こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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お別れの後でも・・・

2009-12-03 22:49:16 | 訪問看護、緩和ケア
昨夜は、ほとんど書き終えたころに、ちょっとした操作ミスで、全部ぶっとんでしまいました・・・とほほ・・・

もう一度気を取り直して、昨日のお話です。

私たちの訪問看護ステーションでは、お別れの後葬儀が終わったころに、担当だった看護師やケアマネがご挨拶に伺います。

昨日は、午前中に思うようにはいきません・・・で書いたKさんのお宅へ、担当のYナースとご焼香に伺いました。

お花を持って玄関を入ると、そのKさんをずっと介護していたお嫁さんが迎えてくれました。
Kさんは、そのお嫁さんのことを「コマドリ」と呼んでいたので、ここではコマドリさんと言いますね。(ちなみに、奥様をウシと呼んでたそうです。)
コマドリさんは、体があまり丈夫ではありませんが、認知が始まり、病状も悪化した義理の父を家に迎えて、とても良く介護されていました。

最初から、「義父を家で看とりたい。辛い思いはさせたくないの。」と言っていました。
「私ね、義父のことが大好きだったの。きっと、息子である私の夫が父を思うよりも、義父のことが好きだったかもしれない。
私が、お嫁に来てから今まで、父から嫌なことを言われたり、されたりしたことは一度もないの。認知症になっても、私の言葉にすごく楽しい返事をしてくれた。」
「最後のころにね、ほとんど寝てばかりだったけれど、私が手を握っていたら、義父が私に『ありがとう』って言ったの。
だからね、私も言ったのよ。『おとうさんが、今までにきっと聞いたこともない言葉を言いますね。私、おとうさんを、愛してる!』って。」
「だって、あの年代の人でしょう?お母さんだってきっと言わなかったと思うのよ。」コマドリさんは、目をうるませてそんな話をしてくれました。

素敵なコマドリさんと、やさしいKさん。
胸がいっぱいになりました。
帰りの車の中で、今まで見送った素敵な人たちを、Yさんと思いだしながら、帰ってきました。Yナースはポロポロ涙が止まらないようでした。

そのあと、やはりご焼香に行っていたUナースが戻ってきました。
Sさんの奥様と、たくさんの話が出来たと、喜んでいました。
学生さんも一緒に聴くことを許可してくださって、学生さんもよい経験が出来たようです。
Sさんと奥様はお子さんもいらっしゃらず、お互い働いていて、それぞれが自分の好きなようにしていたすれ違い夫婦だったそうです。
「病気になって、家に戻ってきたときに初めて夫の介護をして、下の世話をして、いろんな手をかけてあげて、初めて本当の夫婦になれた気がします。」
「だから、今は全然後悔がないの。もう、自分出来る事は全部やったから。」
そんなお話をしてくださったそうです。
そういえば、お別れのすぐあとに「こんな風に、家で家族を看とれるなんて思ってもいなかったし、そんなサービスがあるなんて、まったく知らなかったわ。私、みんなに宣伝するから!」って、言ってましたっけ。

ありがたいです。
本当に私たちのほうが、ありがとうの気持ちでいっぱいになります。
この仕事を、選んでよかった。

夕方、去年亡くなったNさんの夫が、自転車をこいでシクラメンを持ってきて下さいました。
Nさんのお父さん(夫)はもう80をだいぶ過ぎていると思うのですが、未だに時々自転車をこいでやってきます。
危ないから、心配だから、何も持ってこないで下さい。と頼んでもこの前はミカン2箱を積んできましたし、季節ごとに果物を運んできてくれます。

お父さん、さみしいんですね。
息子さんは離れて暮らされていますし、お孫さんもいません・・。
時々、担当だったやえこ姉さんが、訪問帰りにちょこっと顔を見せるのを、いつも心待ちにしているんです。
「忙しいから、気にしないでいいから」ぶっきらぼうにそう言って、花をポンと渡して、振り返りもせずに帰って行ったお父さん。
帰ってから、その話を聞いたやえこ姉さんは、「この頃、顔出せないでいたから・・・」とつぶやいていました。

お別れの後でも、たくさんの素敵な言葉や、心のこもったお手紙、お菓子などをたくさん頂いてしまいます。
もう、胸がいっぱいになるほど、たくさんの素敵な思い出とともに。
スタッフの気持ちはみんな同じです。
心から、どうもありがとう。