石一つ堰きて綾なす秋の水 深見けん二
遠い源流から
時間をかけて流れくる小石
時には何年もかけてたどりついたような大きな石も
関の前におりかさなっている
その石の隙間をぬって流れる秋の水
流れる水と澄んだ空気に彩られて
日に綾なす石のそれぞれの美しさ
作者の発見の感動が読者にダイレクトに迫って来る
(小林たけし)
【秋の水】 あきのみず(・・ミヅ)
◇「秋水」(しゅうすい) ◇「水の秋」
秋のころのよく澄みわたった水。川の水に限らず、湖沼・池はもちろん器の中の水を詠むときなども使う。触れてみれば思いのほかに冷たい。
かろうじて透明であり秋の水 杉浦圭祐
やや重くなりし秋水汲み上ぐる 野田哲夫
十棹とはあらぬ渡しや水の秋 松本たかし
水の秋子鷺脚まで透けて佇つ 稲葉茜
生も死も愛も一会や水の秋 鶴岡しげを
石亀の足をひらひら水の秋 勝又民樹
秋の水水琴窟の音となり 堀良子
秋の水湛える地図から消えた村 黒田紅玲
秋の水自在に彩を得て愛し 戸田明子
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