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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

ネズミの下顎

2016-11-01 01:45:43 | その他
ネズミの頭部は下の図のようになっていますが、フクロウは飲み込んで分解しますから、頭部と下顎は別々になってでてきます。頭部は割れていますが、下顎はだいたいそのままでてきます。


     ネズミの頭部

下の写真はフクロウの巣の中から取り出したネズミの下顎です。実際にはこれ以外の骨もたくさんでてきます。



おもに出てくるのはアカネズミの仲間とハタネズミの仲間です。アカネズミの仲間は森林にすむので「森ネズミ」と呼ぶことにします。いっぽう、ハタネズミの仲間は草原にすみますから、八ヶ岳では牧場によくいます。歯をみるとその違いがよくわかります。森ネズミのほうはヒトの歯とも共通な歯根をもっていますが、ハタネズミのほうはダンボールのような「壁」が上から下まで続く特殊なものです。これは歯の摩滅に対する適応と考えられています。アカネズミは果実や動物質など栄養価が高く、消化率のよい食物を探して食べますが、ハタネズミは草の葉や地下茎など硬い食物を食べ、腸も長く、盲腸が発達するなど、粗食に耐えることができます。歯はそういうことを反映しています。
 このことから下顎があれば、ネズミの種類を判別できるのです。

 
左 アカネズミの下顎、 右 ハタネズミの下顎


左 アカネズミの歯、 右 ハタネズミの歯

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