隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0648.十三番目の陪審員

2005年09月08日 | リーガル
十三番目の陪審員
読了日 2005/09/08
著 者 芦辺拓
出版社 角川書店
形 態 文庫
ページ数 430
発行日 2001/08/25
ISBN 4-04-358701-5

 

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前読んだ著者のデビュー作「殺人喜劇の十三人」が好みに合わなかったという理由で、この後著者の作品は読んでいなかった。本書も、書店や古書店で見るたびに、気になっていたのだが、どうしようかとかなり迷った末に古書店で手に入れた。どうにもタイトルから来る印象が、僕を惹きつけるのだ。読んでみて驚いた。謎の提示と言い、ストーリーの展開といい、430ページ程を一気に読んでしまう面白さだった。
元来僕は、ペリー・メイスンシリーズを引き合いに出すまでもなく、法廷ミステリーが好きで、リーガルミステリー全般に興味を持つようになった。ミステリーファンならずとも、欧米の裁判が陪審員制度によって成り立っていることは誰しも知るところであるが、わが国でも戦前の一時期陪審員制度が取り入れられて、実際の裁判が行われていたことがあった。そして今、陪審員制度に準じるような一般市民の裁判への参加が、始められようとしている。
そうした時期に、この本を読んだというのもタイミングがマッチしたような気がしている。さて、本書の内容は、物書きになる夢を棄てきれずにいる青年・鷹見瞭一は、先輩から持ちかけられた冤罪事件でっち上げの企てに加わる事になる。架空の犯罪事件の容疑者となり、DNA鑑定をも欺く為に鷹見は医療機関で血液交換までされる。ところが、彼が逮捕されたのは実際の事件・ある女性への強姦・殺人事件の容疑だった。しかも、起訴されて始まった公判は、戦後初めての陪審員制度による裁判であった。彼は、何かの罠にはめられたのか?
話題のDNA鑑定についての解説が詳しい。が、最初に紹介される、原子力発電所の事故のエピソードがどう事件と関係してくるのかが最後に明かされる。

 

 

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