果物の女王は誰か。
かつて、バナナが女王といわれた時代があった。
私が子供の頃、バナナは外国から来たスターで、めったにお目にかかることはなく、たまに食べると、果物なのにケーキのような甘い上品な味にうっとりしたものだった。
今、その地位は低下した。
一年中出回り、値段が安いせいである。
だが、バナナには実力はあるのだ。
人間が食べやすいように、皮は剥きやすく、種はなく、おいしくて栄養もある。
人間のために究極まで進化した果物といえる。
最近、バナナが見直され、スポーツ選手などにもバナナを愛好する人がいるという。
「果物の女王はメロンである」
このことに異議を唱える人は少ないだろう。
端正な丸い姿。
スイカのようにバカでかくもなく、それでいてずっしりと重量感のある存在感。
着ている衣装がまたすばらしい。
表面に浮き出た立体的な白い網目模様。
豪華な絹の衣装をまとっているようだ。
こんな豪華な衣装を着ている果物は他にない。
体はみずみずしく、味は上品な甘い味である。
存在感、豪華さ、高級感、上品さ、どれをとっても他の果物を寄せ付けない。
と、そこへ強力なライバルが現れた。
マンゴーである。
宮崎当たりの出らしいが、前の知事が「宮崎をどげんかせんといかん」と考えて、デビューに力を入れたようだ。
姿は端正な丸ではなく楕円形で、やや斜に構えたところがある。
衣装は、メロンのように豪華ではないが、薄くて赤い派手な衣装を着ている。
体はメロンに劣らずみずみずしく、トロピカルで濃厚な甘い味である。
強烈な個性の持ち主といえよう。
1個何万円もするものもあり、高級感という点ではメロンに負けない。
だが私は、存在感や上品さにおいて、メロンに一票を投じたい。