土偶のような顔になって、泣きながらJKが訴えた。
「国立駄目だったら、○○大学行かせて下さい」
もう、脳みその中がうにうになんだろう。彼女は小さいころから、懸命になるとこういう不細工な顔になる。
大学受験とはこんなに大変なものなのか…こういう試練を乗り越えて、春になれば新1年生があふれ出る。
ちょっと感慨深い。人間の育ちの一場面に立ちあっていると実感している。
長男が現役の時に進路指導で言われた。
「浪人を視野に入れるのであれば、これを頭に入れておいてください。
いまどきの高校生は全落(受けた大学すべてに不合格)だった場合、気持ちが次の年に萎えてしまうことが多いです。
どんなにランクが下でも一つ受かってそれを辞退 “俺には行くところはあったんだ”“あそこじゃなくてここに入りたいんだ”
という気持ちを持たないと、次の一年頑張り続けることができません。
だから経済的な負担をかけますが、必ず受かるという大学を一つ余分に受けさせてやる心づもりをお願いします」
なんと心やさしい子どもたちだろうか…とその時は思った。
長男は自分から「一つ余分に受けさせてくれ」と言いだした。
幸いに申し訳ないが“あて馬”にした大学から合格をもらい、予定の行動で辞退した。
浪人時代、苦しくなると何度か思ったそうだ。
「●●大学でもよかったかなあ~そうしたら、こんなつらい勉強つづけなくてもよかったなあ。でも、断っちゃったもんな」
「高校も失敗したもんな、行きたい学校全部落ちてるもんな・・・・努力したって俺のことだから駄目かもしれない …」
くじけそうになる心に、「でもあそこは合格をもらったんだ」と自分に言い続けたようです。
合格を出してくれた大学があったということが、心の支えになったのは否めないようだ。
JKは今、心が折れそうだ。当初は私大に受かっても行かないと言っていた。ところが、
「○○大学でもいいんじゃないか・・・もう、この苦しい時間を終わらせたい」という気持ちが湧いてきたようだ。
それでも、その時間を乗り越えたものだけがミラクルをつかむ可能性があることを知っている私は、
「入学金は用意する。そうすれば学費を入れるまで待ってくれるから、国立が駄目だった時は1週間休んで、その時もう一度考えなさい。
これでいいのかと・・・父も母も、この半年貴女が払った努力はそんな中途半端な気持ちではないと知っているから、もったいないけれど
入学金を捨ててもおしくないと思う 」と答えていた。
ご存知の通り、私大の入学金は大抵国立の発表前に締め切りが設定されている。
もし、国立に合格していれば、納入してしまった入学金は戻ってこない。
すでに大学生が二人いる我が家には、ぐんと重くのしかかる金額だ。
尚いえば、国立をあきらめきれずに浪人するとなれば、本当に無駄になる。
それでも苦しんでいるJkの顔を見ていたら、「なんとかなるさ」と思った。
次の土曜日…日ごろ小生意気な口をきいているJKの正念場だ!