友達に誘われて少し前の映画を観てきました。
「アルバート氏の人生」。これがまあ、すごい映画で。
2011年制作ということですが、当時私はなぜか知らなくて、このたび観てびっくり。
この男性、だれだかわかりますか。
グレン・グローズ、そうあの「危険な情事」で、ものすごく怖い愛人を演じた女優さんです。このとき64歳。
映画は、19世紀のアイルランドで男性として生きた女性の話です。
映画を観る前は、宝塚の男役みたいでカッコいいな、などという軽いノリだったのですが、映画はある事情から男性として生きる女性の話。
当時のイギリス社会では、女性がとても生きづらい社会だったのです。
右の男性も女性よ!。いい映画を観たわ。
二人ともものすごい演技力、それにメイクの力がすごい。
若い人には信じられないかもしれないけど、少し前までの日本では女性差別なるものがありました。いや、今でも形を変えて残っているけど。
私たち若い頃には「人は女に生まれない。女になるのだ」というボーボワールの「第二の性」という著作は必読書だったのです。
ああ、遠い昔だけど、この言葉は真実をついていると思うわ。
人は女の子として育てられるうちに「女性特有の振舞いや考えを身に着ける」ということ。
男だって同じですけどね、人は男に生まれない、男になるのだ。
「男の子でしょ、泣いちゃダメ」などと言われてね。
今はむしろ男性のほうが生きづらいかもしれない~~。時代は変わるものですね。
男でも女でも悲しいときには泣いていいと思うよ。
それはさておき、この映画のグレース、わかっていても女性には見えない(演技とメイクのせいで)。
彼(彼女)が生涯に一度だけ、女性の洋服を身に着けるところなんか、まさに男性が女装したとしか見えない倒錯の世界、でもだんだん歓びがわいてくるところなど、ホント、滂沱の涙。
私たち女性が、きものをはじめ、美しいものを身に着けることは、ものすごく恵まれたことなんだと、つくづく実感します。
そんな日の私は、唐桟木綿に草木染め唐草帯です。
木綿はいいわあ。
水玉の下駄。
帯揚げはベージュ。
帯締めはあっさりブルー系。半襟に合わせました。
こういう場所での映画です。ちょっと宇宙的でしょ。
映画が終わったあとは、近くにある飛鳥山公園をお散歩。
「作家展で彫金の先生と」→飛鳥山には前にも。
ここでは毎年夏に「薪能」が行われます。
梅若や狂言では万作や萬斎が出演する本格的な舞台です。
何度か観たけど、舞台もよくて幻想的な世界にすぐに引き込まれるほどの環境です。
普段は自転車置き場になっているんだね。
たまたまネットで、タレントの「女性同士が結婚」というニュースが。
すごいね。いい時代になったものだわ。
自分が自分でいられないのは、辛いもんね。
というわけで~~、女になったからには、どんどん美しいきものを身につけましょうね。いや、私はまだまだ女道発展途上、「女になるため」にきもの着てます。
長いのに、最後までありがとうございました。
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紫苑さんの素敵な解説で、見たくなりました。
とても大切な友人は、女性を愛し男装をしています。
女の子を産んだ私に言った言葉は
「女の子は、小さい時から可愛い服を着せてあげて、女の子らしく育てるんだよ。」でした。
とても深かったです。
貴重なコメント、ありがとうございます。
自分の性が、生まれたままの姿とは違和感を感じるのは人一倍大変です。いまの時代、少しは容認されてきたのでまだ生きていけますが、本当につらい時代もあり、でも私たちの周りでも、まだ口を閉ざし、知らずに傷つけていることってたくさんあるような気がします。性のことだけではなく~~。