滝川薫の未来日記

スイスより、持続可能な未来づくりに関わる出来事を、興味がおもむくままにお伝えしていきます

ソーラーコンプレックス社ニュースレター③(秋号)

2020-12-02 19:32:48 | お知らせ
ソーラーコンプレックス社のニュースレター③(秋号)の日本語翻訳版を掲載します。
同社は、2000年に南ドイツのボーデン湖地域で、市民出資により設立された再エネ専門のエネルギー会社です。
本号では、この10年ほどの間、ドイツで再生可能エネルギー法が改訂される度に聞こえてくる、再エネ事業者の悲痛な声が滲み出ています。

Bilder : www.solarcomplex.de
原文:http://48787.seu1.cleverreach.com/m/7594406/

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ソーラーコンプレックス : ニュースレター 3/2020 (秋号) 




こんにちは

毎年ふたたび・・・

・・・再エネ法(EEG)の改訂が行われますが、2021年1月1日に施行される予定の新法の、第一案が提出されました。2030年までに電力需要の65%を再生可能エネルギーにする、という目標は保証されており、それ自体は大変歓迎すべきことです。しかし、「何の65%」なのかが問題です。

交通と熱分野で気候目標を達成するためには、電気自動車やヒートポンプ、緑の水素等のために、より多くの電力が必要となります。その増加分は連邦政府のシナリオには反映されておらず、政府は電力需要が同程度に留まるか、やや減少することを前提としています。それはあらゆる科学・研究が示すシナリオと明確に矛盾しています。それにより、2030年までに約100テラワット時のエコ電力が不足することが危惧されます。

このように増産路線が不十分であることに加えて、不必要な障害が維持されている上に、新たに追加される予定であることは、批判すべき点です:

・ 30kW以下の太陽光発電設備からの電力を自家消費する際に課されている賦課金の撤廃が含まれていません。これはEUから要求され、2021年中頃までに国の法律で実施されねばならないものです。分散型のエネルギーコンセプトにおける複雑な手続きや賃借人電力モデルの簡易化についても同様です。両者ともに、都市部でも太陽光のポテンシャルを活用できるようにするための前提となります。

・ 太陽光発電からの電力の一部を自家消費しない設備に限って、そして750キロワット以下の設備でも事前に入札制度で落札した設備に限って、買取を受けられるという改訂方針は、不条理の極みです。このルールは実施されてはなりません、なぜならこれは、現在、本当に機能している唯一のビジネスモデル(自家消費モデル)を葬るものだからです。中小産業が太陽光発電を設置する主な動機はまさに自家消費なのであり、太陽光発電を依頼する前に、まず入札に参加しようという気力や時間のある企業はありません。

なぜまたこうも、毎回あちこちを、そして非常に有益なコンセプトまでを、いじくりまわさねばならないのでしょう。なぜ障害やハードルを確認し、それを徹底して取り除くことをしないのでしょうか?

「こんなに簡単でありうるのに、そうはいかない・・・」

毎年ふたたび・・・

・・・弊社では、政治的なコンタクトを用いてこの改定案が改善されるべく働きかけ、現場の声が聞かれることを願っています。このニュースレターでは、地域におけるエネルギー大転換を目指す弊社の取り組みの進捗状況をご報告します。


感謝とソーラーコンプレックスなご挨拶と共に

フロリアン・アルムブルスター、ベネ・ミュラー、エバーハルト・バンホルツァー


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ソーラー増設戦略は全速力で

工場屋根への太陽光発電の躍進は、途切れることなく前進しています。
今日、経営者として考える人は、日当たりの良い屋根には太陽光発電を設置し、ソーラー電力をできる限り自社で消費します。これを実践する企業家(!)の数は増え続け、こういった企業は自家消費によりエネルギーと運用コストを継続的に下げています。また、太陽光発電の利用期間を20年とする見方はもう古くなりました。弊社の最も古い設備での経験から、太陽光発電は少なくとも30年は機能し、問題なく発電し続けるという事が分かっています。それによりソーラー電力の発電コストは、さらに一段と下がります。
www.solaroffensive.info  



建設中や計画中の750キロワット・ソーラーパーク

シュトッカッハ市近くの高速道路沿いのソーラーパークも運転を開始しました。弊社はこの設備を、シュトッカッハ都市エネルギー公社との共同で、運用してゆきます。2020年の第4四半期には、モース村(埋め立て地跡)とミューリンゲン村の設備が続く予定です。場合によっては、年内にエンゲン市イム・べヒレ地区の設備も実現できるかもしれません。 こちらはエンゲン市の都市エネルギー公社からの委託となります。
 



風力

レンゲ山のウィンドパーク ~ 20の共同出資者は新規申請を行うことを決定しました。
マンハイム行政裁判所が、バーデン=ビュルテムベルク州による森林内風車の許認可手法が違法であったという判決を下した結果、弊社や他社の多くのプロジェクトが影響を被りました。その間、ウィンドパーク運用会社への共同出資者は、新たに許認可の申請を行う事を決断しました。ソーラーコンプレックスは、再びプロジェクト開発会社として委託を受けています。

ブランド・ウィンドパーク
ヘガウ・ウィンドグループ(地域企業による風力開発の共同体)の10社は、ヴェレーナフォーレン・ウィンドパークで得た良好な経験により弾みがついて、コンスタンツ郡で二か所目となるウィンドパークの開発に、共同で取り組んでいます。立地場所はブランド山で、場合によっては隣接する「シュタウフェンベルク山」にも拡張されます。最大4基の現代的な設備で、年に最大4000万キロワット時を発電する予定です。ソーラーコンプレックスは、このプロジェクトの開発を委託されています。




ハウゼン・イン・タール村の熱供給網

NRS社(ソーラーコンプレックス社とシグマリンゲン市都市エネルギー公社の合資会社)による3つ目の熱供給網は、間もなく竣工します。農家ヴォルホフにあるバイオガス設備からの排熱の供給は開始され、ピーク時用ボイラーのある熱供給センターも始動時に生じがちな問題を乗り越えて運転を開始しました。



シュルッフセー村の熱供給網

弊社にとって最大規模となるシュルッフセー村の熱供給網は、2020年に計画通りに竣工します。平行して自治体ではガラスファイバーの高速インターネットの埋設を行っています。



ホイゼルン村の熱供給網

シュルッフセー村に隣接するホイゼルン村で、弊社の設備郡に加わる新しい熱供給網を実現したいと考えています。夏は太陽熱で、冬は木質バイオマスというコンセプトは同じです。建物所有者の方々からの反響は抜群です。



ユングナウ村の熱供給網

熱価格についての説明会は、コロナ禍のために2回に分けて行われ、非常に多くの住民が訪問されました。現在、弊社の専門家が各建物の地下暖房室を訪問するアポイントが進行中です。これまでに100軒以上で実施しています。野立て太陽熱温水器のための敷地を二か所で確保しました。必要な接続密度を達成して、2021年春には建設を開始できると確信しています。
www.jungnau.de


転送歓迎
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ソーラーコンプレックス社のニュースレター日本語版は、ミット・エナジー・ヴィジョン社との協力により実現されています。


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