本を借りるときの選択材料は、ちょっと変わった題名・出来れば短編集、さもなくば中編200ページ前後を基準に選ぶ。
短編や中編はなかなか個性的で凝ったものが多いが、この2冊もご多分に漏れない。

「四角い卵」サキ(著)井伊順彦・今村楯夫・辻谷実貴子・奈須麻里子・肥留川尚子・渡辺育子(訳)池田俊彦(挿絵)
2015・10風濤社(刊)
12の短編が収録されているが、エドワード7世時代のイギリス上流社会を、毒のある風刺を効かせて描いた作品。
クルーズに一人の悪女を登場させて皆の反感を一身に負わせ、全体の安穏を図る「ミセス・ペンサビーは特例」、原因不明の病によって、生死不明の状態に置かれている主人公が地獄の手前で客人として扱われる「地獄の議会」が特に面白い。
それに挿絵が強烈に変わっていてちょっと恐ろしいくらい。
紙質は全ページ厚手の灰色で目は疲れなかった。

「チャイルド・オブ・ゴッド」コーマック・マッカーシー(著)黒原敏行(訳)3013・7早川書房(刊)
暴力的な性向をもった主人公が、家族も家も失い山中で社会と繋がりの少ない生活を送るうちに凄惨を極める犯罪に手を染めていく。
凄惨さを端的にズバッと表現する文体だが、読者にとってはそれが救いであって、かろうじて自分を神の目線にまで引き上げてくれ続けるのである。
人間の怖さをここまで描くかとため息の一冊。

にほんブログ村
短編や中編はなかなか個性的で凝ったものが多いが、この2冊もご多分に漏れない。

「四角い卵」サキ(著)井伊順彦・今村楯夫・辻谷実貴子・奈須麻里子・肥留川尚子・渡辺育子(訳)池田俊彦(挿絵)
2015・10風濤社(刊)
12の短編が収録されているが、エドワード7世時代のイギリス上流社会を、毒のある風刺を効かせて描いた作品。
クルーズに一人の悪女を登場させて皆の反感を一身に負わせ、全体の安穏を図る「ミセス・ペンサビーは特例」、原因不明の病によって、生死不明の状態に置かれている主人公が地獄の手前で客人として扱われる「地獄の議会」が特に面白い。
それに挿絵が強烈に変わっていてちょっと恐ろしいくらい。
紙質は全ページ厚手の灰色で目は疲れなかった。

「チャイルド・オブ・ゴッド」コーマック・マッカーシー(著)黒原敏行(訳)3013・7早川書房(刊)
暴力的な性向をもった主人公が、家族も家も失い山中で社会と繋がりの少ない生活を送るうちに凄惨を極める犯罪に手を染めていく。
凄惨さを端的にズバッと表現する文体だが、読者にとってはそれが救いであって、かろうじて自分を神の目線にまで引き上げてくれ続けるのである。
人間の怖さをここまで描くかとため息の一冊。

にほんブログ村