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塩業界 未曾有の全塩種値上げへ 価格政策の転換点迎える

2019-01-21 | 食品の安全、料理

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190121-00010002-shokuhin-bus_all

塩業界は新元号となる今年、これまでにない価格政策の転換点を迎える。国内塩、輸入塩、特殊製法塩の家庭用・業務用のほぼすべての塩種が値上げという未曾有の事態に直面する。値頃感ある安定した品質の塩の安定供給により、いまだかつて家庭用・業務用ユーザーに対して、一抹の不安感を抱かせることなく今日まで国民の食生活を底支えしてきたが、一方で今後も継続・発展するためには価格そのものを見直さざるを得ない環境になっている。目先の商売に目を奪われることなく、将来を見据えて必要な施策を講じられるかどうかが、今年の業界に課せられた大きなテーマと言えよう。

塩は平成9年3月末に専売制度が廃止され、今年で22年が経過した。この間、国内製塩業界は7社7工場体制から4社5工場体制、塩元売は約半分の全国約40社に集約された。専売廃止時に、国内塩は中国煎ごう塩の脅威にさらされ、塩元売は東西1社程度にまとまるのが好ましいとの議論がなされたが、結果として国内塩は食用を中心に92万~93万tを製造販売し、塩元売は大卸化などの動きはあっても、ほぼその形を今日に継承している。

業界の独自性をキープできたのは、偏に国民生活に不可欠で代替性のない塩特有の商品属性によるところが大きい。その上で、業界が総力を挙げて安定供給責務を果たしてきた成果である。最大の危機は、民主党政権時代の事業仕分けにより、業界共通の財産と言える塩事業センターの400億円を寄付名目で国庫へ強制的に召し上げられたことであろう。

備蓄塩数量を大幅に削られたところに、東日本大震災が発生し、日本海水小名浜工場が被災。その後の原発事故で再開ができず、小名浜での製塩に幕を閉じたが、その間に塩事業センターが財務大臣命令により備蓄塩放出で食品業界の安定操業に資する英断を行ったことは、皮肉といえば皮肉であった。

その後、地震、台風、大雨、大雪など全国的な災害発生や東南海地震予想などがあっても備蓄塩数量の大幅な見直しは行われていない。ただ、日本塩工業会加盟3社(ダイヤソルト、ナイカイ塩業、鳴門塩業)については、相互に覚え書きを交わし、災害時における安定供給責務を果たすための協力体制を構築している。

最大手の日本海水は脱会したままの状況であり、本来であれば日本海水も工業会に復帰して、安定供給責務を果たすべきである。

その日本海水は昨年4月から行われた業務用塩の価格改定に際して、率先して主導的な役割を果たし、業務用塩価格の底上げが一定程度成し遂げられた。日本海水の値上げに対する姿勢は腰折れすることなく評価の声も出ている。

そこへ今年1月から三菱商事三井物産の両大手商社がそれぞれ輸入販売するメキシコ塩、豪州塩を値上げした。これにより、業務用は国内塩、輸入塩ともに値上げで揃い踏みし、国内で製造・加工する塩について全体的にベースが上がる。そして、昨年11月に塩事業センターが「食塩」を含む生活用塩10品の価格改定を発表し、今年4月からの実施となる。

これを受けて、日本海水もNB塩の値上げを決定し、特殊製法塩各社も価格改定検討に本腰を入れており、昨年末までに沖縄・青い海と大阪・マルニが家庭用・業務用の値上げを公表した。今年に入ってから、御三家と言われる伯方塩業、天塩、味の素も価格改定に追随すると予想されている。そうなると、これまでの価格で買える塩はほぼ市場になくなり、業界はまさに価格改定元年を迎えることになると考えられる。

例外としては、もともとキロ当たり数千円もする離島製塩や輸入塩は、付加価値で勝負していることもあり、必ずしも今回の価格改定の動きに連動するとは限らないが、それでも一部に値上げの機運もある。

考えてみれば、原料塩、石炭・重油など燃料、陸送・海運の物流、人件費、加工費など諸々のコストが専売廃止時と全く異なる環境に置かれ、制度廃止後継続してきた価格政策そのものを見直さざるを得ない時期に入っている。さらに、来年の東京オリンピックを控え、今年10月には消費増税という社会経済環境も値上げ後押しの要因である。

いずれにしても、塩の生産設備は腐食が激しく、修繕費は他食品とは比較にならないほど大きく、それも毎年何らかの手を入れなければ安全・安心は担保できない。これまで、塩の安全性に対して不安視する声はまず聞かれなかったが、今後も何もせず、継続できるはずはない。制度廃止から四半世紀近くを経て、安全・安心を確保するためには、業界努力なくしてあり得ないことを、価格改定を通じて訴えていく必要がある。略

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「地球の時限爆弾」永久凍土溶解が引き起こす危機 温暖化ガスや病原菌放出

2019-01-21 | 世界

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190120-00000007-jij_afp-sctch

■北半球の陸地の4分の1

 永久凍土とは、凍結した状態の土壌を指すが、その名とは異なり必ずしも「永久」に凍結しているわけではない。大部分は北半球に存在し、その陸地の約4分の1を覆っている。通常は何千年も前から凍ったままで、深さは数メートルから100メートルまでさまざまだ。

 永久凍土は、米アラスカ、カナダ、欧州北部、ロシアをまたぐ北極圏と北方林地帯に広がっている。北半球ほどの規模ではないが、南半球でも南米アンデス(Andes)山脈と南極大陸に存在する。

■大気中のほぼ2倍の炭素

 永久凍土には、凍った大昔の植物や動物の死骸という有機物の形で、推定1兆7000億トンもの炭素が閉じ込められている。

 永久凍土が解けると、有機物が温められ、分解され、最終的に温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)とメタンとして放出される。永久凍土は大気のほぼ2倍の炭素を保持しており、その大部分をメタンとCO2が占めている。

■温暖化の悪循環

 永久凍土の溶解による温室効果ガスの放出は、2015年に結ばれた地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で決定された、世界の気温上昇幅を産業革命以前と比べて1.5度に抑えるという努力目標を危うくするものだ。

 CO2は地球温暖化の最大要因とされているが、メタンの温室効果はCO2の25倍もある。永久凍土の温室効果ガスが大気中に放出されると、地球温暖化が悪化し、氷が解け、さらに永久凍土の溶解が進み、地球温暖化の悪循環に陥ってしまう恐れがある。

 米マサチューセッツ州ウッズホール研究センター(Woods Hole Research Center)のスーザン・ナタリ(Susan Natali)研究員は2015年、たとえ地球温暖化が2度前後の上昇に落ち着いたとしても、2100年までには永久凍土の30%が失われると指摘している。

 ナタリ氏は研究で、温室効果ガスの排出が現在のペースで続けば、永久凍土の最大70%が失われる恐れがあると指摘し、「永久凍土からの(温室効果ガスの)排出により、地球温暖化がコントロールできない状況に陥ってしまう可能性がある」と警告した。

■凍結された病原菌やウイルス 永久凍土の溶解は、長い間氷に閉じ込められていた病原菌やウイルスの放出につながる恐れもある。

 これは既に現実のものとなっている。ロシア・シベリア(Siberia)で2016年、子どもが炭疽(たんそ)症により死亡した。70年前に炭疽で死亡したトナカイの死骸を埋葬した場所の永久凍土が解けたことが原因だと、科学者らは指摘している。放牧されていた家畜の群れが、解けたトナカイの死骸から放出された炭疽に感染したとみられている。

 科学者らは、地球温暖化により昔の天然痘患者の墓など、凍土に埋葬され、氷の中で眠っている他の病原菌も活動を再開する可能性があると警告している。

■インフラの危機

 永久凍土の融解は石油産業や鉱業にとっては朗報だ。これまで近づくことが困難だった埋蔵地へのアクセスが可能となるからだ。

 だが、土砂崩れの発生や建物、道路、石油パイプ来の破損など、インフラへ深刻な影響を与えることも懸念されている。

 環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)が2009年に発表した報告書によると、ロシアの永久凍土の融解が、建物や橋、パイプラインの変形や崩壊を引き起こしており、シベリア西部では修理費は、年間13億ユーロ(約1620億円)に達しているという

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