をのぞかせる。「あれ、朝、いつもの時間にみゆきちゃん、店の前、駅の方に向かってたの見たと思ったけど、あれ、今日だったよね」

A:「そうですか。似てる人、この辺にいるって聞いたことあるかも。美容院でも、この前、そんなこと言われたし」

店主妻:「そう」首を傾げる。

A:「今晩、湯豆腐にしようと思って。何丁ですかね?」

店主:「湯豆腐ね、あったまるし、いいね。ひとりなら、これぐらいで充分でしょう」

A:「もう少し、もらおうかな」

店主妻:「こんなに食べられる? 彼氏さん、くるの?」

A:「ひとり、ひとり。でも、余って困らないのが、豆腐の良さですよ。ヘルシーだし」

おつりの受け渡し。

店主:「まいど」

店主妻:「似てる子、いるのね」
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あの日を望んだわたし-1

2024年11月03日 | あの日を望んだわたし
あの日を望んだわたし-1


夜の街を歩く女性。仕事帰り。帰宅途中。コンビニの袋をぶら下げている。

A:「ああ、今日もうまく行かなかったな。最近、彼ともなんか気まずいし、数年前、大学ぐらいからやり直したいかな」

自宅に近づいている。マンションの窓を見上げる。

A:「あれ、朝、電気消してなかったっけ?」

鍵を開ける。見なれない靴が玄関にある。窓際のカーテンが揺れている。

A:「あれ、窓も開いている? もしかして…」

咳払いの音。

A:おどろきながら「誰かいるの?」

B:「わたし」

A:「誰?」

B:「数年前のあなた」

A:「なんで?」

B:「誰かが、ぼやいたので、未来に引っ張りこまれた。わたしも、未来の自分、どうなっているんだろうと、ちょっと、願ったのも悪いんだけど」

A:「SF、とんだSF」

B:「映画でしかありえない」苦笑い。「ところで、なんか、その袋に食べられそうなもの入ってるの?」

A:「普通にお腹、減るんだ?」

B:「減るよ、いつもより余計に。ある意味、旅行といっしょ」

テーブルにいくつかの皿。

B:「想像の延長線以上にいないね」グラスを持ちながら室内を見回す。

A:「すみません。期待をどっちにも裏切らなくて」ため息。「で、どうやったら、戻れるの?」

B:「知らない」不満顔。「とりあえず、今日はここで寝なきゃ」

A:「向こう、あなたがいなくて困らないの?」

B:「時空の問題なんか知らないよ。あっちにも、あっちのわたしが残ってるんじゃないの」あくび。「お腹いっぱいになった。パジャマ、貸してくれる? サイズももう分かっているから」

A:「太ってないからね」優越感のある表情。

B:「そうだね、おやすみ」

A:「明日、寝坊したら、仕事に行ってくれない?」

B:「明日もいるか、分かんないし」


朝、身支度を整えているB。

B:「なんか緊張するな。スマホ貸してよ」画面に触る。「指紋も同じだね」

A:「そりゃ、そうよ。行ってらっしゃい。困ったら、家電にかけて、登録してあるから」


職場に着く。同僚に会釈するB。

C:「昨日、ごめんね。言い過ぎたかも」反省している素振り。

B:「全然、気にしないで下さい」首を傾げる。

C:「あれ、肌の調子よくない? 髪形もなんか可愛いし」

B:「そうですかね…」にやけ顔でパソコンを開く。「パスワードか、いつものパターンね」警告音。「彼氏の名前に好き。SUKI」もう一度、警告音。

C:「どうしたの?」

B:「すいません、ちょっと席外します」

給湯室の隅。

B:「パスワードかかってるよ、あのパターンじゃないの?」

A:「マコト、LOVEだよ」

B:「ラブ?」スマホを片耳に押したまま笑う。「アップグレード。いや、ダウングレード」

Bしずしずと席に戻る。

B:「開いた。レッツ・パーティー」

C:「どうしたの? 朝から変だよ」

B:「いやいや。いつも通りですよ」
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