https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190107-00010001-huffpost-int
アメリカ・アリゾナ州にある介護施設で2018年12月29日、10年間意識を失ったままの女性が出産した。
ワシントンポストによると、女性は水難事故に遭って以来、少なくとも10年間は植物状態が続いている。誕生した男児は健康で命に別状はないという。
地元のフェニックス警察は、女性が性的暴行された可能性があるとして捜査を始めた。
事件が起きたのは、年間2500人が利用する大型の介護施設。
CBS系列の地元テレビ局によると、患者の女性は24時間介護が必要な状態で、女性の病室には誰でも入れる状態になっていたという。
介護施設の職員らは、女性がうめき声をあげていたことに気が付き、その時に出産が始まることを初めて認識したという。
出産は施設の看護師が1人付き添い、無事に終えた。施設関係者は地元テレビ局の取材に対し、「(出産した)彼女は自分を守る方法がなかった。妊娠の事実を伝えることすらできない」と話した。
また、出産の状況を聞いた産婦人科医のグレッグ・マーチャンド氏は「このような虐待の犠牲者になることが、どれだけ恐ろしいことなのか想像がつかない」と述べた。
さらに、健康状態の女性と植物状態の女性では、出産時に子どもを押し出すための力に差があり「ひどい合併症が無かったのが奇跡」と話した。
彼女は出産時にうめき声をあげており、マーチャンド氏は「(意識不明の)この女性が、痛みを感じていたのは疑いようがない。ただ、その苦痛をどれだけのものだったかは分からない」と分析した。
この事件の発覚を受け、地元のフェニックス警察は、捜査を開始。また、アリゾナ州の2つの団体も調査を表明した。
このうちの1つ、DVと性暴力をなくすための団体「ACESDV」は、KTVKのインタビューに対し「障害を持って暮らす人々は、そうではない人より3倍以上の性的暴力の危険にさらされている」と説明。さらに「こうした性的暴行事件では、複数の犠牲者がいることも珍しくない。今後の懸念課題だ」と話した。
また、この施設の別の入所者の家族は、ワシントンポストに対し「新たな協約として、女性患者の部屋に男性スタッフが入る場合は、女性スタッフが同伴するという内容が盛り込まれた」と伝えた。
この施設では、2013年の調査で、4人の入所者に対して不適切で性的な発言をスタッフがしていたということが分かっている。ただ、この事件は発覚から1カ月の間、施設の管理者に報告されていなかったという。
他にも、2017年には、ある男性入所者が入浴中にスタッフがシャワールームを出入りすることに不快感を覚えていたことなどが記録されている。