50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

丁寧な仕事ぶりに、感動・・・

2008-03-22 05:21:53 | パリ
今住んでいるスチュディオの階段、その踊り場に突然、ビニールシートが。



工事をする際の養生ですよね。建物全体で5ヶ所ある階段踊り場、その窓の下にビニールを一日がかりで張っていきました。それなりにしっかりした張り方ですので、ちょっと大掛かりな窓の修理でもやるのだろうと思っていました・・・実は、これが1ヶ月ちょっと前の出来事。

ビニールを張ったまま、何ら工事は始まらず、1週間後、再び職人さんがやってきて窓枠のさび落しをやっていきました。いよいよ工事が始まるのかと思ったら、また、何ら音沙汰なし。どうしたのやらと思っていたところ、10日後にペンキとともにやってきました。白いペンキで、とりあえず塗りましたという塗り方。下塗りなのでしょう。



そして再び、時が止まってしまったかのように、何ら進捗なし。1週間後、職人さんが再びペンキを持って登場。上塗りですね。これで完了なのだろうと思ったものの、ビニールの養生は残されたまま。いい加減だなと思っていたら、実はまだ工事は終わっていなかった。さらに1週間後、再び上塗りに。きれいに塗りあがりました。これで1ヶ月。時間はかかるものの、丁寧な仕事ぶり。タイム・イズ・マネーでは全くないものの、さすがフランス、職人の技、と感心したのですが、まだ養生のビニールシートは残されたまま。さらに上塗りするのでしょうか。それとも養生のシートを取りに来るのも1週間か10日後? 窓枠を塗り直すだけで1ヶ月以上、まだ、まだ終わらない・・・

同じ人が何ヶ所も担当している、しかも作業は時間をかけてゆっくりと進める。たぶんこうしたやり方のせいなのでしょう、以前にもご紹介したメトロの駅の工事、まだ終わっていません。


6号線、モット・ピケ・グルネル(La Motte-Piquet Grenelle)の駅。去年の3月からですから、もう1年。駅舎の補強工事は予定通り半年で終わったものの、エスカレーターの取替え工事が、まだ終わらない。今年の2月中には完成予定、とパネルまで作って言っていたのですが、3月、まだ完成していません。1週間に1日ではなく、1ヶ月に1日程度の作業で進捗しているのかもしれないですね。つい私などは、スケジュールは日単位で考えてしまうのですが(サラリーマン時代は、時間単位や時には分単位)、フランスでは週単位がどうも当たり前のようで(ちょっとした修理がすぐ2~3週間かかってしまいます)、そして時には月単位。『南仏プロヴァンスの12か月』によると南仏では季節単位だそうですから、メトロ駅の工事を担当している会社には南仏出身者が多いのかもしれないですね(?)。きっと夏の観光シーズンまでには完成するのでしょう。


このステンドグラスは、新装なった6号線・ビラケーム駅(Bir-Hakeim)のプラットフォームに取り付けられたもの。メトロを停めずに通過させての駅舎改修工事、予定通り3月11日には停車するようになりました。やればできるんだ、と思ったのですが、さすがフランス、そう簡単に問屋は卸してくれない。


エスカレーターは稼動していますが、地上に降りる出口が片方しか完成していない。しかも、地上に降りると、降りたほうの出口がまだ工事中。反対側まで歩いて出ていかないといけない状態。4月には完成すると、しっかり表示はしていますが・・・

やはり、ここは、ラテンの国。ゆっくり、急がず。とはいうものの、階級社会ですから、エリート層は猛烈に働いているようです。サルコジ大統領も睡眠4時間とか。確かに夜8時や9時にラ・デファンス地区からメトロに乗ってくるサラリーマンも結構います。しかし、庶民は、仕事よりも、ワインを飲んで楽しくやろうよ。人生は楽しむためにある。仕事は苦役、仕方なくやるものさ・・・階段のビニールシート、剥がされるのは、いつになるでしょうか。今月か、来月か、と考えるのは止めて、この春か、あるいは夏になるか、と自然に考えられるようになると、フランス暮らしももっと楽しくなるのでしょうね。でも、そうなったらなったで、日本に戻ってからが心配・・・


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8 コメント

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仕事の丁寧さはあの絵から (クリニャンクール)
2008-03-22 08:01:51
 お久しぶりです。takeさん、あまり頑張りすぎないでくださいね、読む側からは楽しいのですが、ほどほどでいいですから。
 あの絵とは、G.カイユボットの「床を削る人々」の逆光に照らされながら、ひたすら床を削る3人の姿です。
 去年の技能オリンピックで、仏はIndustrial Control/工場電気設備で金メダル、Wall&Floor Tiling/タイル張で銀
メダルと仕事の丁寧さには立証済です。
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Unknown (レイ子)
2008-03-22 09:32:48
ううん・・・・。なんか、ラテンの国の庶民は幸せだなって感じてしまいます。
分単位で働いて仕事を仕上げても、また次の仕事が入ってくるだけですもんね。
気の向くまま・・・とまではいかないまでも、季節単位で物事が考えるぐらいが、長く仕事できそうですね。
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さすがフランス (ぐらっぱ亭( ̄ー ̄))
2008-03-22 10:47:28
以前も同じコメントしましたが、色使いの妙を楽しみました。これなら、完成が遅れても許しちゃうみたいなところ、ありません?それに引き換え・・・日本の工事現場の無粋なこと。尤も、作業は多分フランスよりかなり早いでしょうけど。それほど金のかかる話ではないんだから、少しその辺考えてくれてもよさそうなんですがね。
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Unknown (ぽん)
2008-03-22 12:35:48
いろんな業種や各地域で仕事をしていますが
求められるスピードや質は国内でもだいぶ違いますね。
価値観も多様化していて、何が正しくて何が間違っているのか
わからなくなっていまうことがあります。

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依頼主 (take)
2008-03-22 17:25:31
レイ子さん

おっしゃる通りで、働くのは楽そうですよね。でも、同時に、仕事の依頼主もあわてないことが求められますね。何かを届けてもらう、何かを修理してもらう・・・週単位、月単位、あるいは約束をすっぽかされる・・・それでも「お互い様」になれれば、大丈夫なのですが・・・日本の消費者は世界で一番うるさい、といわれていますし・・・
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日本の職人技 (take)
2008-03-22 17:27:39
クリニャンクールさん

フランスはメダルふたつですか・・・日本はどうでしたか。昔は多くのメダルを取っていたような気がするのですが。丁寧に、しかも早く。今の日本はどうなんでしょうか。
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遊び心 (take)
2008-03-22 17:31:12
ぐらっぱ亭さん

私も、以前どこかで書いたような気もするのですが、やはり、遊び心なのではないかと思っています。ちょっとした遊び心がデザインに生きている。その分、時間はちょっと余分にかかりますが。日本は事務的で、コストをかけず、そしてスピード。しかも、横並び意識。無粋になってしまうのかもしれませんね。でも、江戸時代とかには、「粋」の世界があったようにいわれていますが・・・
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違い (take)
2008-03-22 17:34:15
ぽんさん

均質社会といわれる日本でも、地域差は大きいようですね。それぞれにその違いが生まれた背景もあるのでしょう。正しいかどうかというより、違いを認め合う方向へ行ければ良いのかなと思うのですが・・・国と国との違いも同じかなと思っています。
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