爪の先まで神経細やか

物語の連鎖
日常は「系列作品」から
http://snobsnob.exblog.jp/
へ変更

ドイツ

2006年05月31日 | Weblog
本チャンも ゴール2点で 決めてくれ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マッド

2006年05月30日 | Weblog
公園に 群がる猫に 説教し

電車には 私営駅員 今日もまた 頼まれもせず するアナウンス
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品(2)-6

2006年05月29日 | 作品2
フー・ノウズ フー・ケアーズ

Chapter 6

 季節は、確実にかわり、月日は、秋の日差しのように人々を置いてきぼりにし、束の間である人生を、もっと早めようと躍起になっている。
 その中で優二は、まだ無名のままでいる。つまり、彼の創作した絵画に、視線を集められない状態でいる。その不安定な足場を満潮時の海水のように、失意が彼の膝元まで登ってきている。

 生涯で一枚しか絵が売れなかった画家がいる。その絵画には、人をひきつける魅力がなかったのだろうか? それとも、そもそも値打ちや価値がなかったのだろうか? 現在の優二は知っている。そんなことは、ないと。
 彼も、すでに36歳になっていた。間もなく37歳を目前に控えている。あの人の月日。麦畑で費えてしまうある画家の人生。
 こころの交流を最低限にして、その自らの芸術と向かい合うような日々は、いずれ破局をむかえるのは、目に見える事実ではないだろうか。しかし、そうするしか方法論がないのだ。そこまで、自分を伸ばすことに誠実なのだ。

 彼は、日記を手にする。あの画家の。最良とはいえない文章かもしれないが、どうしてこれほどまでに人の心にダイレクトに伝わるのだろうか、と別の面から納得できない優二がいる。
 彼の心も崩壊に向かっているのかもしれない。以前の友人を断ち切ってしまった。家にも戻れないでいる。彼の弟が、その家族を新たに作り、幸福な一枚の写真を送ってくる。彼には、芸術を突き詰めるしか、残された道はなかった。

 彼は、壊れそうな頭脳と神経を抱えたまま、外出する。爽やかな日差しを浴びるのも久し振りのような気がしている。それでも、ある画廊に足は、向かっている。

 なぜか、彼の家のポストに入っていた招待券。それは、いま脚光を浴び始めている画家の作品を発表するためのものであるらしい。詳しくは分からないが、なぜ自分のところに届いたのだろう、と彼は、いくらかいぶかしげだ。

 その前に広々とした公園で休憩していた。ペットボトルの水を飲み、疲れをいやそうとしている優二。背中や、手の平が汗ばんでいる、すこし目をつぶった後に、彼は、また歩き出した。

 画廊に入って、絵に集中する。どんな絵画からでも学ぶことは出来るのだ。彼は、一人の少女の肖像に目が奪われる。その、可憐な、赤みを帯びた頬。

 そこへ、少し話しながら一組の男女が、彼の横に現れる。その絵にそっくりの、いや十年ぐらい経ったらこうなるはずだ、というそのままの時間軸を感じることのできる女性。そして、恋人らしき男性。かすかに横目で追いかけると、次の絵にむかってしまった。

 優二に、希望が生まれる。いまの二人のような、美しい男女を自分の絵に取り組むのは、どうだろう。彼の中から、活力が生まれる。もう一度、その二人を見て、脳裏に焼きつけ画廊をあとにする優二。さあ、今から、今日から取り掛かるのだ。

 こうして、ある芸術家の救済をするような終わり方で、幕を閉じる。手を文字通り絵の具で汚した分だけ、成長する絵描き。そして、日常と芸術の狭間の悶え。さらに人生マイナス困難のエピローグ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

普通(太陽浴びたい)

2006年05月28日 | Weblog
ビル谷間 燃える夕焼け 明日晴れ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山下洋輔

2006年05月28日 | Weblog
鍵盤を 叩いて壊す 寸前で
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ルッキン・フォー

2006年05月28日 | Weblog
傘開き どこにいるのか 雨女
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品(2)-5

