木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

アルバート氏の人生

2013年02月14日 | 映画レビュー
「アルバート氏の人生」。
現題は「アルバート・ノッブス」。
いかにも日本的なタイトルの付け方である。
キャストからも予告を観ても分かるし、冒頭で明かされるので先に書いてしまうとアルバート氏は女性である。
女優グレン・クローズのライフワークといってもいいこの映画は、グレンの思い入れが満ちている。
映画の中ほどまでは抑えた演技をしているのだが、段々感情が溢れ出して来る。
そして、最後は感情が爆発する。
グレンの演技は素晴らしいと思う。
けれども、ストーリーに必然性がない。
いつの間にか、ラブストーリーになっていくのだが、いくら何でも無理がある関係。
アルバート氏が本当の男性であっても無理に近いのに、ましてや女性なのだから、今後どうして行こうと考えていたのか。
そんな計算ができないところがアルバート氏の無邪気というか、いいところなのかも知れないのだが、観ているほう(特に男性は?)そいつは無理だよ、と思ってしまうのではないだろうか。
相手がアルバート氏を「いい人」だが「恋愛対象」としては見ていなかったとか、何か伏線が張られていれば納得もできたのだろうが、ストーリーに突然が多過ぎる、という感は否めない。
多分、突然すぎるストーリーもグレンに言わせればすべて必然の結果なのだろうけれど、観ているほう(少なくとも私)にはついていけない部分が多かった。
それでも最後まで引っ張って行かれるのは、グレンをはじめ、スタッフやキャストがこの映画にほれ込んでいるという気持ちが伝わってくるからだ。
この映画を観終わったときに抱く感想は人さまざまだと思う。
多くのハリウッド映画は観終わった後、スカっとするが、ドリンク剤を飲んだ後のようなもので、すぐに忘れてしまう。
この映画は、観終わった人を無条件に幸福にはしない。
後味が悪いと思う人もいるだろう。
でも、それが映画。
かつてのアバンギャルドなフランス映画やバブルな日本映画のような映画(フランス映画や日本映画のすべてではなくごく一部だし、個人的感想に過ぎないが)ではない。
人生って不公平だよな、でも死ぬ際に自分の人生をどう思うかは本人次第だ、と思ったのが、私の感想である。
蛇足ではあるが、この映画にはもうひとつサプライズがあった。
それは書かないで置く。
えー、本当、と思ったことしきりであった。

蛇足1:共演のミア・ワシコウスカは「アリスインワンダーダンド」のアリス役。可愛い。
蛇足2:「人生はときに辛いけど、人との絆が奇跡を起こす」という予告編の言葉は納得できない。
蛇足3:主題歌「Lay youra head down」はとてもいい。シネイド・オコナーはかなり波乱万丈の人生を送っている。

お勧め度★★★(60%・ヅカジェンヌは95%)



アルバート氏の人生HP


↓ よろしかったら、クリックお願いします!!

人気ブログランキングへ