ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

銀の龍の背に乗って(中島みゆき)

2023-12-14 12:55:45 | 歌詞

あの蒼ざめた海の彼方で 今まさに誰かが傷んでいる

まだ飛べない雛たちみたいに 僕はこの非力を嘆いている

急げ悲しみ 翼に変われ

急げ傷跡 羅針盤になれ

まだ飛べない雛たちみたいに 僕はこの非力を嘆いている

 

夢が迎えに来てくれるまで 震えて待ってるだけだった昨日

明日 僕は龍の足元へ

崖を登り 呼ぶよ「さあ、行こうぜ」

銀の龍の背に乗って 届けに行こう 命の砂漠へ

銀の龍の背に乗って 運んで行こう 雨雲の渦を

 

わたボコリみたいな翼でも 木の芽みたいな頼りない爪でも

明日 僕は龍の足元へ崖を登り 呼ぶよ「さあ、行こうぜ」

銀の龍の背に乗って 届けに行こう 命の砂漠へ

銀の龍の背に乗って 運んで行こう 雨雲の渦を

 

作詞・作曲 中島みゆき。2003年7月発売。ドラマ「Dr.コトー診療所」主題歌。

 

中島みゆきの唄は、その時代時代で、代表曲が変わってきた気がします。それだけ数多くの名曲を生み出してきたからこそですが。文字通りのタイトル「時代」から「悪女」「空と君のあいだに」「地上の星」、そして近年は「糸」。僕の中で浮かび上がってきた曲がこの「銀の龍の背に乗って」でした。

 

「あの蒼ざめた~僕はこの非力を嘆いている」

直接的にはコトー先生と患者を指しているのかもしれません。非力の象徴として雛を持ってくるんですね。雛鳥なら仕方ない。しかし僕は大人なのにまだ非力なのかと。

 

「急げ悲しみ~羅針盤になれ」

願わくば出来る限り早く変わって欲しい。

「夢が迎えに来て~さあ、行こうぜ」

昨日までのネガティブは消え、今日の主人公の僕は、ポジティブに変身しています。この短い時間に何かきっかけになる出来事があったのでしょう。

 

決して自身の非力さは変わっている訳ではありません。確かに翼は手に入れたけれど「わたボコリみたいな翼」ですから。それでも「銀の龍の背に乗って~運んで行こう、雨雲の渦を」。届けに行こう、運んで行こうと。

 

非力さを嘆いていた主人公が「非力であっても前に進む」との思いに至ったことが、この歌詞の大きなテーマなのでしょう。「弱いままでも前に進んで欲しい」というみゆきさんのメッセージだと思います。

発売から20年を経て、この曲の果てしない大きさを知りました。「銀の龍の背に乗って」は希代の歌姫であり、曲づくりの天才である中島みゆきの生み出した378秒の僥倖です。

 

コメント
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