goo blog サービス終了のお知らせ 

竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

あをあをと瀧うらがへる野分かな 角川春樹

2021-09-16 | 今日の季語


あをあをと瀧うらがへる野分かな 角川春樹

滝がうらがえる
野分を作者独特の語彙で表現
あをあをもなかなか言えそうで言えない


【野分】 のわき
◇「野わけ」 ◇「野分晴」 ◇「野分後」(のわきあと)
雨を伴わない秋の強風。草木を吹き分けるほどの風というのでこの名がおこった。野分のあとはからりと晴れるが、秋草や垣根の倒れた哀れな情景が見られる。「秋の風」より激しく吹く。

例句 作者

いろいろの枕の下を野分かな 加藤郁乎
なんと云ふさだめぞ山も木も野分 細谷源二
アフリカの縞馬迷う野分かな 田井淑江
オリーブは眠れる木なり野分だつ 浦川聡子
ハルモニの後ろ手に立っていて野分 橋本直
モンゴルの野分の音か馬頭琴 今泉三重子

みないるぞ南洲墓地の虫しぐれ 中尾和夫

2021-09-14 | 今日の季語


みないるぞ南洲墓地の虫しぐれ 中尾和夫

西郷南洲の墓所での虫時雨
作者は思わず万人に愛された南洲に声をかけてしまった
(小林たけし)


南洲顕彰館は
1977年、西郷隆盛没後100年を記念して建設されました。西郷の生涯・思想・業績などをわかりやすく紹介したジオラマやビデオをはじめ、西郷の衣服や西南戦争に関する資料などを展示しています。
その他、西郷を祭った南洲神社や、西南戦争で戦死した2千人以上の人々が埋葬されている南洲墓地が隣接しています。南洲墓地は1955年1月14日に鹿児島県指定史跡に登録されています。


【虫】 むし
◇「虫の声」 ◇「虫の音」 ◇「虫時雨」 ◇「虫の秋」 ◇「虫の闇」 ◇「昼の虫」 ◇「すがれ虫」 ◇「残る虫」
秋鳴くコオロギやキリギリスなどの虫の総称。ただし鳴くのは雄のみ。虫の音色にはそれぞれ風情があり、秋の夜の寂寥を深める。また、盛りの時期を過ぎ、衰えた声で鳴いている虫を「残る虫」という。

例句 作者

あかつきや歩く音して籠の虫 岸本尚毅
ある闇は蟲の形をして哭けり 河原枇杷男
いさみ足で今日が終りて虫しぐれ 井川春泉
きのうのように出土の甕棺昼の虫 松本昌平
けふはけふの山川をゆく虫時雨 飴山實
どっこい生きて蟲の挽歌を聞いている 平川義光
アンコール曲ハミングはみんぐ 虫すだく 山本和子
コンビニの外は深海虫時雨 尾崎竹詩
チリリリコとうっとりさせる秋の虫 末広鞠子
バス去りて虫の音高くなりにけり 中村圭作
一筋に夜明けし路地や虫の声 佐野青陽人
五六人降りてゆく駅虫の声 田中不鳴
今日よりはこの世の虫として笑う 行川行人

物置で少年倶樂部読む厄日 星野明世

2021-09-10 | 今日の季語


物置で少年倶樂部読む厄日 星野明世

少年期の回想だろうか
物置に叱られて逃げ込んだのか、閉じ込められたか
本人にとってはたまさかの厄日
それでも「少年倶楽部」が手元にあるのだから
(小林たけし)



【二百十日】 にひゃくとおか(・・トヲカ)
◇「厄日」 ◇「二百二十日」
立春から二百十日目で、9月1日、2日ころ。二百二十日はそれから10日後。この頃は暴風雨に襲われることが多く、また稲の開花期にも当たることからその被害を案じ、農家では厄日としている。

