ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

小椋佳「俺たちの旅」

2022-12-06 14:10:08 | Weblog

夢の坂道は木の葉模様の石畳

まばゆく白い長い壁

足跡も影も残さないで

たどり着けない山の中へ

続いているものなのです

 

夢の夕陽はコバルト色の空と海

交わってただ遠い果て

輝いたという記憶だけで

ほんの小さな一番星に

追われて消えるものなのです

 

夢の語らいは小麦色した帰り道

畑の中の戻り道

ウォーターメロンの花の中に

数えきれない長い年月

うたた寝をするものなのです

 

背中の夢に浮かぶ小舟に

あなたが今でも手を振るようだ

 

ドラマ「俺たちの旅」主題歌。同名タイトルの曲なので、ドラマに合わせて作られたのだと思います。

それにしても小椋佳は凄い。特に歌詞が。僕はドラマは知らないのですが、仲間との友情を描いた青春ものなのでしょう。

小椋さんは夢という言葉を軸に歌詞を組み立てています。始まりも「夢の坂道は木の葉模様の石畳」と入っています。

 

この歌詞の好きな部分は「夢の夕陽はコバルト色の空と海 交わってただ遠い果て 輝いたという記憶だけでほんの小さな一番星に追われて消えるものなのです」

凄いな、これ。小椋佳は言葉の魔術師だ。

「夢の語らいは」で始まる歌詞も凄い。「ウォーターメロンの花の中に、数えきれない長い年月、うたた寝をするものなのです」って。何ですか。細かな意味を考える前に感覚的に圧倒的なものがあります。

 

そして「背中の夢に、浮かぶ小舟に、あなたが今でも手を振るようだ」と締めています。最後の「ようだ」を付け加えることで明らかに深みがましています。まさに言葉の達人だと思いますが、多分、小椋さんに言わせれば「まだ何も知らない」と言いそうで怖い。小椋さんが東大で、優秀な銀行マンだったことは知っていましたが、後に大学院に入り直しているんですよ。物凄く知的好奇心が旺盛な方なのです。

 

小椋さんは歌手活動を引退するそうですが、詩や歌詞は書き続ける気がします。言葉の神様に選ばれた宿命というか。

 

小椋佳の歌詞は後世に残さなければいけないと思います。デジタル化が進めばアナログ的なもののレベルは落ちていくと思います。だからこそ小椋佳が紡いだ言葉は、時代が進む程、輝きを増すのではないでしょうか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする