滝川薫の未来日記

スイスより、持続可能な未来づくりに関わる出来事を、興味がおもむくままにお伝えしていきます

BIOCity 2009年43号

2009-12-18 15:33:08 | お知らせ

こちらは一週間前よりぐぐっと寒さが厳しくなり、最高気温がマイナスの日々が続いています。多くの人は、ひたすら、あと3日我慢すれば・・・と考えるか、クリスマス前のストレスで気をまぎらわして(?)います。

あと3日で12月21日、冬至です。冬の始まりと同時にこの日が待ち遠しくなったのは、中央ヨーロッパに住むようになってから。この日が過ぎれば、あとは日は長くなるばかりだからです。中央ヨーロッパ人ですら苦しむ、暗い冬の精神的な辛さを、今年も乗越えられたとほっとするわけです。

築100年以上の古民家の屋根裏を改修した、賃貸住宅の我が家の中は、全館暖房で暖かいですが、窓の外の煙突から見える石油ボイラーの煙が気になります。石油で断熱の悪い建物を全館暖房、こんなこといつまで続けられるのだろうか、と。15年くらい前に窓と屋根の省エネ改修が行われていますが、それでも暖房エネルギーは今日の新築の3倍は消費しているでしょう。

下に住む老夫婦の大家さんには、数年前から、ソーラー温水器か木質バイオマスへのボイラー交換を勧めていて、一時はかなり乗り気になっていたのですが・・。80歳近くなると家への大きな投資への意欲がなえるようで、お金はあるのに、息子の代がやればいい、で終わってしまいました。

で、隣に住み農家を営む息子夫婦は環境のことにはあんまり興味のない人たちで、今はかなり古い薪ボイラーで暖房・給湯しているのですが、高級キッチンへの改修はするが、ボイラーの更新は先送り。母屋と離れを1つのチップボイラーで熱供給するシステムが一番適しているように思われますが・・。結局、今年も灯油で、いつまた家賃付帯料金の暖房費が高くなるか、と恐れています。

こう感じている賃貸人は私だけではないでしょう。ここ数年来、本格的な省エネ改修キャンペーンを展開してきたスイスでも改修率はまだまだ十分ではなく、エネルギー価格が再高騰する前に、改修率をもっと素早く向上させねば、スイスの建物の価値も暮らしの質も大幅に落ちるでしょう。

昨日のニュースでは、2010年度以降の省エネ改修の補助キャンペーンの予算についての報道がありました。国からCO2税を財源として年2億フラン(約180億円)というのは決まっていたのですが、その内訳が省エネ改修を目的に年1.33億フラン、そして州の独自の建物分野の省エネ補助プログラム(省エネ改修、再生可能エネルギーなど)に0.67億フランとなっていて、後者の内訳は州が自分で決められます。
このほかに、州たちの方では合計0.8~1億フラン(72億~80億円)を建物省エネ補助プログラムに出します。

これらを合計すると、2010年より10年に渡り継続して、年2.8~3億フラン(252~270億円)が省エネ改修を中心に建物の省エネルギー化に補助され、これまでの予算が大きく強化されています。このチャンスをうちの大家さんにも活かしてもらうためには、大家さんの息子夫婦にも営業(?)していかなければ、と思う次第です。

話が変わりますが、紹介が遅れましたが10月末に雑誌ビオシティ43号が発売されました。「環境共生住宅とそのまち」をテーマとしたこの号では、オーストリアとスイスの模範的な事例を訪ねてゆき、紹介させて頂きました。



オーストリアとスイスの環境共生型建築とそのまち
○ソーラーシティ・リンツ~行政主導の総合的コンセプトで魅力的なエコシティづくり
○ギュッシング市~エネルギー自給によるまちづくりで若者が希望を持てる地域に変身
○フォーアールベルグ州~オーストリア一のパッシブハウス高密度地帯の理由
○スイス、省エネ建築の最前線

中でも、木質バイオマス利用に携る方々には、ギュッシングの例を是非読んで頂きたいです。その他にも、ドイツでのプロジェクトについての服部圭朗さんや小室大輔さんの記事、五十嵐敬喜さんの「総有論の都市計画」など、興味深い記事が満載されていますので、よろしくお願いします。
http://www.biocity.co.jp/






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