例句 作者

恙なき二百十日の入日かな 伊藤松宇
移り行く二百二十日の群鴉 高浜虚子
川波も常の凪なる厄日かな 石塚友二
高う飛ぶ蜻蛉や二百九日尽 松内大隠
たゞ鰡の釣れに釣れたる厄日かな 河原白朝
魚匂う俎板二百二十日過ぐ 青木千秋
砂濱に藻を焼く煙り厄日過ぐ 棚山波朗
厄日過ぐ身を締むるものみな外し 神田ひろみ

色鳥とイエスの見える厠かな 谷口慎也

2021-09-08 | 今日の季語


色鳥とイエスの見える厠かな 谷口慎也

作者は憚りの最中である
小窓から観える景
渡ってきたさまざまな渡り鳥をやさしい目で愛でている
ふとあのイエスがあえあわれたように感じた
作者の得たりの顔が浮かぶ
(小林たけし)


【色鳥】 いろどり
秋に渡ってくるいろいろの小鳥類。色彩の美しい鳥が多いので総称して色鳥という。人里の木々の葉の間に見え隠れするときの美しさは、秋ならではのものといえる。

例句 作者

色鳥や籠ごと量る赤ん坊 美濃部英子
色鳥や公園横の帽子店 福島壺春
色鳥やむしろすがしき朝の飢 金子 潮
色鳥や森は神話の泉抱く 宮下翠舟
色鳥に枯山水の景緊まる 成田昭男
雨の庭色鳥しばし映りゐし 中村汀女
色鳥やナプキン尖る朝の卓 橋本栄治
色鳥や黒姫よりの雲の帯 久米三汀

草ごもる鳥の眼とあふ白露かな 鷲谷七菜子

2021-09-06 | 今日の季語


草ごもる鳥の眼とあふ白露かな 鷲谷七菜子

作者は朝のウオーキングだろうか
露に濡れた草の中の巣から鳥がゐる
とおみったらその鳥と目があった
朝の一刻の体験を切り取った
シャッターを切ったような写生だ
(小林たけし)

【白露】 はくろ
二十四節気の一つ。秋の陰の気が積もって露を結ぶの意。陽暦の9月7日、8日頃に当たる。同じ「白露」でも「しらつゆ」は草などに結ばれた露の白さを表現するものである(秋・天文)。

例句 作者

かの地主白露に白き鶏放ち 久保田慶子
ゆつくりと湯呑砕ける白露かな 小豆澤裕子
二階から声のしてゐる白露の日 桂信子
白露に薄薔薇色の土龍(もぐら)の掌 川端茅舎
白露に阿吽(アウン)の旭さしにけり 川端茅舎
白露の日神父の裳裾宙に泛き 桂信子
白露の月窓にしみじみ帯を解く 河野多希女
白露や一匹の虫のわれが佇つ 新谷ひろし
白露過ぐ鯉に長途のあるごとし 戸田和子

水平線大きな露と思ひけり 大串章

2021-09-01 | 今日の季語


水平線大きな露と思ひけり 大串章

これ以上大きな景はまたとあるまい
地球まるごと露にしてしまうちは
言葉も無い
(小林たけし)


【露】 つゆ
◇「白露」 ◇「朝露」 ◇「夜露」 ◇「露の玉」 ◇「露けし」 ◇「露葎」(つゆむぐら) ◇「芋の露」
夜分、草木や地面が冷えると周りの空気も冷え、水蒸気が凝結して水滴となったもの。秋に最も多いので秋季とする。

例句 作者

漂へるごとくに露の捨箒 富安風生
無呼吸の鼓動ころころ芋の露 川崎益太郎
照り昃る信濃つらぬく露軌条 桂信子
病む母のひらがなことば露の音 成田千空
白露なり立ち上がるとき息を吸う 丸木美津子
白露に薄薔薇色の土龍(もぐら)の掌 川端茅舎
白露に阿吽(アウン)の旭さしにけり 川端茅舎
白露の日神父の裳裾宙に泛き 桂信子
白露の日葦ことごとく風に伏し 新井秋芳
白露の月窓にしみじみ帯を解く 河野多希女




