ある冬の日から突然咲いた絶望の花
それまで育てていた幸福や夢の蕾は
跡形もなく消されていた
あの日から何十年が過ぎただろう
絶望の花を始末すれば
俺も死んでしまう
だから彼が生きるに必要な最低限の水と
微々たる肥料を与え続けた
その度に絶望はニヤッと笑うのだ
俺は耐えられず、幸福や夢の種を撒く
やがて芽が出ると祈るのだ
「このまま小さな花を咲かせてくれ」と
しかし、それは叶うことはなかった
瞬く間に絶望に食い散らかされてしまうのだ
どこまでも続く絶望の独裁
先にくたばるのは俺か絶望か
そんなことを思いながら
今日も黒く巨大なこの花に
生きるに必要な最低限の水と
微々たる肥料を与え続けている