2006年05月27日 | 作品2
フー・ノウズ フー・ケアーズ

Chapter 5


 優二は、真相を知る。逆に、真相の持つエネルギー自体が、彼を追い抜こうとする。
 彼は、友人に呼び出され、酒を飲んでいる。ウオッカ・ベース。透明な色。
 
 その薄暗い店内にたたずむ2人。お互いの表情も、いくらか読み取れなくしている。
「この前、どうだった? 会ったんだろう」動物園での一件。
「ああ、楽しかったよ」
「いいこだろう? 気さくだし、話しやすいし」
「そうだね。気楽な感じで、いられたよ」

 酒がすすむ。隠れている真実、臆病気味の真実が表に出ようとしている。
 その優二のためを思っていてくれる友人には、本命の恋人がいた。本命ではないのもいたらしい。それが、優二と、この前に会った女性であったのだ。彼女も、その前にすすまない関係を解消したく、優二と会ったのだ。

 優二の表情は、その店内にいる所為で、うまく誤魔化せたかもしれない。目の前で、扉が閉じられる瞬間。彼は、希望を持ち始めていたのだろうか。その店内に聴こえてくれる優しい、マーヴィン・ゲイ。
「また会いたいとか言ってなかった?」
「そんなことも言ってたような」
「なんだ、はっきりしないな」
 問い詰めたいのは、優二だった。こうした感情は、潔癖すぎるのか。みな、普通にやり過ごせるのか? と彼の酔い始めた頭脳は、問答する。
「どうする?」
「彼女に、その気はないんだろう」優二に、なかったのだ。

 外に出ると灰色の雲。黒ずんだ板塀。女性の気持ち。
 優二の電話が鳴った。その当人の女性からだった。
「この前は、楽しかったです」
「ごめん、ぼくの都合に合わせてもらっただけだよね」
「今度の週末、車が空いているので、あの言っていた場所に行きません?」

 彼は、断ってしまった。彼女は、友人の存在を打ち消そうとしているだけなのだ。彼に、興味はないはずなのだ。電話が終わる。また、空虚さが残る。

 彼は、地下鉄に乗り、文庫を開いた。明治時代。そこに自由な選択は、あったのだろうか。迷える気持ち。服の内ポケットに潜んでいる電話。さっきは、悪かった、とあやまろうか。いや、それには遅すぎるような気がする。
 
 家に着き、水を大量に飲む優二。幸福を掴みたくないのは、自分なのだろうか、と自問する。服をたたまずに、適当に脱ぎ捨て、ベッドに横になった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドア・イン・ザ・フロア

2006年05月26日 | Weblog
酒飲みは 眠るのではなく 気を失い
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホワイ?

2006年05月25日 | Weblog
おろしたて なぜかワイシャツ 染みができ 泣く泣く洗い 干して吹き飛ぶ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品(2)-4

2006年05月24日 | 作品2
フー・ノウズ フー・ケアーズ

Chapter 4


 数日、経ってしまった。その分、彼の持ち時間が、ちょっとだけ、何日か分だけ減ってしまった。

 その間も、彼は仕事をしている。というよりこなしているという方が正解かもしれない。
 ある頼まれ仕事。ホームページのキャラクターの原案を、イラストを描くソフトを用いて描いている。こうした、力の入らない仕事に、彼の性分が合っているのかもしれないが、本人はいささかも認めようとしない。需要と供給。

 さらに数日が過ぎ、この前いっしょに飲んだ女性を誘うように、友人から再三、強要される。彼は、仕方なしに電話をかける。この辺が、明確な意思を欠いている結果かもしれない。

 彼は、自分の都合を含め、動物園に行こうとする。スケッチブックを手にして。

 それでも、描きながらでも、会話は出来るもので、彼女の、その明るい社交性にいくらか、自分の暗部に日が当たり、救われる気分がするのを、正直にこころに向き合うと感じてしまう。