二百十日晴れスクランブル交差点 三苫知夫

2021-08-31 | 今日の季語


二百十日晴れスクランブル交差点 三苫知夫

災害や災難は遭遇するまでは他人事
予兆も無い皆無のスクランブル交差点にいる自分
同じ時間に悲鳴をあげている人と場所がある
(小林たけし)


【二百十日】 にひゃくとおか(・・トヲカ)
◇「厄日」 ◇「二百二十日」
立春から二百十日目で、9月1日、2日ころ。二百二十日はそれから10日後。この頃は暴風雨に襲われることが多く、また稲の開花期にも当たることからその被害を案じ、農家では厄日としている。

例句 作者

農暦いまも手許に厄日過ぐ 森田かつ子
恙なき二百十日の入日かな 伊藤松宇
風少し鳴らして二百十日かな 尾崎紅葉
砂濱に藻を焼く煙り厄日過ぐ 棚山波朗
たゞ鰡の釣れに釣れたる厄日かな 河原白朝
川波も常の凪なる厄日かな 石塚友二
ひらひらと猫が乳呑む厄日かな 秋元不死男
高う飛ぶ蜻蛉や二百九日尽 松内大隠
移り行く二百二十日の群鴉 高浜虚子
魚匂う俎板二百二十日過ぐ 青木千秋
ぬるき茶の渋み鋭き厄日かな 丸山景子
ロザリオや二百十日の頸細く 柳生正名
二百二十日に着きたる二十歳の十七屋 須藤徹
二百十日へ凶暴な火を逃がす 秋尾敏
二百十日も多分おとことおんなかな 永井江美子

大根蒔く来年も蒔く死ぬまで蒔く 伊藤政美

2021-08-30 | 今日の季語


大根蒔く来年も蒔く死ぬまで蒔く 伊藤政美

秋蒔>のんかでも<大根蒔く>は馴染みやすい
掲句は巻くを三唱して効果を狙って成功している
作者、あるいは作者のモデルの
生き様の覚悟を表意して見事といえよう
(小林たけし)


【秋蒔】 あきまき
秋に植物の種子を蒔くこと。冬や春に収穫する野菜の種は8月中旬から10月に蒔く。秋に種を蒔くものとして菜種、大根、芥菜、芥子、さらに田の肥料となる紫雲英(れんげ)などがあり、それぞれ「蒔く」の語尾をとり、「菜種蒔く」「大根蒔く」「芥子菜蒔く」「芥子蒔く」「紫雲英蒔く」として季語となっている。

例句 作者

秋蒔きの土にやさしく月さしぬ 菅原鬨也
うしろから山風来るや菜種蒔く 岡本癖三酔
大根播く光の粒をこぼすかに 西尾玲子
黒潮の黒の深まり菜種蒔く 延平いくと
峡の田にひとりとなりて紫雲英蒔く 森戸山茶花
菜種蒔くかそかなる音地に籠る 田中茅洋
秋蒔きの種子とてかくもこまかなる 能村登四郎
大根蒔くうしろの山に入る日かな 赤木格堂
大根蒔く短き影をそばに置き 加藤知世子
天命の余白に大根蒔かんかな 清水能舟






乳房掠める北から流れてきた鰯 金子兜太

2021-08-28 | 今日の季語


乳房掠める北から流れてきた鰯 金子兜太

難解な句で鑑賞のしようもないと思っていたが
下記の鑑賞を発見した

 俳句の一つの分け方として次ぎのようなものがあるかもしれない。
1)最初のインパクトが強いが読んでいるうちにだんだん何も無くなっていってしまうもの。
2)最初のインパクトは弱いが読んでいるうちにだんだん何かが現れてくるもの。

 この句などは1)に属するのではないか。「乳房」と「北から流れてきた鰯」との遭遇ということには新鮮な驚きがある。感覚的に新鮮なのである。しかしその状況、例えば、海に入っている男性(作者)の乳房を鰯が掠めていったというような状況、を考えている内に、何だか只事のような気がしてくるのである。逆に昨日の句などは最初のインパクトはこの句ほどは無いが、読んでいるうちにとても気持ちのよい状況が開けてくる。
(小林たけし)


