滝川薫の未来日記

スイスより、持続可能な未来づくりに関わる出来事を、興味がおもむくままにお伝えしていきます

断熱材のシェアについてなど

2009-12-14 04:25:33 | 建築
講演会で多かったもう一つの質問が、私にとっては不思議だったのですが、スイスではどんな種類の断熱材が使われているか、というもの。私が訪ねて行った環境建築たちの場合、ロックウール、グラスウール、セルロースが一番頻繁に見るかな、という感覚がありましたが、数字で断熱材市場のシェアは見たことがありませんでした。

そこで、ヴィキペディアで調べたところ、ドイツでの自然系断熱材の市場シェアは5%とあります。スイスのバウビオロギー協会の資料でも同様な数字が紹介されていました。ドイツでの自然系断熱材の種類は、シェアが多い順に、セルロース→木質繊維ボード→軽ボード→麻とハンフ→羊毛となっていました。で、残りの95%は、ミネラルウール系(ロックウール、グラスウール)が過半を占め、それ以外が石油系(スチロポール、ポリウレタンなど)だそうです。

先日ベルンで開催された住宅建設メッセで、スイスで25年の歴史を誇るセルロース断熱材の最大手Isofloc社のスタンドに立ち寄り質問したところ、スイスではセルロースのシェアが7%に増加しつつあるということ。スイスでは、ドイツよりも少しだけ、自然系断熱材のシェアは多いようです。また、初期にあったというセルロースの沈下の問題は、長い繊維を保つような製造方法によってしっかりと解消されているそうです。同社のHPではセルロースを用いた様々な分野の建物事例が見られます。 http://isofloc.ch/de-ch-referenzen.phtml

それから、リサイクルコンクリートについての質問もありました。
ミネルギー・エコ基準では、コンクリートを利用する際にはリサイクル材を用いることが条件となっているからです。例えば、持続可能な建設を目指すチューリッヒ市の建設局ではリサイクルコンクリートを積極的に利用しており、将来的にはすべての新築で使っていくといいます。

チューリヒ市建設局の資料によると、リサイクルコンクリートは、建物を解体する際に専門業者が、コンクリートを分別し、それを玉砕したものを、新たなコンクリートに自然の砂利の代わりに使用します。今日ではバージンのコンクリートと代わらない品質で、構造体にも使える品質のリサイクルコンクリートが製造されています。

砂利の埋蔵量は有限でスイスではあと10~15年、と同資料にはあります。そのため、チューリッヒ市が近年建設した小学校「ビルヒ」やミネルギーの市営団地「ヴェルデ・ヴィース」では、コンクリートの大半にリサイクルコンクリートを用いています。
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