 彼女は、通信会社で働いている。年齢は、28歳。妹がいて、その家庭内でのやりとりを聞くと、彼のこころは自然とほころぶ。10代の頃は、ダンスに励んでいる生活を送ったそうだ。
 でも、このデートに乗り気かどうかは、彼には分からない。彼そのものが、女性の本質をつかめない性分なのかもしれない。

 彼は、自分の指で構成した象を見せる。やはり、そのタッチに彼女は、驚きその絵を欲しいと言う。彼は、気軽にきれいに破って、その絵を渡す。その程度ならいつでも性能の良いコピー機のように、複製できる自信があるので。

 日も陰ってきて、彼らは終了の音楽とともに、門に向かう。その暗くなった木陰を歩いているときに、自然に指が触れた。それから手を握った。

 ある店に入る。いくらか賑やかな話し声がする。そして、タバコとアルコールの匂いも混じり合う。

 彼女は、やはり気を使っているのだろう、空白を埋めるように、また家族や妹との話で彼を笑わせてくれる。また、会社内で起こった、さまざまなエピソードも。彼女の唇には、天性の話術の能力があるのかもしれない。彼は、再び笑う。そして、鬱々とした気持ちが溶解するような錯覚に陥るが、それは、やはり錯覚だった。

 すこし酔った足取りで、2人は店をあとにする。

「また、会ってくれますか?」と彼女は、勇気を振り絞った感じの声を吐く。
「いいよ」と彼は、応じた。
 そこで、地下鉄に乗るため、階段をおりる二人。数滴、雨が彼女の肩に、きらりと光ったように見えた。そして、彼女の眼の中にも、それに劣らないきれいな光が宿っている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これって、もしかして

2006年05月23日 | Weblog
メール欄 彼女の名前ばかり増え
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

優遇策

2006年05月22日 | Weblog
地下鉄の 中見渡せば 男だけ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

UV

2006年05月21日 | Weblog
シャワー浴び 昨日の日焼け しみる腕
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品(2)-3

2006年05月19日 | 作品2
フー・ノウズ フー・ケアーズ

Chapter 3

 
 彼が、用事をすませて家に着くと、ポストに手紙が入っていた。見慣れない封筒の形。エア・メール。封を開いて読み始める。

 お元気ですか。
 あっという間に時間というのは、過ぎてしまうものですね。
 優二君と過ごした一時が、とても懐かしく感じられます。そう遠い話ではないのに。

 わたしも、やっとこちらの生活に慣れてきました。午前中は、語学の学校に通って、午後は、毎日ではないのですが、絵のクラスにも入っています。
 そこでは、やはり本場だけあって、とても密度の濃い時間が過ごせています。
 その授業がない日は、新しくできた友人と連れ立って、いろいろな所も見て廻っています。同封した写真も見てくださいね。

 ご飯は外で、安いこともあるし食べることも多いのですが、見よう見真似で自分でも作っています。手際は、そんなでもないことは、保証済みですよね。

 そちらの生活はどうですか? 仕事の方も、はかどっていますか? 優二君は、直ぐに挫けてしまうようなことは、ないと思いますが、時々、息抜きも必要ですよ。
 デートなどもしていますか? よく女性の話に耳を傾けてあげてくださいね。お節介かもしれませんが、わたしからの忠告です。守ってください。

 あまりに、ここでの生活が楽しいので、戻ることを考えたくない心境になっています。また、周りの空気とか、本物の芸術に触れる機会もたくさんあるので、その面でも刺激的です。優二君も将来、短い期間でも来て、きちんと自分の目で確かめた方が良いですよ。

 長くなりましたが、今の気持ちを知って欲しかったので、書きました。

 では、お元気で。

 彼は、その便せんをていねいにたたみ、封筒に戻した。そして、机の中にしまった。
 玄関に置きっぱなしの食材を冷蔵庫にしまい、かわりにビールを出して、缶を開けた。飲みながら、なぜか鼻の奥がつんときた。それから、彼女の、あの長い髪の匂いがするような気がした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春眠

2006年05月16日 | Weblog
居眠りし ここはどこかと 騒ぐオレ

居眠りし 辺り見回し 胸騒ぎ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする