すっかり秋めいてきて
トンボが目につく季節となった
「鈴柩先生、このトンボは何ですか」
と3年生のTくん
「どれどれ」
翅を見せてもらうと
翅に筋の入った赤トンボ
以前
で赤トンボの見分け方を
書いたことがある
さて、この赤トンボ
何というトンボでしょう?
・・・正解はコメント欄にて
もやしもんモネラマグネットに第4弾がでた
待ちかねていたのだが
今回はコスプレシリーズということで
新種の菌は3つだけ
ちょっと寂しい
S・ディゼンティリイエ(Shigella dysenteriae)
赤痢菌
苗字のShigellaは
発見者の日本人医学者志賀先生にちなんでつけられている
赤痢という病気は現在の日本ではほとんど聞かなくなったが
上水道の整備されていない国ではまだまだ注意すべきだ
「俳句では夏の季語」というのがおもしろい
C・シネンシス(Cordyceps sinensis)
冬虫夏草の菌
冬虫夏草というと
セミの背中からキノコが生えている図をよく見かけるが
C.シネンシスはコウモリ蛾の幼虫に寄生する菌
ニイニイゼミ専門だったりヒグラシ専門だったり
このヒト達もものすごい偏食家
T・サーモフィルス(Thermus thermophilus)
75℃の環境で生息する高度好熱菌
伊豆の温泉の噴気孔で見つかった
43℃のお湯でひいひい言ってる人間と比べて
とても我慢強い・・・・
大抵のタンパク質はゆで卵みたいに変質してしまうのだが
タンパク質の安定性が違うのだろうね
生物の可能性の一つである
芸能界の麻薬汚染で話題になっているMDMAである
MDMA
MDMAはメチレンジオキシメタンフェミンの略称
エクスタシーとかXとかいう愛称もある
メタンフェミンの名が示す通り
覚醒剤の一種といえなくもない
これらのドーパミンに似たドラッグは多種にわたり
実際に試しもしない私がどうこう言えるものでもないので
まとめて紹介してしまおう
2 メトカチノン
この2種はエフェドリンから合成される麻薬
3 4-MTA〈エフェドラ〉
痩せる薬として輸入されたていが麻薬指定された
4 メスカリン
アメリカ大陸原住民が宗教儀式の祭使用していたとされる幻覚剤
5 シロシン
マジックマッシュルームに含まれるアルカロイド
アステカの名称は「テオナナカトル」
6 2C-T-2
ホワイトラブとかきれいな名前を付けられているが麻薬
LSD
リゼルグ酸ジメチルアミド
麦角菌に含まれるアルカロイドから
1940年頃合成されたすさまじい効果の幻覚剤
芸術分野に大きな影響を与えたが
1970年以降は麻薬に指定されている
ドーパミンに似たドラッグの中でも
親分みたいに複雑な分子構造になってしまった
神経伝達物質にせよ麻薬にせよ
人間の喜怒哀楽や行動が
小さな小さな分子によって左右されるのは
なんだか不思議なことではある
承前
覚醒剤がなぜ人間の脳に
大きな影響を与えるのかというと
私たちの体内で覚醒剤に良く似た物質群が
大事な働きをしているからだ
それらの物質をモノアミン神経伝達物質という
環状炭素化合物に
窒素がぶらさがっているような形が共通している
有名な名前がいっぱい登場する
ドーパミン
グループの代表的存在で
後述するアドレナリンやノルアドレナリンの元となる
過剰でも不足でも様々な精神疾患の原因となる
交感神経を興奮させるホルモン
闘争の時分泌されるホルモンで
痛覚を麻痺させたりもする
これもアドレナリンと同じようなホルモン
セロトニンと共に不足することがうつ病を引き起こす容疑者
うつ病や神経症への影響が注目されている
抗ヒスタミン剤という薬品のほうで有名
アレルギー反応に大きく関わる神経伝達物質
これら我々の体内で働く神経伝達物質が
先日の「覚醒剤」とよく似た姿をしていることを
確認していただきたい
芸能ニュースどころか
このところトップニュースにもなっている覚醒剤の事件
覚醒剤とはどんな化学物質なのだろう
アンフェタミン
メタンフェタミン
上記「アンフェタミン」「メタンフェタミン」の2種が
覚醒剤と呼ばれるものだ
ベンゼン環をもったアミンの一種だ
特にメタンフェタミンのほうは
戦前の日本で発明された物なので
ヒロポンだのシャブだのスピードだのと
愛称を幾つももらって親しまれている
エフェドリン
メタンフェタミンの合成に成功したのは
20世紀初頭・・・
戦争に向かう日本にとっては
疲労知らずの兵隊を作り出す魔法の薬品だった
原料は漢方で生薬として使われていた麻黄
そのマオウに含まれるエフェドリンという物質が
覚醒剤の原点である
神酒(ソーマ)と呼ばれる古代インドの祭祀用飲料には
マオウが使われていたのではないかといわれる
元気回復の特効薬であった覚醒剤も いまやものすごい悪役
習慣性さえ無ければもうちょっと便利だっただろうにね