【鰯】 いわし
◇「真鰯」 ◇「鰯干す」 ◇「鰯引く」 ◇「鰯網」
真鰯、潤目鰯、片口鰯の総称。日本沿岸に棲息し回遊している。秋が旬で最も味がよい。九十九里浜など各地で地引網による鰯引が行われる。

例句 作者

鰯汲む夜は妻子も脛ぬらす 佐藤鬼房
絶叫の形に鰯干されけり 梅原昭男
十方に無私の鰯を供えけり 曾根毅
銀舎利に載せて一本干鰯 吉原波路
鰯の目いびつなものを探すかな 平塚波星
鰯干すスカートの裾八重に咲き 久保田慶子


日の粒をぽろぽろこぼし零余子採り 遠藤しげる

2021-08-26 | 今日の季語


日の粒をぽろぽろこぼし零余子採り 遠藤しげる

零余子を作者は<日の粒>そのものと見た
その措辞のフィットさがそのまま句になっている
ぽろぽろこぼす も共感できる
(小林たけし)



【零余子】 むかご
◇「ぬかご」
自然薯、長薯などの葉腋に生じる暗緑ないし青褐色の長さ7,8ミリの肉芽。採取してつけ焼きや汁の実にしたり、ご飯に炊き込んだりする。

例句 作者

雨傘にこぼるゝ垣のむかごかな 室生犀星
触れてこぼれひとりこぼれて零余子かな 高野素十
二つづつふぐりさがりにむかごかな 宮部寸七翁
肩越しに山の音くる零余子かな 藤木倶子
黄葉して隠れ現る零余子蔓 高浜虚子
零余子摘む女の厄もたうに過ぎ 勝又春江
となりへもこぼれて風のむかごかな 飴山 實
ゆっくりと曳いて零余子を零したり 川辺幸一



馬・牛の外寝うらやむ星月夜 鷹羽狩行

2021-08-24 | 今日の季語


馬・牛の外寝うらやむ星月夜 鷹羽狩行

現代俳人の雄である作者にこの句があるとは
なんとも救われる気になる
難解句から離れて平易な措辞で終始していて安心させられる
(小林たけし)

【星月夜】 ほしづきよ
◇「星月夜」(ほしづくよ) ◇「星明り」
満天の星の光が、月のように明るく地上を照らす夜。空気が乾燥するこの時期の空は清澄で、星夜の美しさが強く感じられる。

例句 作者

かりそめに人に生まれて星月夜 室生幸太郎
その手摺乗り出しやすく星月夜 近恵
ほろ酔ひて本音するりと星月夜 菊地章子
われの星燃えてをるなり星月夜 高浜虚子
オペレッタは恋の筋書き星月夜 尾畑悦子
チェロ弾きのめくる譜面の星月夜 対馬康子
レコードのノイズふつくら星月夜 田中亜美

もう一度生まれる前に桃となる 瀬戸優理子

2021-08-23 | 今日の季語


もう一度生まれる前に桃となる 瀬戸優理子

なんという詩因だろう
作者の独特な発想の不思議に感心するばかり
もう一度生まれる前の
自分自身を考えるとは ただ脱帽だ
(小林たけし)


桃】 もも
◇「桃の実」 ◇「白桃」(はくとう) ◇「水蜜桃」(すいみつとう) ◇「ネクタリン」 ◇「冷し桃」
実は大型の球形。香りが高く果汁が多くて甘い。夏から初秋にかけて愛好される果物。種類は多いが、一般に外皮一面に細かい毛が生じている。

例句 作者

とある夜大きな桃を戴きぬ 石倉夏生
ながいきのできるまで痩せ桃を食う 大野忠孜
はるばると来し方行方桃さくら 和知喜八
ふいにまた雑魚寝にしぶく桃の水 瀧春樹
もぎたての白桃全面にて息す 細見綾子
ゆるぎなく妻は肥りぬ桃の下 石田波郷
よく晴れて少しつめたき桃の村 平佐悦子
わからぬ句好きなわかる句ももすもも 富安風生
わが影の起き伏し庭に桃散りて 桂信子

