すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

よくもまあ次から次へとスキャンダル

2008-11-01 23:57:13 | Weblog
まあ唖然というところだが、信じられない防衛省の失態に、ただ怒りと絶望感がつのる。航空自衛隊幕僚長の田母神俊雄氏は住宅デベロッパー(?)のアパグループの懸賞論文に応募し、賞金300万円を獲得したという。その内容たるや、まあ居酒屋でくだをまく愛国オヤジの主張と変わらない、偏狭なナショナリズムと幼稚な歴史理解のごちゃまぜになった雑文で、とても防衛省のトップの論文とは言いがたい。またそれを総合雑誌に投稿するならまだわかるが、自衛隊最高位の人物が住宅偽装問題でも取り上げられた、えたいの知れない企業の懸賞論文に投稿して自分の所信を公開するというのも異常な話だ。懸賞論文の審査は匿名で厳正に行われたとアパ側はいうが、それを信じるものはいない。こんな不況のさなかに300万円もの懸賞のかかった論文には多少まともな学者、研究者が投稿するので、とても素人の軍人の論文が当選するわけはなかろう。
百歩ゆずって田母神氏が軍人の純粋な愛国の情からこの論文を書いたとしても、テロ特措新法というか、インド洋上給油継続の是非がかかったこの時期に、このような論文を投稿すること自体、彼の政治センスを疑うものだ。日本の昨今の右傾傾向に疑心暗鬼になっている国際社会からも「やっぱり」との声もでてくるだろう。すなわち、国益を考えれば何一つ意味のない論文をあえて世間に披瀝する人物とはいかなる心情の持ち主か、こういう人物が軍事組織の頂点に上り詰めることができたことにも背筋の寒くなる思いがする。
結果的に彼の行動は、テロ特新法の今国会での採決を大幅に遅らせ、さらに田母神氏だけでなく、防衛大臣の監督責任、さらに麻生総理の任命責任、そしてイラク空輸に関係した航空自衛隊指揮官やアフガニスタン問題責任者の国会参考人質疑への招聘など、政局に深刻な影響を与えるにちがいない。民主党側としては、ある種の敵失と考えることもできようが、あまりにも馬鹿馬鹿しくまた、日本の国際信用へのダメージをも考慮すると暗澹たる気持ちになる。