FEEL ambivalence

毎日、いろんなことを思います。
両極端な感じで。

両面価値。
同一対象に対する愛憎共存。

『亡国のイージス』。(※ネタバレ注意!)

2005-08-15 20:17:21 | 映画
終戦記念日。
だから、というわけじゃなくて。たまたまお休みが今日だったから。

福井晴敏さん原作の映画化作品、第3作目。
今回は原作を既読。さぁ、映画を。

空調の効き過ぎた映画館で、すこし寒かった。
映画自体も、期待とは少し違った形で。
ちょっと、残念だった。

原作が素晴らしく深い作品である以上、それを完全に映像化するには、2時間という時間は短かったのだろう。予算の都合もあるだろう。
そんな風に自分を納得させて。

映画の著作権は、監督・脚本・音楽・演出など、製作者に帰す。原作者は映画の著作者ではない。つまり、全くの別物、ということ。改めてそのことに気付き、そして、監督が言いたかったことを考えた。

でも、それが分からない。

阪本順治監督の他の作品を見たことが無いので、この作品のみで評価するのはどうかと思うのだが、あえて。ぼくは、この監督は原作者の世界観を完全に理解していなかったのではないかと思う。映画の根底にあるのはひたすら映像化に苦心している様子であり、いかに話をまとめるかに終始しているように思えた。つまり、監督の想いがぼくには届かなかった。もしかすれば、脚本がどうしようもなかったのだろうか。

メッセージ性の強い映画だと期待したぼくが間違っていたのだろうか。たとえ原作と異なるメッセージであろうと、一つの大きな主題が描かれ、透徹していれば、原作とは全く違うものとして、それでも、大事な作品として受け止める用意はあった。だが、実際の作品は原作に忠実であるわけでもなく、また、思い切った展開があるわけでもない。全体的に中途半端な感は否めない。

海上・航空自衛隊の全面協力を得て撮られた映像は素晴らしかった。その点は評価したい。迫力が違う。だが、実際の戦闘シーン、格闘シーンは大きく評価を下げてしまう。「うらかぜ」攻撃のシーンでは遠くの爆発が見えるだけ。ヨンファの部下と仙石先任伍長の格闘シーンはスピード感も、リアリティも弱い。自衛隊ってそんなに弱いの?って思いかけた。海外作品を引き合いに出すのはどうかとも思うけれど、『24』のあのリアリティさ、そして『ボーン・スプレマシー』のスピード感の足元にも及ばない。

原作はメッセージ性の強い作品であるけれども、その裏側には戦争によって引き起こされる悲しさ、痛みが強く存在しているからこそ、そして、国家を憂う強い気持ちが存在してこそ、それを強くできたと思う。映像化するに当たり、中途半端に痛みを緩和し、悲しさを抑えてしまったのではなかろうか。結果、支えを失った主張は見る影も無く。残念なこと、この上ない。生きろ!と仙石に言わせておきながら、一斉に自決するテロリスト達を映す。うーん。あ、もしかして、コレがメッセージなの?

キャストのみなさんの演技は素晴らしかったと思う。寺尾聰さんの表情、中井貴一さんの不気味さ、佐藤浩一さんの濃さ(笑)、真田広之さんの存在感。イイ。ええ、ぼくはミーハーですから(笑)個人的には、岸部一徳さんの演技が好き。あの緩み具合がちょうどいい。あと、もっと真木蔵人さんを出せ!こら!

とにもかくにも、監督の力不足ばかり頭についてしまう。監督のせいにしすぎ?脚本が悪いのか?(笑)もうちょっと何とかできなかったのかな。せっかくの演技が半減していた。逆に言えば、俳優さんに助けられていた作品だとも言える。

音楽もいい。重厚。誰だろうって思ったら、海外の方だったのですね。『13デイズ』のトレヴァー・ジョーンズさん。
gooのオフィシャルサイトで流れるプロモーション用の歌も最後に流してくれればよかった。そしたら、ほっとして終わったぁって感じになれるのにね。

つーかさ、ここまで崩すなら、いっそCGもたくさん使ってアクション巨編に仕上げて、ハリウッドっぽくしてしまえばよかったのに。
あはは、不満ばっかり(笑)

うーん、★★★☆☆ってとこ?

ローレライは面白かったのになぁ。
今回は敬礼シーンも少なかったし。ちぇっ。

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2 Comments

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原作、 (みんみん)
2005-08-17 15:42:51
今よんでます☆

毎日ばたばたしてて全然すすんでないけども。。



ローレライは映画よかったのになぁ。
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こらこら。 (たかぴ。)
2005-08-17 21:16:00
映画見る前に読んじゃダメだってば(笑)

ネタバレじゃん。

原作はスピード感あるよね。よくできてると思ったよ。



もう一回見れば納得いく、という噂アリ(笑)
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