茄子採りの翁

それは、勤め帰りに野菜を採ろうと畑に寄った時のことじゃだった。
インゲン、ズッキーニ、キュウリ、トマト、ピーマンを採って、最後に
茄子を採ろうとした時じゃった。
鬱蒼とした茄子の木の葉陰に、何やら金色に光る丸い物を見つけたのじゃ。
思わず、腰を抜かしそうになったのじゃが、思い切って採ることにしたのじゃ。
それは、それは、金色に輝くまん丸とした見事な茄子だったのじゃ。

これは、きっと茄子姫の化身かも知れないと喜び勇んで、それを家に持って帰り、
婆様に見せたのじゃ。
それを見た婆様は、一言「茄子だね」と言ったのじゃ。
めでたし、めでたし。