すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

これが危機の最中に内閣総理大臣が読む本か?!

2008-11-02 12:09:55 | Weblog
麻生総理大臣は1日に公務の合間を縫って東京八重洲のブックセンターに自ら足をはこび、日下公人、高山正之著「日本はどれほどいい国か」▽御厨貴著「表象の戦後人物誌」▽長谷川慶太郎著「大局を読む」▽村井哲也著「戦後政治体制の起源 吉田茂の『官邸主導』」の4冊を購入したそうな。得意のマンガのコーナーには立ち寄らなかったという。
このような本は、忙しいサラリーマンが、通勤電車の乗り換えの合間に、「取引先とのビジネスでの会話に役立つかな?」というような感じで買うレベルのものだろう。すでに過去の評論家だと思っていた長谷川慶太郎氏がまだ本を出しているのに感心するが、他の本も要するに過去の日本の自画自賛に毛の生えたようなものではないか?100年に一度の未曾有の経済困難の時期に一国の総理総裁が貴重な時間を費やして読むような本だろうか?
この報道を見て、対戦中に破竹の進軍を続けた日本軍とその弱点を分析し、ついにビルマ戦線で日本軍を破ったウインゲート少将がジャングルの野営地で一人、ギボンのローマ帝国衰退史を読みふけっていたが、その現実離れした読書に、行軍で疲れ果てて地面にころがる周囲の将兵は誰も非難しなかった...というようなシーンを思い出した。
まあ、内村鑑三、カントやケインズを読めとはいわないが、大きな決意を必要とする時代に、少なくとも一国の首相はきちんとした先哲や専門家の論文ぐらいを読み直してほしいものだ。おそらく麻生総理の頭のなかに染み入る情報というのは、この程度のものなのだろう。
危機に直面し、社会崩壊の起こっているこの国のかたちと行く末を考えるには、この首相は庶民的過ぎるのかもしれない。