★アコーディオン・バッハ
(演奏:御喜 美江)
1.フランス組曲 第5番 ト長調 BWV.816
2.フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV.817
3.フランス風序曲(パルティータ) ロ短調 BWV.831
4.アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳(1725)から
(1997年録音)
なんて自在な音楽、まるでゆりかごに揺られているようになんて心地よい音楽なんでしょうか!? (^^)/
今年の3月29日(私の誕生日)に紀尾井ホールでガラ・コンサートがありました。
お目当ては高橋多佳子さんだったのですが、当然他の気鋭のアーティストの演奏にも触れることができ少なからぬ感動をいただいたものです。
結婚以来家族のいない誕生日って初めてだったんですが、おかげさまでホントいい誕生日でした。
その中でもクラシカル・アコーディオン奏者の御喜美江さんのパフォーマンスには深い感銘を受けました。
演奏もさることながらその語りに真実味があること、朴訥とまではいかないけれど必要なことを落ち着いた口調でボソッと話される風情に浮ついたところのない信頼感みたいなものを感じました。
肝心の演奏も、スカルラッティのソナタ、このディスクにも収められているバッハのメヌエット(BWV.Anh.114)の他、ピアソラどころかジョン・ゾーンの現代音楽のフィールドに至るまで非常に多彩で、20分余でアコーディオン音楽の歴史をすべて紐解いたと思えるぐらいのプログラムを、ことごとく聴き手を唸らせる内容でこともなく(そのように思えた)演奏しきってくださいました。
もちろん御喜さんのことをこれまでまったく知らなかったわけではありません。
レコ芸でも賞賛されていたし、このディスクは高音質ディスクとしてステレオサウンド誌などでも特集されていましたから。
でも、こうして実演を聴いて驚くまで手に取ることはなかった・・・。
不覚でしたねぇ・・・このディスクは何とかかんとか手に入れることができましたが、スカルラッティのCDも発注すれど来ないと思ったら入手不可になっちゃうし・・・。(>_<)
なんでこれほどの人のこれほどの演奏が、すぐ手に入らなくなっちゃうんでしょうかねぇ?
これだけでも入手できてラッキーだと思うことにしようと、ターンテーブルに載せてみてさらにビックリ!!
ここで書き出しの感想にいたるわけです。(^^)v
ゆりかごでもいいんですけど、ホントはむしろ羊水に浮いている感覚と言いたいほど心地よく癒されるんですよね。
ライナーには御喜さん自身の手になる解説がありますが、それによると先のバッハのメヌエットが彼女が音楽の道で立っていこうと決意するにいたったきっかけの曲だそうです。
誰でも知っている簡素な曲ですが、このディスクの演奏が親密に、そしていかに多くを語りかけてきてくれるか言葉になりません。
ごくごく自然に加えられる装飾音のひとつひとつに、幼稚園の先生が幼児にやさしく何かを諭しているような光景が浮かぶかのようです。
もちろん子供たちは、みんなその先生が大好きで先生の話に目を輝かせ聞き入っている、そんなインティメートな空間。。。
このディスクにはそんな瞬間が一杯に詰まっています。
また、アコーディオンの音には芯がなくなかなかバッハの音楽を形作るのが困難だったため、断念まで考えた由が記されていました。
この音楽を聴くと何の気負いも衒いもないように聴こえますが、達人とはいえそこまで行くにはいろいろあったということなのでしょう。
ところで私はといえば、普段接しているピアノやハープシコードとはもちろん、ふいごで空気を送り込むといった構造が似てるようにも思えるオルガンともやはり違うこのアコーディオンという楽器を、御喜さんの演奏に触れて心の底から見直しました。
これまでにもアコーディオンのディスクを聴いたことがないわけではないのですが、ことごとく奇矯なことをしているようにしか思えなかったのです。
まぁ奇矯なことをしているディスクしか手に取らなかったのかもしれませんが・・・。(^^;)
そんなアコーディオン演奏の先入観も払拭し、今やこのバッハのディスクを精神的に明るくなりたい時、心を安らかにリラックスさせたい時、そして何より優しくなりたい時に手に取るようになりました。
みなさんはアコーディオンにピアソラの音楽や、遊園地の音楽、あと例えばマリオネットの踊りといったようなイメージを持っていらっしゃいませんか?
