こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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介護の自信

2009-11-22 23:52:07 | 訪問看護、緩和ケア
ご家族を自宅に連れ帰って、誰もがみな不安でいっぱいになります。

自分にできるのか、どうすればいいのか、何がわからないのかもわからない介護の始まり・・・。
特に、お看取りを意識すればなおのことです。

そのために、私たちがいるわけなんですが、なんでも私たちがやればいいってわけではないことを、時々経験します。

介護にあたって、一番ご家族が苦手なこと、それは排泄です。

尿に関しては、それでもなんとかなりますが、便となるとなによりご本人もご家族にゆだねるのにためらったりします。

「看とりまでなんて、できないかもしれない。」

そう思っている方が、ある時すごく吹っ切れて「最後まで見れそうです。」そうおっしゃることがあります。

何が自信をつけてくれたのか・・・

「昨夜ね、便ですごく汚してしまって、すごい量でシーツまで出てしまって。で、大変だったけれど、私ひとりで全部きれいに取り替えて、拭いてあげたのよ。」

ご主人を見送った時、そう話された奥様は、とても満足げに話されました。
ご主人も、奥様が一生懸命自分の汚れた体をきれいにしてくれたことを、きっとありがたく、うれしく思ったのではないでしょうか。
この妻でよかったと、安心されたのではないでしょうか。

以前、離婚の話まででていたというご夫婦がいました。
奥様が末期癌となり、最後を看とりたいと夫は心に決めましたが、ご夫婦の心はどこかすれ違ったままでした。
私が、なるべくお身体のこと、排せつのことをしていましたが、衰弱の進んだある夜、私が会議で不在の時でしたが、大量に便で汚染してしまったのです。

妻は、もうどうにもならない自分の体を、夫にゆだねるしかありませんでしたし、夫は慣れない手つきで、それでも一生懸命妻の体をいたわり、汚れた体をきれいにしました。

次の日、夫は「そりゃあ、大変だったんですよ。でも、きれいに出来ました。すごくありがたがってくれて・・」とうれしそうに話していました。
妻は、「すごくうれしかった。夫が全部きれいにしてくれて・・。夫はやさしくて、今はずっと私のそばにいてくれます。」と。

妻は、夫への信頼を取り戻したようですし、夫も妻を愛おしく思ったようでした。
その翌日でしたか、静かに妻は旅立ちました。

ついさっき、また一人旅立たれた患者さんがいらっしゃいました。
奥様は、やはり今日の夕方、ご主人の便の介助をやり、「たくさん出してあげたんですよ。」と、笑顔で話されていました。

みなさん、やり遂げられた思いを持たれるのでしょう。

それを思うと、全部を私たちがやってしまうことが、いいわけではないと考えさせられます。
普段の援助の中で、その方法はご家族に伝えておくことも大切だと思います。
そして、いざというときには、ご家族が頑張る。

介護負担の軽減としての、排せつの援助は絶対必要ですが、ご家族もできることが大切ですよね。

もちろん排泄にかかわらず、普段のケアの方法も一緒に見てもらうこと、それはとても必要なことです。
それが、介護の自信となっていくのですから。





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2 コメント

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難しいですね (tochi)
2009-11-23 22:12:16
今回、「もう治療は無い」と言われ退院が決まった時、私は「自宅に連れてきてもいいかな」と思いましたが、義母が「嫌だ」と言いました。
「24時間ずっと一緒は耐えられない」と・・・
義母も高齢なので気持ちは解かりますが、なんだか義父が可愛そうでした。
結局ホスピスに入院する事になりましたが、義父の好きなようにさせてあげたいと思っています。
もう歩く事も話す事も出来なくなりましたけどね。
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何がいいかは、人それぞれです。 (こぶた部屋の住人)
2009-11-24 21:40:48
どんな形にせよ、ご本人のそばにいてあげることが一番だと思います。
お義母さんは、混乱しているんでしょね。
一時的に認知症状が出る人もいますよ。

なかなか難しい立場ですが、上手にかかわってあげてくださいね。
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