昨日のピレスロイドを作成するにあたって
三員環が必要となった
三つの炭素が輪を作った環状炭化水素だ
環状炭化水素はこちらで一寸だけ紹介したが
もう一度まとめてご紹介
シクロオクタン(炭素数8)
シクロヘキサン(炭素数6)
シクロペンタン(炭素数5)
ここまでは私の持っている分子模型で
きちんと再現できた
炭素骨格はこのようになっている
4本腕の炭素は正四面体の形をしているので
腕と腕の角度は109度
正五角形の内角は108度なので
シクロペンタンではほぼピタリと5つの原子が結合できる
ところが次の炭素数4の環状炭化水素
シクロブタンでは四角形になるので
内角が90度!!!!
109度の腕をむりやり90度まで曲げて
しかも内側が干渉するのでニッパでバリバリ削り取った
そこまでしてようやくシクロブタンが紹介できる
シクロブタン(炭素数4)
模型でこんなに苦労することで分かるように
現実のシクロブタン分子もひずんでいるので
非常に不安定である
それなのにそれなのに
それ以上にひずんだ分子が存在するのだ
シクロプロパンは3つの炭素が
環状に繋がった分子だ
環状?三角形を環状とよんでいいのかね
正三角形は内角60度
私の分子模型では再現するのが不可能だった
しかし蚊取り線香の紹介にはこの三角形が必要なのだ
私は109度の腕を60度まで折り曲げるのをあきらめ
腕自体を切りとってエポキシパテで接着した
パテを整形しみぞを作り色を塗った
製作に1週間
努力の結晶を紹介しよう
シクロプロパン(炭素数3)
苦労してできたシクロプロパンだが
性質的にはプロパンガスと大差ないのが寂しい
最近のハチ退治のお供には
「スーパースズメバチジェット」という殺虫剤を使用している
![]() |
スーパースズメバチジェット 480ml 価格:¥ 2,625(税込) 発売日:2005-04-06 |
高いだけあってハチを瞬殺できる
成分表を見ると「プラレトリン」とだけ書いてある
調べてみるとこれが蚊取り線香から
派生してきたものだった
では夏のうちに家庭用殺虫剤の分子を紹介しておこう
蚊取り線香というと日本の昔から在るもののように思うが
実は原料の除虫菊がアメリカから伝来したのが明治18年
渦巻型の蚊取り線香が発明されたのは
明治28年になってからだ
大日本除虫菊(金鳥)の創業者の奥さんが発案者
除虫菊の何が蚊に効くのかというと
ピレトリンという成分だ
ピレトリン
写真のピレトリンの左側に菊酸というカルボン酸が付いている
菊酸
三員環が含まれたカルボン酸であるが
実はこの菊酸とアルコールの化合物(エステル)が
ピレトリンの正体だ
昆虫の神経伝達を阻害して殺す
お菊さんだからといって呪い殺すわけではない
ピレトリンの誘導体をピレスロイドといい
様々な合成ピレスロイドが現在作られている
ピレスロイドは哺乳類・鳥類に対する毒性が低いので
家庭用の殺虫剤として広く使われている訳だ
ピレトリン自体いまだに使用されており
アース製薬のアリアースはピレトリンだ
しかし現在の蚊取り線香はピレトリンを使用していない
アレスリン
アース渦巻香・キンチョウの渦巻に使用されているのが
アレスリンである
左半分「菊酸」構造が変わっていないことを確かめてほしい
アレスリンは熱に強いので
火をつけて使う蚊取り線香に適しているということだ
アースマットもこのアレスリンを使用している
金鳥蚊取りマットはこちらだ
フラメトリン
これも「菊酸」構造はそのまま残っている
アースジェットやキンチョールなどのスプレー式殺虫剤には
次の2つの成分が配合されている
フタルスリン
レスメトリン
フタルスリンは即効性が高く
レスメトリンは致死性が高い
素早くカやハエを落し確実に始末しようと言う訳だ
次に液体蚊取りだが
プラレトリン
アースノーマットはプラレトリンを使用している
ようやく出てきた