私は御喜さんの演奏に触れたことで、そんなイメージはそのままに、素晴らしいクラシック音楽を表現できる楽器としても認識できるようになったのです。
リード楽器で、奏者が空気を送り込むことで発音するという構造から、人の呼吸とか営みの全てが音に反映する繊細な楽器だというように・・・。
そして最良の奏者がこの楽器を扱ったとき、体中を使って心の機微を表現することができるんだということも・・・。
このディスクには音楽に対する喜び、驚き、悲しみといった基本的な感情が詰まっており、それを素直に聴き手の心にあるときはまっとうに届けてくれるし、またあるときにはそっとしのばせてくれるというような心の中での経験ができる稀有なディスクのひとつです。
そんなわけでかつてのスカルラッティのディスクも何とか探していきたいですし、近作ではグリーグの抒情小曲集を取り上げているようですから、動向をチェックしていかねばなりますまい。
彼女のブログも発見して読むようになりましたが、ホント目が離せない楽しみなアーティストですね。(^^;)
(演奏:御喜 美江)
1.フランス組曲 第5番 ト長調 BWV.816
2.フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV.817
3.フランス風序曲(パルティータ) ロ短調 BWV.831
4.アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳(1725)から
(1997年録音)
なんて自在な音楽、まるでゆりかごに揺られているようになんて心地よい音楽なんでしょうか!? (^^)/
今年の3月29日(私の誕生日)に紀尾井ホールでガラ・コンサートがありました。
お目当ては高橋多佳子さんだったのですが、当然他の気鋭のアーティストの演奏にも触れることができ少なからぬ感動をいただいたものです。
結婚以来家族のいない誕生日って初めてだったんですが、おかげさまでホントいい誕生日でした。
その中でもクラシカル・アコーディオン奏者の御喜美江さんのパフォーマンスには深い感銘を受けました。
演奏もさることながらその語りに真実味があること、朴訥とまではいかないけれど必要なことを落ち着いた口調でボソッと話される風情に浮ついたところのない信頼感みたいなものを感じました。
肝心の演奏も、スカルラッティのソナタ、このディスクにも収められているバッハのメヌエット(BWV.Anh.114)の他、ピアソラどころかジョン・ゾーンの現代音楽のフィールドに至るまで非常に多彩で、20分余でアコーディオン音楽の歴史をすべて紐解いたと思えるぐらいのプログラムを、ことごとく聴き手を唸らせる内容でこともなく(そのように思えた)演奏しきってくださいました。
もちろん御喜さんのことをこれまでまったく知らなかったわけではありません。
レコ芸でも賞賛されていたし、このディスクは高音質ディスクとしてステレオサウンド誌などでも特集されていましたから。
でも、こうして実演を聴いて驚くまで手に取ることはなかった・・・。
不覚でしたねぇ・・・このディスクは何とかかんとか手に入れることができましたが、スカルラッティのCDも発注すれど来ないと思ったら入手不可になっちゃうし・・・。(>_<)
なんでこれほどの人のこれほどの演奏が、すぐ手に入らなくなっちゃうんでしょうかねぇ?
これだけでも入手できてラッキーだと思うことにしようと、ターンテーブルに載せてみてさらにビックリ!!
ここで書き出しの感想にいたるわけです。(^^)v
ゆりかごでもいいんですけど、ホントはむしろ羊水に浮いている感覚と言いたいほど心地よく癒されるんですよね。
ライナーには御喜さん自身の手になる解説がありますが、それによると先のバッハのメヌエットが彼女が音楽の道で立っていこうと決意するにいたったきっかけの曲だそうです。
誰でも知っている簡素な曲ですが、このディスクの演奏が親密に、そしていかに多くを語りかけてきてくれるか言葉になりません。
ごくごく自然に加えられる装飾音のひとつひとつに、幼稚園の先生が幼児にやさしく何かを諭しているような光景が浮かぶかのようです。
もちろん子供たちは、みんなその先生が大好きで先生の話に目を輝かせ聞き入っている、そんなインティメートな空間。。。
このディスクにはそんな瞬間が一杯に詰まっています。
また、アコーディオンの音には芯がなくなかなかバッハの音楽を形作るのが困難だったため、断念まで考えた由が記されていました。
この音楽を聴くと何の気負いも衒いもないように聴こえますが、達人とはいえそこまで行くにはいろいろあったということなのでしょう。
ところで私はといえば、普段接しているピアノやハープシコードとはもちろん、ふいごで空気を送り込むといった構造が似てるようにも思えるオルガンともやはり違うこのアコーディオンという楽器を、御喜さんの演奏に触れて心の底から見直しました。
これまでにもアコーディオンのディスクを聴いたことがないわけではないのですが、ことごとく奇矯なことをしているようにしか思えなかったのです。
まぁ奇矯なことをしているディスクしか手に取らなかったのかもしれませんが・・・。(^^;)
そんなアコーディオン演奏の先入観も払拭し、今やこのバッハのディスクを精神的に明るくなりたい時、心を安らかにリラックスさせたい時、そして何より優しくなりたい時に手に取るようになりました。
みなさんはアコーディオンにピアソラの音楽や、遊園地の音楽、あと例えばマリオネットの踊りといったようなイメージを持っていらっしゃいませんか?
私は御喜さんの演奏に触れたことで、そんなイメージはそのままに、素晴らしいクラシック音楽を表現できる楽器としても認識できるようになったのです。
リード楽器で、奏者が空気を送り込むことで発音するという構造から、人の呼吸とか営みの全てが音に反映する繊細な楽器だというように・・・。
そして最良の奏者がこの楽器を扱ったとき、体中を使って心の機微を表現することができるんだということも・・・。
このディスクには音楽に対する喜び、驚き、悲しみといった基本的な感情が詰まっており、それを素直に聴き手の心にあるときはまっとうに届けてくれるし、またあるときにはそっとしのばせてくれるというような心の中での経験ができる稀有なディスクのひとつです。
そんなわけでかつてのスカルラッティのディスクも何とか探していきたいですし、近作ではグリーグの抒情小曲集を取り上げているようですから、動向をチェックしていかねばなりますまい。
彼女のブログも発見して読むようになりましたが、ホント目が離せない楽しみなアーティストですね。(^^;)