大熊小屋を早朝出た、
東京君と僕は単独行で来ているので
付かず離れず、杁差岳へ自分のペースで登っていく。
この頃の僕は、東北の山にハマっていた。
飯豊、実川本流という沢に仲間と行って
山の原始性、息苦しい程の生命感にいたく感動し通うようになっていた。
この夏は中央ア大田切本谷を遡行して空木岳へ登り、仲間と別れ
そのまま、縦走して超百山まで、それから北アに登る予定だったのだが。
大型の夏台風が日本列島に近づいていた。
急遽、予定を変更
東北は飯豊連峰に矛先を変えた。
台風は日本中部に向かっていた。
今日の天気は晴れ時々曇り。
山行は無事、計画通り、飯豊本山まで進めるはずだった。
しかし、主稜線に上がると風が強くなってきた。
杁差小屋についた、早速テントを張る。
しかし、風が強すぎてテントを上手く張れない。
東京君に手伝ってもらいなんとか張ろうとするが、無理
すると、東京君「僕のテントは4人用なので、一緒に入らないかい?」
「それは名案だあ!OK ^-^]
一人が中に入りなんとかテントを張り終えた。
天気予報をラジオを聞くと、どうやら台風はこちらに向かっているらしい!!
まっ!それはともかく「今日もお疲れした。かんぱ~~い」 と
ビールを飲もうとした瞬間、テントはひっくり返った。
うひゃー
天と地が逆になったテントでビールだらけになった、顔を見合わせ
「ヤバイ、撤収だ、小屋に逃げよう」と同じことを言った。
もしかしたら、あの「天狗倒し」は、山の天候が荒れるから気をつけろと教えてくれていたのかもしれぬ??
小屋に入ってやっと落ち着いた東京君と僕は今度こそ、幸せに乾杯をした。
小屋は次々とずぶ濡れの登山者が入って来た。中高年のパーティのようだ。
だんだん、夕暮れが近づいてきた。
一人、二人、切れ切れに入ってくる。
心配になった小屋の主人が「まだ、お連れの方々は到着しませんか?」
そのパーティと思しき人達が顔を見合わせ「まだ、何人か到着していない。」と言った。
この、パーティにはリーダーは居ないようだ。 怖ろしい事だ。
夕暮れギリギリ二人の登山者が倒れこむようように入って来た。
小屋は人いきれでムンムンしていた。
台風は直撃らしく小屋は時々グラグラと揺れた。
朝、
だいぶ、風雨は治まってきたが、まだ荒れた天気だ。
昨日の特攻中高年パーティは、まだ濡れている合羽を着込んで出発の用意をしている。「先に行ってるぞ」おっさんが独りで風雨に突っ込んでいった。
バッカじゃないの。
僕はトイレ行こうと外に出た。
小屋の向かいにある一つだけトイレに近づくと
「来ないでー」と悲鳴が聞こえた。
別に見たくはなかったが、おばはんの大きなお尻が目に入った。
台風で、トイレの戸は吹き飛んでいたのだ。 あーあ orz
僕と東京君は、天候が落ち着くまでのんびり支度して。
また、それぞれのペースで歩き始めた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・