このところハマっている
「みをつくし料理帖」シリーズ。
病院にも持参して読みふけっておりました。
きっかけは北川景子さん主演のドラマ。
このシリーズ、
災害で家族を失ったみをちゃんが、
一人前の料理人として切磋琢磨、
一流になるまでを描いています。
愛読者の方は、
ここで述べなくてもいいのですが、
「舌によし」「情によし」「精進によし」
とまさに「三方よし」、
というか、
もっと「よし」あるんじゃないの。
そのなかで、私、
作者のお仕事センスに、
スポットを当ててみました。
「叱られ上手」なことは
先に述べたのですが、
まあ、驚いたのは、
「心星ひとつ」の「しくじり生麩」で、
権威ともいうべき料理人に、
「あなた自身は、料理人失格だ。
とても認められたものではない」
と切り捨てられたとき。
料理ひとすじ、
寝る間も惜しんで精進をしていた料理を、
たった一言で全否定される。
澪ちゃん、
「なぜですか」と食い下がるのも立派ですが、
追い打ちをかけるように
「~~あなたがつる屋の料理人でいる限り、
あなたの料理はそこまでだ」と、
夢の広がりをも限定されてしまう。
(あんまり面白くて、初期の同じ本を二冊買ってしまった)
この顛末は、
りうばあさんの一言で、
切って捨てられるのも痛快、痛快。
「~~与えられた器が小さければ、
自分で大きくすればいいことですよ」
「~~ここまでかどうかは、
周りが決めることではなく、
自分自身が決めること」
権威をも恐れぬ頼もしいお言葉。
こんな、人を否定しないセリフは、
作者の高田郁さんが、
苦労を重ねてきたからこそ、
実感としてこちらに伝わってくるようです。
「晴れときどき涙雨」(集英社)によると、
弁護士の資格試験に落ち続け、
塾の教師になるも、その塾が倒産、
阪神・淡路大震災を経験、
その後漫画の原作者に。
このような辛い経験が、
弱いものへの目配りを育てたのですね。
けれど、優しいだけではなく、
ふきの弟が辛い修行を嫌がって、
「帰りたくない」とごねたとき、
主人が「ここに置きたい」
と情けをかけるのを振り切って、
「いえ、いまは戻って修行を~、それに耐えてこそ~~」
とのキビシさも見せる。
私だったら、
主人の「優しさ」に同調、
私っていい人なのね、と自己満足するかも~~。
お仕事に関して
参考にしたいことまだまだあるのですが、
あまり長くなってもナンなので、
このくらいに.
とにかく新人からベテランまでヒント満載。
言葉をご紹介します。
「~~男も女も人生の仕組みがわかるのは
七十を過ぎてから。
六十代なんざ、まだ青臭い若造ですとも」
と、かっかと哄笑。
これは先の「失格」の烙印を押した人への
言葉ですが。
そうか、私はまだ「若造」なのか、
と喜んだりして~~。
いや、そっちではないでしょう。
最終巻の「天の梯」(ハルキ文庫)は
もったいなくて未読~~。
美味しいものは最後に食べるほうです、
わたし。
次はどんなシリーズ、出すんでしょう、
いまから楽しみ。
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