ある秋の日の弾痕の鉄兜 和知喜八
これは一物仕立のようで二物衝撃の句ととりたい
上五中七を助詞の」で」つなぐことに作者の思いを感じる
戦後まだ日の浅い時期での作だろう
鉄兜の弾痕は作者の戦争への慙愧に相違ない
なかなか消えるわけもない
(小林たけし)
【秋の日】 あきのひ
◇「秋日」 ◇「秋日影」 ◇「秋日向」
秋の一日にも、秋の日差しにもいう。秋の日は暮れやすく、どこかあわただしい感じがある。初秋の頃は夏を引きずったような強い日射しも、次第に和らいで行き、空気も澄んできらきらと輝くようである。立秋から晩秋までひろく示すが「秋の日輪」のみを示すこともある。
例句 作者
「生きている」自分を探す秋の景 佐古澄江
「革命」のピアノ鳴りやまずホテルの秋 川崎幸子
あざやかに昃るを秋の喪としたり 松澤昭
あんまり笑うから対角線に秋 早川里子
いつよりか秋の歩幅になりにけり 根岸敏三
おんなじに秋のふらここさらさら砂 伊東類
かの秋も広島の川澄みたるか 後藤章
くずし字を詠まんと秋の白秋碑 吉本孝雄
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏
こうのとり翔べり野性の秋拡げ 森田透石
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