明けましておめでとうございます。
今年も、幸多い研究活動がなされることを確信しています。
さて、ウキゴリの研究を少し記載させて頂きます。
ウキゴリは、過去には「淡水型」と呼ばれており、図鑑等では流れの緩やかな所に多く棲息していると記載されています。
確かにその通りで、小さい河川の流れの速いところでは棲息数は極めて少ない事が判っています。
↑例えば、こんな河川では、シマウキゴリとスミウキゴリが多く採捕され、ウキゴリの採捕例は極めて稀です。
そこで、確認のため山形県のみでなく平成24年は新潟県村上市遠征で大きい河川である「三面川」と、そこに向かう途中の小さい河川で調査を行いました。
そこで、面白い発見をしました。
当初、小さい河川にはウキゴリが棲息していないと考えていましたが、上海府集落を流れる「大川」では多くのウキゴリが採捕されました。
なぜ?
↑ これがその河川です。
この河川は河口から150m程緩やかな場所が存在していました。ウキゴリが棲息しやすい環境であることは判りました。
しかし、この河川を挟んで南北の河川にはやはりウキゴリはいませんでした。
ウキゴリ類は、下流域で産まれて海に降り、3cm程の大きさになり河川に再び遡上してくることが図鑑等で知られています。当部のメイン調査フィールドの小さな河川「油戸川」でも、6月後にスミウキゴリ・シマウキゴリの幼魚が遡上してくることを確認しています。
大きい河川であれば、流れが緩やかな場所を求めて、「大きい河口」を目指して遡上していくことが容易に出来るでしょうが、小さい河川に
ピンポイントで遡上していることに疑問を持ちました。
そこで、サケ科魚類のように母川回帰説も考えましたが、有力な仮説を挙げました。
それは、ウキゴリのみ陸封個体が知られているため、もしかしたら全てが海に降っていないことが考えられました。
それを解明するために、5月のスミウキゴリとシマウキゴリがまだ海にいる期間に再びこの河川におもむき、ウキゴリ当歳魚の採捕活動を行う予定です。
そして、なぜ淀みを好むのかも、身体的特徴や生態から調べていく事も課題です。