竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

先頭の蟻を知らない蟻の列 栗林浩

2020-05-07 | 今日の季語


先頭の蟻を知らない蟻の列 栗林浩

蟻の列の先頭は大任である
後につづく蟻は素直に同じ歩調でついて進む
あの小さな体で先頭をうかがうこともない
号令や意思伝達はどうしているのだろう
掲句の先頭の蟻を蟻の列は知らばい はいいえて妙だが
人間世界でも盲目な従者(国民)は珍しくない
作者のニヒルな顔つきがうかがえる
(小林たけし)


【蟻】 あり
◇「山蟻」 ◇「大蟻」 ◇「黒蟻」 ◇「働蟻」 ◇「蟻の道」 ◇「蟻の列」 ◇「蟻の門渡り」(ありのとわたり) ◇「蟻の塔」 ◇「蟻塚」
アリ科の昆虫の総称で、どこでも目につく。蜂とともに社会生活をする虫として知られる。甘いものを好む。延々と列を作って進むことを[蟻の道」といい、行き違うとき触角を触れ合い、何が話でもするような格好をするのが面白い。[蟻の塔」(蟻塚)は、巣を作るときに土を掘り出して積んだものである。

例句 作者

埋めきれぬ時間大きな黒い蟻が来て 福富健男
夜の卓に逃亡兵の蟻が来る 守谷茂泰
夜の蟻迷へるものは弧を描く 中村草田男
大蟻の雨をはじきて黒びかり 星野立子
大頭の黒蟻西行の野糞 金子兜太
山の蟻日向日かげを走りけり 平佐悦子
山蟻の尻ふてぶてしいくさあるな 吉田未灰
山蟻の輪ゴムをめぐり世をめぐり 中井不二男
山蟻の運ぶ夕日のかけらかな 川崎益太郎
山蟻の黙っておれば肩まで来 田中不鳴
山頭火の句碑へ真直ぐ蟻急ぎ 谷川彰啓
巡礼のように蟻ゆく爆心地 和田浩一
帯状疱疹東西無しに蟻走る 河野南畦
床の蟻惑わば惑え熱を病む 金子兜太
心眼を養ふための蟻の列 大滝徳美
月見坂蟻来て蟻に獲を渡す 大類準一
本を読む視野に入つて来たる蟻 後藤章
棄つるものきつく縛れば夜の蟻 松本加代子
森一つ動かしに行く蟻の列 梶川礼子
歩幅をも変へさす蟻の力かな 吉田南舟子
毛根痛し小走りに蟻すぎゆき 村井和一
火の山の怒り激しき蟻拾ふ 國定義明
片脚の蟻くるくると回りをり 照井翠
玻璃戸より蟻の仔細をうち眺め 後藤章

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