分量が多かったので記事を二回に分けました。前の記事から読んでください。
さて、通常の気候セント財団による省エネ改修(断熱強化改修)への助成額は以下の通りです。(1フラン=約90円)
●屋根・屋根裏および外壁と床(断熱材の厚さとU値)
・通常の断熱強化 (16cm以上、0.23W/㎡) 20フラン/㎡
・改良型断熱強化 (20cm以上、0.20W/㎡) 30フラン/㎡
・ミネルギー改修ボーナスまたは総合改修ボーナス +10フラン/㎡
●窓
・通常の断熱強化 (ガラス1.10W/㎡、全体1.30W/㎡以下) 20フラン/㎡
・三層断熱窓 (ガラス0.90W/㎡、全体1.20W/㎡以下) 70フラン/㎡
・ミネルギー窓 (ガラス0.70W/㎡、全体1.0W/㎡以下) 80フラン/㎡
・ミネルギー改修ボーナスまたは総合改修ボーナス +10フラン/㎡
(註:ミネルギーとはスイスの省エネルギー建築基準です。)
これに加えて、第二次景気対策により、州ごとに以下の%が助成額に追加されます。
100%:アールガウ、フライブルグ、ルツェルン、ノイエンブルグ、ヴァリス、ワット州
33%:サンクトガレン、ベルン、チューリッヒ州
通常の気候セントによる助成額では、断熱強化修のコストの約15%がカバーされますが、今回の景気対策によって、およそ30%がカバーされるようになります。
(出典:気候セント財団のホームページwww.gebaeudeprogramm.ch)
他方、トゥールガウ州など、景気対策以前から既に、省エネ改修に対して30%ほどの助成を行ってきた州もあります。
今回のキャンペーンに参加したチューリッヒ州の例を挙げましょう。同州では国からの1250万フランに州からの1250万フランを加えて、2009年度の建物エネルギー補助プログラムの予算を計2500万フランに強化しました。これは前年度の5倍の額です。
この補助により、市場に2億フラン(180億円)の投資が誘発される見込みです。
チューリッヒ州では今すぐ施主を省エネ改修に動かすために、施主へのアドバイスサービスに力を入れていました。まず、スポンサー企業と組んで、各自治体で省エネ改修のインフォメーションイベントを開催します。
その後、関心を持った施主に、エネルギーアドバイザーという中立の専門家が格安料金で現場チェックを行い、コスト計算や補助金額、設計者や業者の仲介などを行うサービスを提供しています。
断熱強化による省エネ改修には地域経済の促進効果が大きい上に、スイス全体が一通り改修し終わるまでたっぷりと市場があります。省エネ改修の推進については、普段は対立している政党も一致する訳が分かります。
気候セント財団による建物改修プログラムは2009年に終了するため、現在2010年度からスタートする次の国家的省エネ改修プログラムが、州と国、産業の協力により準備中です。次期のプログラムでは、灯油に上乗せされているCO2税の収入から毎年約180億円ほどを用いて、8~10年ほどに渡り長期的に展開されていくと予測されています。
随分長話になりました。
話しは変わりますが、明日から二週間イギリスに庭園を見に行きます。そのため、8月末までブログをお休みさせて頂きます。
皆さんが、良い夏を過ごされますように!