SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
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雨が降ったので・・・★

2007年05月23日 00時00分03秒 | 器楽・室内楽関連
★ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全曲
                  (演奏:ヴィクトリア・ムローヴァ(vn)、ピョートル・アンデルシェフスキ(p))
1.ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 作品78 《雨の歌》
2.ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 作品100
3.ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 作品108
                  (1995年録音)

朝から雨が降っていましたので、ふと思いつきでこのディスクを聴きながら会社に出社しました。
これが気分と雰囲気に見事にハマって楽しかったので、特集してみたいと思います。

ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番は、その第3楽章に歌曲「雨の歌」の旋律の引用があるから「雨の歌」と呼ばれているのですが、その愛称がなければ今日私が手に取ることはなかったのです。
3曲ともイイ曲なのですが、やっぱり第1番が私は最も好きですね。

先般バッハを特集したヴィクトリア・ムローヴァがここではブラームスを弾いています。白人の彼女の白い頬に、それとわかる紅が差したかのようなヴァイオリンの音色・・・。自立した女性って感じの音ですね。
乾いていそうで実は十分に湿った・・・良くも悪くも潤ってはいませんが・・・絶妙の響が、柔らかで若々しい抒情を伝えてきます。

かたやこのディスクが出たときは「誰じゃいな?」と思ったピアニスト、アンデルシェフスキ。
今やポーランドの若手(中堅?)ピアニストとして十分なキャリアを残していますが、さすがに一筋縄ではいかないピアノを展開しています。
音やフレーズの音色の引き出しが豊かな人だと改めて思いました。
アンサンブルにしてはずいぶんと思い切った弾き方もするんだな・・・と。

このころであれば、ムローヴァといえばチャイコンの優勝者でメジャー・レーベルでヒット作連発といった状態でしたから、アンデルシェフスキにとってはずいぶん格上の人だったでしょうに、全く媚びるところも従順にするところも感じさせず、自然体を貫いていると思わせるところはさすがであると言えましょう。
ムローヴァもそんな彼を期待していたと思いますしね。

したがって青年が主役の映画にありそうなお互いがお互いを主張して、やや突っ張っているという、アメリカン・グラフィティやらフット・ルースのノリの男女の図柄がイメージされる演奏です。

いやぁ~、若いっていいですね・・・という感じが、今日の雨にピッタリでした。

3日後に見直したら、この辺の感覚は自分でもよくわからないんじゃないかと思う文章の表現ですけど・・・気にしない。
(^^)/


★ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全曲
                  (演奏:オーギュスタン・デュメイ(vn)、マリア・ジョアオ・ピリス(p))

1.ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 作品78 《雨の歌》
2.ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 作品100
3.ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 作品108
                  (1991年録音)

もはやこちらは練れたオトナであります。どうしようもなく“おとな”。
一面ではさすが大人であると感じさせる演奏です。

温かな語らい、毅然とした振る舞い(特に第3番)、成熟した解釈、信頼のパートナーシップ(この方々はプラーベートでもパートナーだったと思います)に裏打ちされた揺ぎ無い演奏は、第1番の冒頭など面映いところや、各ソナタの中間楽章などに適当な緊張感を漲らせるところもありますけど、あらゆる面でムローヴァ盤より一回りずつスケールがデカイぞということを感じさせるものであります。

とはいえ音楽として、または商品としてどちらが魅力的かという話ではありません。
やはり歳を重ねた大人は相応に尊敬せねばならないということを痛切に感じた聴き比べとなりました。

普遍的な一枚を採るなら断然デュメイ(美しく張り詰めた音が好きです)盤、今日の雨のようにちょっとグズっているときにはムローヴァ盤がいいかもしれませんね。



※出張のため先日付投稿します。

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