昨日の記事で、中秋節のルーツともいうべき「嫦娥奔月」(じょうが
ほんげつ)について触れましたが、この話は以前、シンガポールの
博物館でアニメで見たのを思い出しました。太陽が10個出てきて、
それを弓で射ている勇者が出てきたのは今でも覚えています。あれは
非常にわかりやすかったので、YouTubeとかにないかなと思って探し
てみたら、その同じのはありませんでしたが、いっぱいあります。
アニメもあれば、京劇もあります。どれもいまひとつなのですが、
ちょっとこちらにご紹介しておきましょう。英語版です。
正義の味方のヒーローの名前は「ホウイー」という発音。そして
嫦娥は「チャンアー」という発音になっています。これは中国語読み
に従った発音です。「嫦娥奔月」も中国語で発音すると「チャンアー
ベンユェ」という感じになりますね。
最初の10個の太陽は、オゾン層が破壊されて地球温暖化になってし
まった状態のようですね。
でもこちらの話ではホウイーが悪いやつになってしまっていますね。
見かねたチャンアー(嫦娥)が、ホウイーの不老長寿の薬を飲んで
しまい、月に行ってしまうという展開になっています。月に行くと
いう結果は同じなのですが、後半のストーリーはいろいろあるよう
です。
テレサテンが歌っていて、後にフェイウォンもカバーした
「但願人長久」(タンイェンレンチャンジュウ)という歌があります。
月を見ながら遠く離れた相手に思いを馳せるというような内容です。
人に悲歡離合(悲しみや喜び、別れや出会い)有り,
月に陰晴圓缺(曇ったり晴れたり、満ちたり欠けたり)有り,
此の事 古(いにしへ)より全(まつた)きこと難(かた)し。
但だ願はくは人、長久にして,
千里 嬋娟(せんけん)を共にせんことを。
という歌詞があります。もうちょっとわかりやすくしてみると
こんな感じになると思います。
月が晴れたり曇ったり、満ちたり欠けたりするように
人には喜びや悲しみ、出会いや別れがある。
こういうことは昔から、なかなかうまくはいかない。
ただ願わくは、遠く離れているあなた、ずっとずっと元気で、
そして地球のどこにいてもこの美しい月をともにに眺める
ことができますように。
なんだか遠距離を励ますような内容ですね。
ここに出てくる嬋娟(せんけん)という言葉ですが、これは月の
あでやかで美しいことを意味していて、月の別名でもあるよう
ですが、じつはこれ月に住んでいるという嫦娥のことも意味して
いるようなんですね。月にはウサギだけじゃなくて、月に昇って
いった嫦娥もまだいるんですね。
この歌の歌詞は、実は蘇軾(そ しょく、1036ー1101)という
北宋時代の有名な詩人の詩なんですね。唐宋八大家の一人だと
いうことです。こんな感じの人です。
実はこの人、蘇東坡とも呼ばれていたそうです。この「東坡」と
いう文字、どっかで見た記憶がありませんか?そう東坡に肉を
つけると東坡肉(トンポーロー)です。豚の角煮の料理ですが、
蘇軾がこれを好きだったとか、料理をしながら書道に打ち込んで
いる間に煮込みすぎて偶然これができてしまったとか諸説ある
ようですが、ほぼ1000年も先の未来に自分の詩とともに、自分
の名前のついた料理が人気になっているとは思ってもみなかった
でしょうね。
よろしければ、こちらもついでによろしくお願いします。
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