あちこちに穴のあきたる秋思かな 隈元拓夫

2021-08-22 | 今日の季語


あちこちに穴のあきたる秋思かな 隈元拓夫

あちこちは作者の心中のことだろう
読み手はそこに共感する
ぽっかりと胸奥に空いた穴
なかなか容易には埋まりそうもない
(小林たけし)


秋思】 しゅうし(シウ・・)
◇「秋懐」(しゅうかい) ◇「傷秋」(しょうしゅう) ◇「秋あわれ」 ◇「秋淋し」
秋の寂しさに誘われる物思い。秋は人生の寂しさに触れることが多い季節である。事に寄せ、物を見て秋を感じること全般をいう。

例句 作者

帯きつく秋思を秘めて末席に 進藤 紫
わが秋思水わたりきし一羽鳩 中村草田男
開くまで秋思の無音オルゴール 鈴木まゆ
炉は燃えて秋思さだかに老いきざす 鳥谷網生
山の湯を出でて化粧ひてより秋思 斎藤杏子
この秋思五合庵よりつききたる 上田五千石
やや沖に孤礁秋思の水柱 原子公平
万華鏡へ秋思とぢこめ旅決意 遠藤悦子
三つ目の釦穴から逝く秋思 白水風子
六本木の五十二階のわが秋思 八木健夫
古層の秋思俳句以前のことを言う 加藤知子
城壁に残る手の跡秋思かな 藤井サカエ

影の数人より多し敗戦忌 渡辺誠一郎

2021-08-15 | 今日の季語


影の数人より多し敗戦忌 渡辺誠一郎

影はきっと戦死者のことだろう
この措辞であとは語らない
これ以上何も語らないところが敗戦の悼みを象徴している
(小林たけし)


【終戦記念日】 しゅうせんきねんび
◇「終戦日」 ◇「敗戦忌」 ◇「敗戦日」 ◇「八月十五日」
8月15日は、昭和20年、日本が連合国側のポツダム宣言を受諾し、第二次世界大戦が終了した日。戦争の根絶と平和を誓い、戦没者を追悼する行事が全国各地で行われる。

例句 作者

生涯の父の号泣敗戦日 大橋敦子
我泪見て妻笑ふ終戦日 岩脇五風
終戦の人ら泳げり敗戦日 鈴木六林男
堪ふることいまは暑のみや終戦日 及川 貞
髪染めて己あざむく終戦日 雨宮抱星
十五貫五尺七寸敗戦忌 山田征司
地下鉄に後頭並び敗戦忌 森田智子
永久凍土という墓あり敗戦忌 津根元潮

あきつ舞ふ 野は一面の無重力 井上ひろし

2021-08-11 | 今日の季語


あきつ舞ふ 野は一面の無重力 井上ひろし

広い秋野であろう
空を埋め尽くさんばかりの赤とんぼの大群が
追われるように東の空へ移動している
作者もいつかその中の一片になった気分
一面の無重力はなかなか言えない措辞だ
(小林たけし)


【赤蜻蛉】 あかとんぼ
◇「秋茜」(あきあかね) ◇「深山茜」(みやまあかね)
小形で体色が赤みを帯びた蜻蛉の俗称。雄は赤色、雌は黄褐色である。秋空に群れる赤蜻蛉の姿は、秋の涼気を誘う。爽やかな秋の象徴といえる。

例句 作者

あきつとぶひかり薄れつ夕鳴子 西島麦南
から松は淋しき木なり赤蜻蛉 河東碧梧桐
みちのくに輪廻転生赤とんぼ 妙田節子
わが見しはあきつの群るる湖の虹 鈴木詮子
アキアカネ親近感とも違う距離 堀之内長一
アンデルセンの空があるよ赤とんぼ 小野露光
人の世を辞してそろそろアキアカネ 横須賀洋子
仮の世を流れ解散秋あかね 髙野公一