スーパーハチジェットもこれだ
ここまでの分子全て似通っていることを確認してほしい
左側の「菊酸」構造は温存されている
だが蚊に効くカトリス・キンチョウリキッドでは
ちょっと様子が変わってくる
トランスフルトリン
メトフルトリン
緑色の球体は塩素原子
灰褐色の球体はフッ素原子を表している
右側の分子構造も大幅にかわったが
「菊酸」部分をいじってあるのがおわかりだろう
このあたりが殺虫剤の最先端なのだろうな
今回調べてみて
金鳥もアース製薬も情報公開が進んでいて
成分を公表しているのが助かった
フマキラー(ベープ)はホームページでは
成分を調べられなかったので
ぜひ改善をお願いしたい所だ
連日教室でのスズメバチ目撃情報が絶えない
巡回しても巣は見つからない
見つかるのは比較的安全なアシナガバチの巣ばかり
今日もまたコアシナガバチの巣が見つかる
職員玄関の雨どいの所に作っていたのを発見
駆除を命じられたので
かわいそうだが撤去
さていったいスズメバチの巣はどこにあるのだろう
戦況が膠着していた所へ
敵兵を生けどりにしたという情報が入る
6年生のT君がコンパスの箱に入った所を閉じ込めた
生きているキイロスズメバチ
今まで
先生達に撲殺されたり毒殺されたりした死体と対面していたので
この捕虜を有効活用しようと考えた
職員室に連れ帰り
スズランテープの細切りを瞬間接着剤でくっつける
その作業の間にも捕虜が抜けだし
職員室を飛び回るなどのハプニングはあったのだが
なんとか準備ができて
外に出て捕虜を泳がせる
目印をつけた敵を逃がして
巣の位置を確かめようという作戦だ
だが結果は失敗
赤い尻尾を50cmほど垂らしたスズメバチは
高く舞いあがり屋上へ消えてしまった
屋上から先の逃亡先は不明のまま・・・
屋上で放せば良かったと後悔したが
後の祭
まだスズメバチとの戦いはつづくようだ
今日の快晴:久しぶりなので1枚パシャリ
昨日のウンチの主は
このヒトであった
キアゲハの幼虫である
蝶の幼虫の中で特に美しいのではないだろうか
最初の写真は高校生ぐらい
2枚目の写真は中学生ぐらい
すごい食欲でセリの葉を食いつくす勢いだ
キアゲハ幼虫は芹科の植物を食草としている
この子等は自生のセリだからいいが
人参やパセリなどにつくと害虫として駆除される運命だ
この子は小学生くらいか
ちょっといじめてみたら
頭からオレンジ色のツノを出した
同時にフルーツ臭を刺激的にしたような臭いを出す
色と形と臭いで敵を驚かせて身を守ろうというのだ
ここのキアゲハは我慢強いのか
けっこう乱暴につついてもツノを出さない
幼稚園から小学校にかけては
鳥の糞の真似をしている
大人になるにつれて緑色部分が増えてくる
直上の2枚は昨年の秋に写した写真
黒色の部分がかなり広いように思える
個体差なのか
季節による違いなのか
ちゃんと羽化して成人すると
このように立派な蝶の姿になる
今年こそは羽化を観察したいものだ
2学期始まって早々なのだが
3階の教室での蜂の侵入情報が相次ぐ
行ってみると
キイロスズメバチだ
攻撃的な部類のハチなので子供達が刺されないか心配
巣を探して校舎内外を歩くが発見できず・・・
用務員さんが「蜂の巣があったよ」と連絡をくれる
体育館のプール側の壁に存在した蜂の巣は
コアシナガバチの巣だった
以前紹介したキアシナガバチの巣とは形状がだいぶ異なる
アシナガバチも個性やこだわりを大事にしているのだろうか
教室へ侵入したスズメバチではないし
そんなに危険な奴らでもないので
そっとして置きたかったのだが
やはり学校なのでシュシュッと退治させていただいた
一目散に散開するコアシナガバチ達
一匹だけ
巣と子供を守ろうと勇敢に戦い抜いた戦士がいた
誇り高きアマゾネス
ボクはキミのことを忘れない
さて問題はキイロスズメバチである
巣が巨大になる前に発見したいものだ
ハティーハンターの名にかけて