SUPER FLAT 2

非ファルス的にもっこりするものを肯定せよ!(神の性的不器用あるいはその性的悪戯に由来するもの達について)

人間の意図をこえたもの その1

2010年04月25日 | Weblog
>私たちがビールを飲みながらしゃべつているあいだ、太陽は前方左から右に移動していて、ある瞬間に気がつくと池一面が太陽の反射で金色に輝いていた。〔...〕雨が続いた10月の久しぶりの晴天の、暖かく穏やかで風がない日の午後に、池のほとりに腰掛けてビールを飲みながら、池一面が太陽の光で金色に輝くのを見ていたら、「このため本を読んだりあれこれいろいろと考えたりしているんじゃないか」と思った。大げさに言うと「真理が与えられる」ということだ。人によっては「至福」と言うかもしれない。(保坂和志著「人間の意図をこえたもの」(前編)より抜粋)

 俳優のショーン・ペンが作った短編映画「USA」では、WTCの倒壊によって、それまで日陰だったアパートに日が差し、枯れていた植物が息を吹き返す。ショーン・ペンはこの数年前にテレンス・マリック監督の『シン・レッド・ライン』に出演しているが、このガダルカナル島の激戦を描いた映画にも、何気に似たようなシーンがある。日本軍による最初の攻撃を受けるシーンでは、最前のふたりの兵士が突然撃たれて倒れる。このとき、雲の間から日が急に差し始め、草に覆われた丘の一面が輝くのである。ショーン・ペン演じる兵士は、ハッとした表情でその光景に気をとられる。そして多くの死傷者を出す激しい戦闘が開始されるのだ......。深々と「人間の意図をこえたもの」を扱ったこのマリックの映画に比べれば、イーストウッドの硫黄島二部作など児戯に等しいだろう。冒頭の「自然には復讐の力があるのか?」という問いかけも考えさせられる。(続く)

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