・霧を追う
背中に感じた冷たい悪寒は・・・曜子ちゃんか? ボーガンの練習に行った霧をつぶしにいった可能性が高い。
あ、やっぱり。投石・・・? わぁお。
むむむ、やはりボーガン初心者の小娘と、最初からデキの違うプロ・・・いや、プロとは言わないか。とにかく、曜子ちゃんじゃ勝負にならないわけだ。
「裏切り」「また」「縁切り」曜子ちゃんが、恐れた言葉、か。太一の身の安全を最優先。それに勝るのは、ただ一つ、太一本人の言葉だけ。献身すら凌駕する、利己的なまでの好意。
なにが、曜子ちゃんにそこまでさせるのか・・・させてきたのか・・・。
自分が、怪物だと罵った相手に助けられた。その矛盾を、霧は正面から受け止められない。何のために、助けられたのか分からない。太一の「本当」を、測れない。
太一自身は、霧には人を見る目があるという。それは、自分がヒトと違うんだということの独白に他ならない。自分は違う。ヒトとは違う。言外に、太一はそう語るのだ。
でも、それでも仲間を殺したりはしない、傷つけたりはしない。あの合宿だって、霧が思っていたようなものじゃなかった。そんな意図ではなかった。部のみんなに、仲直りしてほしかった。その機会を、作りたかった・・・。
ってしみじみ語ったあとに、霧に手のひら舐めさせてんじゃねぇっつのな! たしかに手当てくらいするのは道義だと思うけどね!
ったく、これだからこの主人こ・・・・・霧、かわいいなぁ。
次の日の屋上。もう、世界がリセットされるまで時間が無い。
アンテナ組み立ては、みみ先輩、そそて美希も加えて進む。間に合うかは知らない。でも、みんなで何かしていくという行為が大切だから・・・。
お、独立断念。まぁそりゃ、武装なしで孤立っていうのも割と大変そうだもんね・・・。
ん? ということは、今周はボーガンなしかな?
土曜日、いつものとおり友貴が手伝いに来てくれる。そう、どうせ青春ごっこをするのなら、全員いたほうがいいから。
まぁいろいろとバカなことがありまして。うん、火星人とかな。あーくそ、腹痛ぇ。
霧と、美希と、一応の昼食って、うわー! なんか曜子ちゃんがいるぅぅぅぅぅ!? くそっ、このジト目の曜子ちゃんかわいすぎるんですけど! ちきしょーまじでかわいいなぁ!
・・・冬子死んじゃってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?